番号順に聴いたわけではありません、メモする時に並べ直しました。 |
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第1番;室内オケへの改訂版(1947/1963)
若干野暮ったい感じの楽想だが色彩感があるし熱量もある。室内オケに改訂さ
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れたんだろうが意外に規模感もある。 |
管のアンサンブルにホルストの『惑星』みたいなサウンドもあったりして、、、 |
心地よい。作風が大きく変わったのが、恨めしいくらい。しかたがない。 |
第3楽章の不穏が、この後の序章でしょうか。 |
ピアノと多分チェレスタがちらちら入り、独特のカラーリング。 |
いずみシンフォニエッタ大阪で演ってくれんかなぁ。 |
(追)
いずみシンフォニエッタ大阪の総監督西村朗さんが先週、急逝されたん
でした。7月のコンサートでは、歩くのが少々不自由な感じは見えてい
ましたが、癌のほうはもっと進んでいたんですね。ご冥福をお祈りいた
します。
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第2番;
でかいオケになったが、鬱で陰気臭い。温度は低い。規模感はあまりない。
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この暗さ、自分に埋没してゆくのか、社会的な方向へ進むのか、第一楽章では |
まだ判然としない。しかし第2楽章に入るとわかる気がしてくる。社会的なほ |
うへだよね。そしてカタストローフ! 第3楽章はその後遺症的な暗いアダー |
ジョ。一応盛り上がって終わるが、感情的なものはほとんど感じられない。 |
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第3番; |
楽章の名から早速影響を受け、①はギリシャ時代の儀式的なものとモダンなも
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のとが同居する感覚。サックス、ピアノ、チェレスタなどが気になり始めると、 |
ギリシャ時代は消えちゃう。しかし②「古代ギリシャの酒神礼賛詩」風に入る |
とまた古代がどういうものか響く。古代をネタにとても緊張感のある描写。こ |
の曲なんかヘンツェはまだ23歳。老成してるよ。③に入ると、①と同じよう |
にサックスなどの音で、古代を離れそうになるが、バーバリスティックな表現 |
がやはり古代から離れない。ぶ厚くはないけれど、不穏で激しい盛り上がりを |
したまま、プツンと終ってしまう。第2番と通底しているような感じはある。 |
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第4番;
9つに分かれていて、個々の楽章は短い。主に4分音符の速度表示がタイトル
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代わりになっている。 |
体感温度低く、ウェーベルンを連想したけれど、そこまで修行僧みたいに「生 |
真面目」というわけじゃない。なに、哲学的思考の音楽化みたいなもんですよ、 |
などと(偉そうに)言っているみたい。ま、いつもの妄想です。 |
最後の⑮のみ、「大オーケストラ」を鳴らして、盛り上がります。 |
ただ、、、ワタシ、サウンドも曲想も暗いが色々あって案外いいですね、これ。 |
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第5番;
始めは妙に乱暴な感じがした。聴く人の神経をぶしつけに刺激するというよう
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な意味で、優しさ皆無・・・ |
でも、しばらく間をあけて聴いたら、印象がやや変わった。 |
体感温度の低い、抑えた調子からだんだん饒舌になって行く。人間関係の諸々 |
とか、社会的な、あるいは歴史的な事件や関心事が、網の目のように絡まって |
いて、それもちょっとホラー風味のあるサスペンス映画のよう。欲張りな作曲 |
家の欲張りな音楽という気もする。しかもまだかなり不満たらたら・・・ |
なんてね、完全にワタシの妄想。気に食わないようでいて、妙に刺激されては |
いるのです。(こうして、いろんな音楽を次から次へと聴きたくなる) |
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第6番;
三つのパートに分かれている交響組曲ふうで、中のバンド数は合計9つ。
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これだけがロンドン響との録音であることなんか別にどうでもいい。 問題は、 |
なんたって感想がまとまらないことでしたね。短い楽章個々の楽想は5番なん |
かよりは練れて洗練されてもいるようなんだが、それでも。 |
ま、5番で書いたことと大体同じようなものなんだけれど・・・ここでは(正 |
直に?)別のタイプの感想にしてみますか。 |
ミステリーやサスペンスの映画のかつての雄であったヒッチコック作品。その |
音楽をいくつも担当したバーナード・ハーマン。彼の音楽に倍する複雑なオー |
ケストレーションを施したような音楽なんだが、ハーマンとの共通点があると
思ってしまったのです。
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だから、その意味ではけっこう興味深いのだけれど、音楽は、心を打つ打たな |
いではなく、面白くないのです。タイプとしては好きなはずなのに。わけがわ |
からない。(ハーマンの音楽は実は決して苦手ではありません) |
たとえばワタシは、ヒッチコックの映画がどちらかというと苦手なんだけれど、 |
その苦手さの理由と思っていることとどこか似ている。どこが?と言われても
うまく言えないのがまた困りもの。
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人をじっくり描く気がほとんどなく、ただ動くキャラとして扱う感じ。少なく |
とも複雑な存在じゃなく、感情も妙に通り一遍。その意味するものがヒッチコ |
ックの人間性を表わしているかどうかはともかく。ま、そんなことと、たまた |
ま共通点を嗅ぎつけた気がしたのです。なのに・・・ |
なんだかすごい含みのあるサウンドがしているのに、結局味気ない。 |
感情をいわば無視でもしているかのようなところがある音楽だと感じられるこ
ともあるかも。
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例えばショスタコーヴィチだと、どうもこりゃあ「社会もの」らしいぞ、とい |
う感じがしても、気に入ったものもいくつもあった。共通するものはあるんだ
けどなぁ。
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ともあれ居心地がよくなかった。 |
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というようなわけで、勝手なもんだけれど、これも鑑賞記。CD2枚、2時間半 |
を何度か聴きとおし、毎回少しづつ印象は変化したものの、通じて、聴くのが |
あまり楽しくない交響曲群でした。 |
教養と社会的・歴史的な方向性のある音楽とでも言いましょうか。 |
あまりに感情が出過ぎたものも鬱陶しいし、これのように出ないのもシンドイ。 |
美麗なだけなのもすぐ飽きるし、これのようにまるでないのもイヤ。好みに近 |
すぎるのもちょっと「警戒」してしまうし・・・で、楽しめるものといっても |
案外いろんな条件があるもので、エエカゲンなものであるのはよくわかってま |
すが、でもね、好きな「クラシック」だけを“ためつすがめつ”して満足を得る |
よりは、いろんなものを聴くのが一応好きなのです。もちろん、ワタシなりの |
「クラシック」ってやつはあるんですよ。 |
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さて、印象が最も「悪くなかった」1番もしまいにゃあ色褪せてしまいました。 |
そして7番以降への再挑戦(他にもいろんなジャンルのものをリストアップし |
ています。ギター曲なんてよかったけどなぁ)は、相当遠のいてしまったみた
い。
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