休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『アナザーラウンド』

20230108(了)

映画『アナザーラウンド』

  トマス・ビンターベア監督/マッツ・ミケルセン/トマス・ボー・ラーセン
  2020年製作/115分/デンマーク/原題:Druk
  <★★★>

これはワタシが借りたもの。
デンマークの学校の制度は知らないが、思うに学費はかからず、小中高一貫
のかな。まあそうした学校の男の教師4人と彼らの家庭の話。
4人とも教育という仕事にも家庭(もはやない男も含む)にも行き詰まりを感

じている。歴史(近代史かもしれない)、哲学、音楽ないし芸術、体育、だっ

たと思う。

一人が、研究の一環と称して、この行き詰まりを打開するため、血中アルコー
ル濃度を0.05%ぐらいで一定に保つなら、気分が上がって、むしろ危険な

くいい仕事ができるというような哲学者の論文を持ちだす。4人は試すことに

する。

始めはかなりいい調子で、周りにもバレない。しかし誰でも想像するように、
もうちょっとぐらい血中アルコール濃度が高くても大丈夫なんじゃないか、研
究だよ、と言い始め、自分で濃度を決めてもいいことにしようじゃないかなん

てことになる。

勿論、想像通りそこからが一種の山で、映画らしく、しんどいシッチャカメッ

チャカが始まる。その結果、一人は(ミスというか責任もあるんだが)とんで
もないことになるし、二人は家庭崩壊に至る。
さてさて果たして4人の運命はどうなるのか・・・
 
大雑把にはそんな感じですかね。
そこそこ飲んでるから、臭うようなものなんだが、始めはそうでもないんだよ

ね。それにしても学校の先生がそんなこと、試すかねぇ。わかるようなわから

ないような。

ただ、奥さんの一人が、デンマークじゃ学校の先生の飲んだくれがえらく多い
というようなことを言ってましたっけ。どうだか知りませんけど。
 
こう書いてくると、話としてはまぁ普通じゃないとしても理解はできるという
感じでしょうが、実際に観ているワタシとしては、結論の前も結論自体も妙に
ピンとこない感じがして、★はあげられない。
 
 
ミケルセンが出てくると、どうも暗い感じになるのが普通なんだけれど、ここ
ちでもょっとその気がある。一人だけ芝居がやや重。
もっとも、最後は最終学年の晴れがましい卒業式とそのあとのどんちゃん騒ぎ
(学生たち全員が踊るので、なんかのパロディ?)のなかで、彼も踊りを披露
するのです。頑張ってました。ちょっとびっくり。
 

 
 
 
 

 

ルイ・フレモー CBSO全録音 1&2/12

ルイ・フレモー CBSO全録音 (12枚組)

 LOUIS FREMAUX The Complete CBSO

  Recordings

スタートはオールベルリオーズプログラムの2枚

CD1 
①-⑨エクトル・ベルリオーズ:レクイエム, op.5 (1837)
  ロバート・ティアー(T)
  バーミンガム市交響合唱団(合唱指揮:ゴードン・クリントン)
 (1975年4月19-22日、バーミンガム大学グレイト・ホールでの録音)     71:18
CD2
①同上 続き                           12:13
 以上<★★★☆>
②エクトル・ベルリオーズ:序曲《ローマの謝肉祭》, op.9      8:39
③エクトル・ベルリオーズ:『ハムレット』の終幕のための葬送行進曲, op.18-3  
  バーミンガム市交響合唱団(合唱指揮:ゴードン・クリントン)   7:33

④-⑥エクトル・ベルリオーズ:劇的物語《ファウストの劫罰》より

  3つの管弦楽曲Op.24                     12:35

⑦エクトル・ベルリオーズ:歌劇《ベンヴェヌート・チェッリーニ》序曲 9:41

⑧⑨エクトル・ベルリオーズ:歌劇《トロイアの人々》より〈王の狩と嵐〉と

 〈トロイ人の行進〉                    9:06/5:25 

 (1974年9月13-14日、ロンドン・アビー・ロード第1スタジオでの録音)
 以上<★★★★>

これからは、安価で手に入ったルイ・フレモー(1921-2017)/CBSO(バー
ミンガム市交響楽団)の録音を聴いてゆきます。間に何か挟むとは思います。
ずいぶん昔から名前だけは知っていて、多分一番有名だったのは、フォーレ
のレクイエムのレコードでしょう。この曲の日本での火付け役として、大い
にもてはやされたという記憶があります。日本にも結構来ていたみたいです
が、特に興味を持ったことはありませんでした。
今年たまたま激烈なファンのコメントを読んで気持ちがざわつき、リストア

