休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

いずみシンフォニエッタ大阪 第50回定期演奏会

20230708(了)

  新・音楽の未来への旅シリーズ

  いずみシンフォニエッタ大阪

 第50回定期演奏会

「50回記念――生誕60,70,80,90,100年特集」

 

 ・生誕100年

(1)リゲティ: ミステリー・オブ・マカーブル(1991)

 ・生誕90年

(2)ペンデレツキ: 弦楽のためのシンフォニエッタ

                    (1990/1991)

 ・生誕80年

(3)池辺晉一郎: 降り注ぐ・・・

                   ~室内オーケストラのために(2005)

 ―休憩―

 ・生誕70年

(4)西村 朗: 三重協奏曲〈胡蝶夢〉

              ~ヴァイオリン,ハープ,クラリネットと管弦楽のための(2023)

 
  飯森範親(指揮)/いずみシンフォニエッタ大阪
  (1)菊本和昭(tp.)、(4)小栗まち絵(vn.)、篠崎和子(hp.)、上田希(cl.)
  プレトーク西村朗池辺晋一郎飯森範親
  現代音楽/Live/2023年7月8日、16:00~/住友生命いずみホール

 

今回の演目については、体調不良もあったのですが、それほど期待せずに聴き、
実は大満足のコンサートでした。
 
(1)のリゲティは、あの奇天烈至極なオペラ『グラン・マカーブル』からさる
キャラクターの部分を抜き出してコンサート用に再編集したものだそうで、コ
ロラトゥーラ・ソプラノをメインに据えたヴァージョンもあるそうな。ここで
はトランペットをソリストにしたもの。楽団員やソリスト、はたまた指揮者ま
でオペラ内のだろう、セリフがある。トランペッターのセリフは関西弁。ま、

意味は全く通じない。でもこのトンガリまくりの音楽、聴けましたねぇ、おも

ろかった。

お年寄りの比率が高くても、このシリーズに来るのは、初めて聴く音楽への好
奇心が根っこにあるに違いない老人たちの集まりであるはずで、、、つまり何
が言いたいかというと、コンサート会場全体にも乗って聴いているという感触
があったこと。(すばらしい!)
このオペラ、面白いところなんかたいしてなかったけどなぁ。CDは2枚か3枚
組。持っているので、もういっぺん、元気な時にでも聴いてみますか・・・
 
(2)のペンデレツキ、ひょっとすると聴いたことがあるかもしれない。ジャン

ジャンジャン・・・という短く鋭いリズムの刻み方や音色に、なんとなく覚え

があるような。
ペンデレツキも随分尖がったものを書いていたが、この辺になると少々保守化
に戻ったようで、非常に激しいものの、バルトーク(例えば『弦楽のための喜
遊曲』?)やショスタコーヴィチの語法みたいになっちゃったと書かれている。
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの難しそうなソロも、合奏の超合わせにくそ
うなアンサンブルも、ビシッと決まっていたようだったからなのか、わくわく
感を持って聴けました。
 
(3)池辺の曲をコンサートで聴くのって、ひょっとすると初めてかも。室内
オケとしては、かなり大きな編成でした。
人に降りかかるものは様々で、雨、雪、電波、宇宙線、怒号、礫などのほか、
慈悲や愛、その他心に降り積もるものもある。自分も年を取ってきて、そうい
うものがたくさんあっての人生なんだなぁというような感慨が書かせた音楽な
んで、出来ればどうかそのようなことを感じてくださればいいんじゃないか、
てなことを喋っておられた。
時に荒々しいこともあるけれど、さまざまな降り積もり方が実にシャラシャラ、
キラキラ。主に下がって行く幾つかの音型でもって克明に繊細に表わされる。

そしてそれらは拡散してゆく。ありていだけど、いわばシャワーのよう。なか

なかいい感じでした。

 
(4)西村さん、70歳? これも室内オケとしてはわりと大編成で、池辺の
曲と同じぐらいの規模。ただし音色はだいぶん違う。シャラシャラと繊細なも
のじゃない。でも言わんとするのは池辺の曲と似て、歳を重ねるにしたがって
感じるようになってきたことを、中国の思想家老子の説話「胡蝶の夢」と重ね
合わせてみるに至ったというようなことらしい。
ソロをとるのがヴァイオリン、ハープ、そしてクラリネット。そのクラリネッ
トが特にワタシには生臭さに繋がるものとして感じられました。勿論悪い意味
なんぞないけどね。池辺さんのほうが生臭いイメージがあったんですが、ここ
での音楽は逆。西村さん、まだまだ元気・・・
 
で、この曲順なんです。書法などはよくわからないワタクシメなのですが、音
楽の尖がり方についちゃあ、真逆だったみたい。だからどうだということもあ
りません。だけど、生誕何年だとわざわざ並べてくれたもんだから、かえって
感じてしまったことでもあるとは思う。
生誕何年とかいうのは実際は若干こじつけもあるのかもしれないな。どうなん
だろう。それとも偶然か。(てなもんで、毎度なんとも大雑把な印象・・・)
ところで生誕60年は指揮者飯森氏だそうです。
 
このところ、内耳の問題で、眩暈、ふらつき、吐き気などで何日間か苦しんで
いました。珍しく病院を2ヵ所続けて行ったし、MRIなんてものも(後学のた
めではありましたが)初めて受けてみたりもしました。で、もう問題はおよそ
解決したはずなのですが、ムカつきがおさまらず、食欲も戻っていなかった。
特に起きてすぐは良くない。
ところが医者は、妙なことに、少し無理してでも体を動かしなさいと焚きつけ
るのです。しょうがない、「気分悪い―」状態のまま犬の散歩を始めたところ、
おやおや、なんとかなるじゃないか。これなら、行かないつもりだったこのコ

ンサートも(どこかでゲロをぶちまける危険もあるけれど)行ってみてもいい

か。

このオケのコンサートとしては、久々の「当たり」でしたし。<★★★★△>
さらに今日の席は「音質」がうんとよかった。一階の後ろ側のまん中ぐらい。
そのへんがおそらくベストプレゼンスなんだね。
 
もう一枚、来年2月の第51回分(席は同じところ)チケットを合わせて買って
ありました。演目はこれ。三味線ねぇ、どうでしょう。

過去50回分の演奏作品リストを今回いただきました。ワタシは45回目から
聴いています。
西村さんの作品が大体一回おきに演奏されている。ホールやオケの設立に関わ
り、現在も企画をする監督だからしょうがないかもしれないけれど、これは特
別扱いしすぎじゃないかなぁ。

窓からの景色。大阪城公園
曇天でこんなものでした。
来るとき、汚い運河沿いのサクラの並木に近づいていくらか見ましたが、フラ
スはなし。クビアカが見つかっている地図(PCで調べた)を思い出しても、こ
の辺には色がついていなかった。その通りで、いないんだね、まだ。常識的に
山伝いに広がると考えるのが当然、てわけだ。飛ぶの下手だし。

 

 

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