ップしていたもの。ほとんどがフランス音楽で、それも知らない曲がけっこ

う多い。

で、たいていそうであるように、ぐっと安くなっていたので、エイヤッ!
いろいろ挟みながら、聴き終わりは、来年のいつまでかかることやら。
 

CD1/12

ベルリオーズ:レクイエム, op.5 1/2

①入祭唱とキリエ(Introit et Kyrie)
続唱(Séquence)
  ②続唱(Séquence) ③そのとき憐れなるわれ(Quid sum miser)

  ④恐るべき御稜威の王(Rex tremendae) 

  ⑤われを探し求め(Quaerens me)

  ⑥涙の日(Lacrymosa)
奉献唱(Offertoire)
  ⑦主イエス・キリストよ(Domine Jesu Christe) ⑧賛美の生贄(Hostias)
聖なるかな(Sanctus)

CD2/12

ベルリオーズ:レクイエム, op.5 2/2

①神羊誦と聖体拝領唱(Agnus Dei et Communion)
 
正式な名称は「死者のための大ミサ曲」(Grande Messe des morts )
多分初めてちゃんと聴いたんじゃないですかね。しかし、Grande!でかいワ!
独唱こそテナー1人だけだけれど、合唱は楽譜では混声6部で200人、通常は
400人で歌われたのみならず、可能なら800人まで増やされたそうな。
楽器では、後でも触れますが打楽器がスゴイ。変則のフルオケの中でも、テ
ィンパニ8対!(10人)、大太鼓2、タムタム4、シンバル10対!
金管なんか別に「バンデ」と言われた別動隊が4つ付く。その総勢38人!
心配しても始まらないけれど、録音はどうしたんだろう。ワタシの車のスピー
カーが特に今合唱に弱いというのに、この規模だもんね、録音もつらかったろ
うが、聴くのもえらいつらかった。規模感もよくわからななかった。(次の点
検時にはよく見てもらおう、ダメなら交換の見積ももらおう)
 
印象はさっといきます。正直に言って好きにはなれなかった。もともとベルリ
オーズの熱心な聴き手ではなかったのと関係はあると思います。作品番号が5
なんでやっぱり初期作だったんだろうね。33歳とあった。
ワタシの素人としての感じ方では、前半がドイツ系宗教音楽をいろいろ参考に
したんじゃないか。その分ワタシにはぴんとこなかった、みたいな。そして上
記編成で特異な打楽器、これが、まさか!と思うようなところで(たとえば②
や⑥)猛烈にドロドロ騒ぐ。ビックリしました。誰でも知っている「幻想交響
曲」でも似た音ってあったよなあ、と思い至りましたが、用いられ方はへんて
こりんだった。ま、こういうのもベルリオーズなんですよね、きっと。変な⑥
では讃美歌「諸人こぞりて」似たメロディが繰り返し出て来ました。
で、実は後半に行くほど、レクイエムっぽいというより、美しくなってきて、
気に入ったのです。⑦~⑨はすばらしく美しい。
そして、次のCDにまたがってしまった終曲のアニュス・デイ(CD2①) など、
聴き馴染んだレクイエムの歌詞(言葉)がたくさん聞こえ、ああ、やっとレ
クイエムだなぁ、なんて感じたりなんかして、、、打楽器もまともだったし
、、、トンチンカンなんでしょうけど、、、ワタシなんざそんなものなんで
すって。いやぁいい感じでした。レクイエムといったらフォーレやデュリュ

フレしか聴いてなかったようなものだったからなぁ、「かたわ」なんだろう

ね。

 

英国の誇る高名なテノール、ティアーの歌唱は真摯で清潔感があってとても

よかった。

合唱はかなりサイズダウンしての録音だったんじゃないでしょうか。
こうなると、何故ベルリオーズが通常レクイエムにはある Benedictus(ベネ
ディクトゥス;祝福があるように)をすっ飛ばしてしまったのか、と考えちゃい
ましたけど、、、まぁいいか。
 
以下もベルリオーズです。
②序曲《ローマの謝肉祭》, op.9     
③『ハムレット』の終幕のための葬送行進曲, op.18-3 
④-⑥劇的物語《ファウストの劫罰》より3つの管弦楽曲Op.24 
⑦歌劇《ベンヴェヌート・チェッリーニ》序曲
⑧⑨歌劇《トロイアの人々》より〈王の狩と嵐〉と〈トロイ人の行進〉
 
③初めて聴きました。ちょっとドロドロした感じ。イメージが出ているような、
大仰すぎるような。ワタシは曲自体がいまいちです。
④-⑥ ガキ時代によく聴いたもんで記憶には強く残っているのですが、あまり
好きな曲じゃなかった。一般的にもよく知られている曲でしょうが、そう熱心
に聴かれる曲じゃないでしょう。それが、若干恥ずかしい気がしますが、この
ベルリオーズの序曲集でひょっとするともっとも気に入ったかもしれません。
あとの繊細で軽い2曲のみならず行進曲も含め3曲とも、いかにもベルリオー
ズ。フレモーさんのセンスなんじゃないか。

②と⑦、これらはイタリアネタの有名曲。名に恥じないカッコいい曲であり演

奏!

⑧⑨ 初めてです。演奏がいいのか、まあまあオモロイです。これもイタリア系
の感じ。
 
テンポの変化やアクセントが実に生き生きしてよかったですねぇ。繊細だし。
オケの技術もパワーもそんなにスゴイわけじゃないんだけれど、フレモーのタ
クトに実に敏感に反応して一体感がある。「レクイエム」よりよかったかもね。
それとねぇ、アビー・ロード・スタジオの録音であることが効いている、絶対!
柔らかい弦のみならず、全体の音のバランスがいかにもよかった。
なかなかこういういいバランスの音って、あるようで、ないような気がします。
大満足のベルリオーズの序曲集でした。

  

ハイ、この2枚分は実は去年の鑑賞記です。(20221223メモ了)
 (近ごろの言い方だと、「・・・鑑賞記になります」だね。丁寧語かなんかの
 つもりらしいが、ワタシはホントにホントに気色悪い。日本中「・・・になり
 ます」だらけ。誰か影響力のある方取り上げて、それはオカシイで!と言って
 ほしい。ま、これはあくまで喋り言葉のようで、書かれたものでは見ないから
 まだましですがね・・・ 脱線)

 

マリグナント 狂暴な悪夢/Ms.ベビーシッター

20230105(木)

映画『マリグナント 狂暴な悪夢』

 ジェイムズ・ワン監督/アナベル・ウォーリス/マディ・ハッソン
 2021年製作/111分/アメリカ/原題:Malignant
 <★★△>

<映画.com解説から> ある日を境に、目の前で恐ろしい殺人が繰り広げられ
るのを目撃するという悪夢に苛まれるようになったマディソン。彼女の夢の中
で、謎めいた漆黒の殺人鬼が、予測不能な素早い動きと超人的な能力で次々
と人を殺めていく。やがてマディソンが夢で見た殺人が、現実世界でも起こる
ようになる。殺人が起きるたび、マディソンはリアルな幻覚かのように殺人現
場を疑似体験し、少しずつ自らの秘められた過去に導かれていく。そして邪悪
な魔の手がマディソン自身に伸びてきたとき、悪夢の正体が明らかになる・・・
 
だいたいこんなもんだけれど、始めに研究所だか病院だかで、ある女の子の体
に巣くう癌のようなものについての云々が見せられ、その病巣が電化製品に
(電気に)アクセスできるような超常的能力のあること、これに関する話にな
るであろうことを印象付けられる、というのが抜けている。
早い話が、この導入部に描かれることがすべてのもとなのね。
 
少しづつ理屈の部分が追いついてくるが、それなりに作ってあるので、こうい
うバケモノ系に免疫がない人には恐い、かもしれない。
化け物の正体は、当たらずとも遠からずだったけれど、なかなか面白かった。
でもねぇ、ワタシは・・・言いたいことはわかったけれど、回収されない大事
なもののことなどが気になってしまいました。
 
昨日見た『Ms.ベイビーシッター』というのがあまりにつまらなくて、ならば
ついでだ、とばかりにカミサンの借りた2枚目も観てみた次第。

 

  クリスマスに、ある人里離れた邸宅のベイビーシッターに来た、やや年か
  さの女。意外や武闘派的なものも含めた色んなサバイバル能力を身に付け
  ている。邸宅の主夫婦とその娘(どっちかの妹かも)1人が急遽戻ってき
  てしまう。娘はこのベイビーシッターと同窓生だった。その直後、3人グ
  ループがこの家を襲う。たまたま隠れられたベイビーシッターが、その後
  苦労の末、大活躍と大きな結果を勝ち取りはするんだが・・・ 面白くで
  きるネタがたくさんあって、ハラドキが約束されたようなものなのに、こ
  の3人の悪者「狂信者」たちがあまりにもつまらない。超常的な現象か超

  能力の片鱗のようなものもチラッと見せてはくれるのに、あきれたことに、

  このネタは未回収のままほっとかれてしまった・・・

eiga.com にはスタッフ・キャストだけは載っているが、解説も評もなし。 さ
もありなん。<★☆>
というようなことで・・・
正月早々、こんなの飽きずに借りよる、、、(次もこんなん借りるんかぁ?)
ベイビーシッターよりはこっちのほうが、柄は同様に小さいながら、すこしマ
シだったかも。最後に、メイキングが付いていましてね、作っている人たちの
ほうが皆楽しそうでね、妙にほっとしました。

未来のアラブ人②― 中東の子ども時代(1984-1985)

未来のアラブ人②

          ― 中東の子ども時代1984-1985)

 

 

   第5章~第10章

 
   作/リアド・サトゥフ 訳/鵜野孝紀
   2020年4月/マンガ/花伝社/共栄書房/単行本/中古
   <★★★△>

一作目は去年の11月の初めごろにアップしました。
 
第5章
一作目からの続きなんで、第5章。主人公(作者)は6才。
まだまだかわいい完璧な子ども。
地元で豪邸を立てる気満々の父親は、やはり大学の先生だとは思えないトン
チンカンさや地元(シリア)愛に満ちているよう。
突如息子を学校に入れるくだりもヘンだが、女子生徒がいない学校の奇天烈
さに唖然!担任はまるでヒットラー賛美者のごとき女性。
従兄たちと小冒険。
章の最後は、金満家の親戚の家に招かれ、自慢話まみれになる。
すごすご帰宅。特に父がやけに無口になる。

第6章
父親が借りた散弾銃で、雀をズタボロにする話。
母親が起こしてくれずに、遅刻する話。
父親が母親からなじられ(いつまでたってもスカーフはしないんだネ・・・)
ビデオデッキ、洗濯機、オーブン付きガスコンロを買い込む話、など。
 
第7章
ある将軍夫婦(有力者?)に家族で招待されて、広大な遺跡を見物。
その将軍夫婦も含め、別の将軍に招待されて、食事など。
それらでもって、偉い人たちの噴飯物の俗物ぶりを、目の当たりにする。
それらに登場する子どもも、同様にゲッソリするような性悪。
ムカつくような内容をいいたいのだろう。

父はそんな人々に取り入ろうと、あさはかで無益な努力、母は意思疎通の努

力。

 
第8章

学校でコーランの音読をさせられる話、どうもみな意味がわかってないみた

い。

7年に1回の大統領選挙の話、帰って親に「イエス」と書けと先生が言う。
当然のように対抗馬はいない。
軍人が大統領の前で生きたヘビを食う・・・
未婚の母は死に値するってのを実践(殺すこと)する人がいる・・・

父が頼んだレンジがレバノンからロバに乗った爺さんが3日かけて運んでき

た。

第9章
一時、母親と(子ども二人で)ブルターニュの実家へ行く。
始めは大きなスーパーを満喫(特に母親)。
次はおばあちゃんと海で生き物の勉強(≒食料調達)
じいちゃんばあちゃんは公務員だったから年金が多い。
スキー場へ連れてってもらうも、スキーは全くダメ。
 
第10章
村長が近隣の家長を役場に招いてばかり。それに付き合う。
父はフランスで買ったタバコ(ダンヒル)を見せびらかす、、、で、何?

冬の終りに10日間の長雨、村中が水浸し、休校、、、友達と遠出をして遊

ぶ。

休みが終ったら、女の先生が気味の悪い男に変わっていて、臭く奇行の持ち
主。
学校に行かない日は母親がフランス語を教えてくれるが、嫌でしょうがない。
ところがある日突然、絵本の言葉がわかり始め、絵本の見方が変わる。
春、水たまりにカニを見つけると、性悪な男の子がやけに怖がる。
夏休み、フランスには行かず一家で海辺のリゾート地へ旅行。ホテルでひた
すらケチ臭い父親。
第8章で出てきた、未婚で妊娠した娘を殺した話があった。その殺した当事者
たる夫が数か月で放免されたようで、その男とすれ違う。父はすれ違っても
知らんふりをする。

   写真はこの巻の最後のページ。結婚しないで妊娠した女を殺した男・・・
   そういや、「いいね」という訳語がいろんな場面で出てくる。一種の挨拶
   的なことばなのだろうが、ほかにいい訳語がないのだろうか。紛らわしい。

 

 

・・・てなふうに、細かいエピソードが具体的だが、単純にただぞろぞろ羅列さ

れていて、それをこちらも並べ立てました。帯の文言とは違って、第1巻のよう
インパクトが乏しかったですね。もっとも、逆に言えば、著者の記憶が具体的
になった感じでもある。ただ、並べ立てざるを得ない「篇」というような。
父はいつまでたってもトンチンカンに意地っ張りだが、少し感じが変わって来た
か、こっちが慣れてきたか、、、 ウーン、慣れたとは言えないか。
シリア。同じ地球上の話だとは考えにくいほんとうに奇妙な世界です。
 
第1巻は様々な賞を受けている。
「あちら」では2010年に第3巻が出て、やはり賞を受けているそうな。著者の
映画作品のことも紹介されている。そして、2020年秋には(やはりあちらでは、
ということなんだろう)、この第5巻が刊行予定なんだって。
日本では第3巻まで出ているけれど、かなり高く、第4巻はまだ出ていない。
第3巻はいずれ読めるかも。

 

kikuy1113.hatenadiary.com

 




 

映画『遊星からの物体X ファースト・コンタクト』

20221228(了)

映画『遊星からの物体X

   ファースト・コンタクト』

 監督;マティス・バン・ヘイニンゲン・Jr.//メアリー・エリザベス・ウィンステッド
 音楽;マルコ・ベルトラミ
 2011年製作/103分/PG12/アメリカ/原題:The Thing/DVDレンタル
 <★★★☆>

八点鐘さん結構推しておられたので、店の在庫に見つけたのをいいことに、
つい観てみたら、以前観てましたね。
でもオモロかった。
 
前作ジョン・カーペンター版の、いかにもホラー風味のおどろおどろしさ
よりは、クリーチャーの表現に凝って、マンガっぽさ爆発。
次から次へと乗っ取られるテンポも疑惑の盛り上がりも、なかなかどうし
て、楽しくできていたんじゃないでしょうか。
 
最後の「ピアス」については、これ見よがしだったので、直前に気が付き
ましたけどね。以前観た時はどうだったかな。もう忘れました。
そして、前日譚として、前作へ繋いで終わっていました。
もっとも、ここで生き残った人は、どうなったんでしょうか・・・

 

ところで、原題が同じじゃなかったっけ?

 

音楽はマルコ・ベルトラミ
前作のモリコーネが、「ドドンドン」の繰り返し以外にあまり面白くなか
ったことを考えると、ベルトラミさんはいろいろと頑張ってはいましたね、
面白いかどうかはともかく。
 
ハイ、これで去年のメモ分はほぼおしまい。

ミュージカル映画『ディア・エヴァン・ハンセン』

20221224(了)

ミュージカル映画

『ディア・エヴァン・ハンセン』

  監督:スティーヴン・チョボウスキー//ベン・プラット/ジュリアン・ムーア/
      ケイトリン・デバー/エイミー・アダムズ/アマンドラ・ステンバーグ
  2021年製作/138分/米/原題:Dear Evan Hansen/DVDレンタル
  <★★>

高校で友人は一切おらず、共に浮いた存在であるエヴァンとコナー。
主役エヴァンは人前ではまったくもってうじうじした存在で、穴があったら
入りたいマイナス思考の男の子。(ただし、これはミュージカル。歌う時は
そこそこ雄弁!)好きな娘はいるが、話しかけるなんてとんでもない。ほぼ

ほぼ発達障害自閉症の一歩手前。セラピーを受けている。木から落ちて左

腕を骨折している。

コナーのことはどんな奴かすぐにはわからないが、薬(ヤク)をやったせい
で特殊な学校経由で入ってきた男の子で、不安定な精神状態が問題。家でも
学校でもぶつかりまくっているようで、彼も本来的にセラピーが必要らしい。
二人は偶然接点ができかけるが、その後コナーは自殺。
エヴァンがセラピー用に自分に向けて書いた文章で、コナーからメールが来
たような体裁をとったものが表に出てしまい、学生にもコナーの家族にも知

られてしまう。

それをエヴァンは否定せず、コナーとは親友だったことにしてしまう。

エヴァンはコナーの家族からは、まさかの存在として喜ばれ、学校ではコナ
ーを悼む会が、妙に頑張る女の子(実は彼女も鬱屈の塊みたいなのを隠し通
している)によって進められるのに参画し、それらでいい気持になっていく。
おまけに、コナーの妹(実はエヴァンが想っている娘)とも親しくなれちゃ
う。勿論それで済むはずもない・・・
 
エヴァンの態度があまりにもうじうじしており、しかも彼の歌が、結構高音
が多く、裏声、ファルセット。いや、そうでないところもあるのですけどね。
エヴァン役の俳優の若作り以上に、「うじうじ」としたこの弱々しい裏声が
鬱陶しくて、ワタシ、慣れるのに随分かかってしまいました。舞台であれば
声(張り上げなきゃ聞こえない!)も見かけの不自然さ(細かく見えるわけ
がない)も人によってはどうってことないのかもしれない。
 
後半は、彼のウソがどんなふうなストーリーを生むのか、どんな終わりかた
をするのかがひたすら気になるだけの鑑賞になってしまいました。(修業、
足りんのよねぇ)
ほとんどの場面でSNSがひっかきまわします。最後には最大のしっちゃかめ
っちゃかが用意されている。
オリジナルのミュージカルもこういったお話なんでしょうが、それで人気が
あったなんて、ワタシにはピンときませんでした。SNSの多用は映画用にア
レンジされたんでしょうけど。

ピサロ ――永遠の印象派

20221227(了)

ピサロ ――永遠の印象派

  クレール・デュラン=リュエル・スノレール 著
  遠藤ゆかり 訳/藤田治彦 監修
 
 第1章 アンティル諸島からパリへ
 第2章 印象派の冒険
 第3章 印象派から新印象派
 第4章 最後の住居エラニーと最初の成功
 第5章 都市シリーズ
 
 資料編 ―永遠の印象派
                       ①ピサロの手紙
       ②『社会の破廉恥』 
       ③ピサロと同時代の画家たち
       ④「ピサロは、まったく非の打ちどころがない」
        ――作家ミルボーからピサロへの手紙
       年表/INDEX/出典(図版)/参考文献
 
  2014年8月/創元社〈知の再発見〉双書/中古
  <★★★☆>

大好きな安野光雅さんの本(エッセイ)のなかで、自分の原点に近い、大きな
影響を受けた画家、といったようなことを書かれていたことを覚えていまして、
最近ピサロの素敵な絵(👇)を見たために、急に読む気になりました。
「読む」気に、というのは嘘で、ホントは絵が大きな画集を「手に取る」「観
る」と書きたかったが、これが手に入れやすかったのです。
若い時には、ターナーやコンスタブルのイギリス系や、バルビゾン派に惹かれ
たようで、ワタシもバルビゾン派のものが好きなものですから、それもきっか
けのひとつ。

 

              ジャレの丘 1867

             この絵、すきですねぇ

ざっくりとした感じなんで読みやすかった。多くは、大成はしなかった息子(た
ち)にあてた手紙 ~ものすごい筆まめ~ が中心になっていたものの、もろに伝
記でした。
12歳でカリブ海小アンティル諸島セント・トーマス島からパリに出て寄宿
舎生活をおくりながら勉強し、5年ほどの後に島に戻るも、絵への情熱は冷める
ことなく、20ぐらいになってから転機となる絵画上の出逢いをする。25歳で
再びパリに出る。そして、印象派を(新印象派を挟んだとはいえ)始めからおし
まいまで通し、ほとんどパリ近郊でもって、不器用、生真面目に貫き通しちゃっ
たという画家人生。いくらかわかったような気がします。
 
中で使われている言葉(支援者の手紙など)でいうと、、、
  ・誇り高く善良で立派
  ・もっと栄光に値する
こんなのもある。これも著者じゃない、、、
  ・「やっぱり、モネよりずっと画家らしく、もっとずっと深い知性がある
   わ。モネの作品には、ロマン主義的な名残があることが多いもの。ピサ
   ロははまったく非の打ちどころがないわ」
  ・困難な人生を歩んだにもかかわらず、彼はしあわせな人間だった・・・
  ・最期の時まで、つねに陽気で、驚くほど若く、この上なく熱狂的で、長
   老のようにどこまでも冷静で、柔和であると同時に情熱的な心を持ち、
   立派な顔を思いやりで輝かせていた・・・

 

アナキスト」だとか、生活に根差しているとかいう表現には、賛成しかねま
す。こんな緩いものなら、ワタシだってアナキストでしょう。(なんて書いて
いいのかな・・・)
ワタシは「善良」なんて言葉がもっともぴったりきました。プラス「人望」か
な。突飛な絵には進まなかったが、いわば狭い世界の中で、実にいろんな工夫
を考え試していたよう。
スーラの早い死でもって新印象派が終わってしまったことが、よかったのか悪
かったのか。どうなんだろう。「理屈」と一線を画すことになったといっても
いいのではないかなぁ。
印象派の立ち上げや牽引役的存在だったのだけれど、一時抜けたものの、おし
まいも、印象派の締めくくり役を担った形。だからこそ、この本のタイトルに
もなったわけだ。
それと、記述はあまり多くはないけれど、子だくさんだった貧乏一家を、奥さ
んがよくもまあ長々と支え続けたこと。デュラン=リュエルという画商の存在
と、奥さんの支えに尽きるピサロ、という気がする。
 
名だたる画家のみならず、けっこうたくさんの芸術家との接点もあったのです
ね。そんな時代のパリだったのでしょう。モネとのスタンスの違いや友情、セ
ザンヌとの絵画論上の不和などはわかる気がするけれど、エミール・ゾラが一
時擁護してくれた、逆に擁護もした、なんてぇのはちょっと意外でした。

            マルヌ川のほとり、冬 1866

          ポントワーズのオワーズ川のほとり 1872

     テアトル・フランセ広場とオペラ大通り、陽光、冬の朝 1898

   ルーアンラクロア島とコルネイユ橋の眺め、薄曇り 1883

        白い霜、火を起こす若い農婦 1887-88

ほとんどが油彩。エッチングがパラパラ。水彩、グワッシュなんてあったっ
け。これは、という作品は、さすがにもっと大きなもので観たかった。
載っているのも観たいのも、ワタシは油彩。
そんなところでした。