休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

坂田明トリオ/赤とんぼ

20210217(了)

坂田明トリオ/赤とんぼ

 ①赤とんぼ(Akatombo) 5:57
 ②Tsombon Tuuraitai Khuren 8:20
 ③鰰(Hatahata)(記録映画「白神の夢」より) 11:10
 ④A Good For Nothing(役立たず) 5:49
 ⑤Wann kann ich Sie wiedersehn? 7:05
 ⑥家路(Going Home) 4:40 
    坂田明(Alt Sax,Clarinet,Bells,Bird Call)、
    黒田京子(Piano)、バカボン鈴木(Wood Base)
  (ダビングCD、録音:2004年頃)
   <★★★☆>

f:id:kikuy1113:20210302023325j:plain

四国在住の古馴染みが、何冊かの本やダビングしたジャズのCDを送ってくれました。
その中から何か紹介しようと思って、ちょっと迷った末、これを選びました。
タモリハナモゲラ語、といっても今じゃもう通じないかもしれませんね、そのもと
になったのがこの人。アヴァンギャルドに近いジャズと共に、まあけっこう突拍子も
ない人だけど、広島大学の水産出身で、ミジンコのことに蘊蓄がありましたっけ。
これを送ってくれた男も大学で養殖に関することをやって、その方面に進んだから、
坂田には、音楽だけじゃないシンパシーも持っていたのかも・・・
坂田はワタシより3つ4つ上。猛烈にモンゴロイドっぽい面構え・・・

f:id:kikuy1113:20210302023605j:plain

      (これは割と最近の写真のようです)

このアルバムはうっすら記憶にありますが、聴くのはたぶん初めて。
録音、いつごろなんでしょうねぇ、、、70年台か80年台? 違った。2004年ご
ろのよう。
 

一度聴いて少し抵抗があった。ところが2度目からはなんでか、かなり違った印象

になり、楽しくて、しかも妙に可愛く聞こえはじめました。ワタシもジジイになっ
たもんです。
 
一曲目の赤とんぼ、痙攣ふうなアドリブが、少し馴染んでみると、音の分散のさ
せ方がコルトレーンビリー・ハーパーを経、更に通り越して馬のいななき。こん
なもんを、素材をまるごとジャズの道具立てでやってしまうのがだんだんおかしく
なってきて、吹き出し、アジアや中東やアフリカで自国ものをジャズでやったら、
みんなこんなふうに奇妙にこえるんやなかろうか。そう思ったら、違和感そのもの
がひっくり返ってしまったみたい。もっとも、ジャズに垣根はない、そんな狭いジ
ャンルじゃないんだと言いつつも、本家と較べてしまうもんで、このジャズ、ど
こまで行っても「汽水域」みたいな境目を感じさせるような気もする・・・ これ
は海に入るまではなくならんが、まぁそれでエエンちゃうか・・・と。やっとこさ、
収めどころを得たような気になって、ハイ、オシマイ。可愛いもんです、ワタシの
音楽鑑賞なんて。
 
戻って、二曲目はまるっきりリズムがない。どうもモンゴル民謡らしい。あるいは
それに題材を得たもののよう。モンゴルなら馬のいななきが似合いそうだけれど、
それはない。
再び日本のものらしい三曲目。二曲目とも違ったノッペリ感が面白い雰囲気。なん
で白神に魚の鰰(ハタハタ)なのかはわからない。始めはちゃんとジャズらしいリ
ズムが聞かれる。やがて泣かせるメロディと共に非常に気持ちがこもってくる。
メロディもよし。いつも苦手なベースのアルコもいい(上手い!)ですが・・・
今頃書くのもナンだけど、なんでドラムスレスのトリオなのか、ということやね。
徐々に韓国系だとか中国系だとかを感じるようになりました。
 
4曲目はリズミカルだがアメリカ大陸じゃない、恐らく中東のイメージするものじ
ゃないか。ベースとピアノのリズムの上に、クラリネット
5曲目はなんやろ。この感じ、どこなのかよくわからない。タイトルはドイツ語や
けど。(皆さんといつ会える?という意味か) 曲調や盛り上げ方はやっぱりヨー
ロッパかなぁ。
(調べると、(3)(4)(5)は坂田のオリジナル)
最後は、ドヴォルザークアメリカでもって、ボヘミアを思って書いたと言われる
曲やけど、そうは聞こえない、一曲目の唱歌ふうで、それを二拍子のゆっくりした
ダンス・チューンにしたみたい。
 
ドラムスがないとはいえ、ジャズの道具立てで、流れてくる音楽は、ジャズなんだ
ろうが、どうもジャズっぽくない。そこで汽水域なんて言葉を持ち出してみたわけ
です。いまいちの譬えですよね。それでも、河口に至っても、アメリカのジャズと
は容易に混じりあうことはなさそうだなぁ。一緒にすれば、聴いた人は、ナントカ
とナントカの『融合』とか言って、わかったようなふりをしたがるだろうが、ワタ
シは多分、ずっとそんな気にはなれないだろうね、わからないけど。
 
でも、このアルバム、なかなか刺激的です。ひょっとすると名盤かも知れません。

f:id:kikuy1113:20210302023717j:plain

(これがたぶんオリジナルのジャケット写真)

ロシアのSF映画『ワールドエンド」

  ロシアのSFものって、SFのコーナーにたくさんあるのです。B級もの

  の扱いというふう。

 

20210216(了)

映画『ワールドエンド』

 
 監督;イゴール・バラノフ//ピョートル・ヒョードロフ/アレクセイ・チャドフ/
          スベトラーナ・イワーノフ/コンスタンチン・ラブロネンコ
 音楽;ライアン・オッター
 2019年製作/154分/ロシア/原題:The Blackout/DVDレンタル
 <★★★△>

f:id:kikuy1113:20210227003511j:plain

<映画.com>解説から: 人類誕生に秘められた謎と、人類とエイリアンとの戦
いを描いたロシア製SF大作。遠くない未来、宇宙空間から飛来した放射線によ
って全世界で電力が喪失するブラックアウトが発生する。月の陰になっていた
一部の地域だけが被害を免れ、ロシア軍特殊部隊が調査を開始するが、正体不
明の敵の襲撃により次々と部隊は全滅してゆく。そんな時、20万年前に地球に
やって来た異星人・イドが姿を現す。やがて消滅する母星から地球への移住を
計画した異星人たちは、当時地球を支配していた先住民族を駆除するため、似
たDNAを持つ人類を生物兵器として地球に送りこんだと言う。そんな彼らの最
後の計画は、現在の地球を支配している人類を奴隷化し、地球を手に入れるこ
とだった。巨大UFOの移住船の地球到着は明日に迫っており、人類に残された
道は、奴隷を操るエイリアンを倒すことのみだった・・・
 
ロシア映画だから、上手い具合にロシアにしか被害から免れる地域がありませ
ん。それが上記解説のように軍もどんどんやられて行って、人類の灯はまさに
消えてしまおうというところまで追い詰められます。
異星人の1人は一応地球人を助けようという理屈で地球人に顔を晒すが、今一
人は、地球人を滅ぼすべく、生者を操る。
どこまでその理屈が正しいかどうかは判然としないが、とにかく、このエイリ
アンは人類とDNAがほとんど同じなのに人類とは雲泥の能力があり、20万年
前から地球にやってきていて、人類の進化に関わったのみならず、地球人にと

っての「神」として存在し続けつつ、着々と移住の準備を進めてきていたとい

う。

引っかかるのは地球人に関する理屈で、一面は言い当てているものの、そこま
で地球人て単細胞なの?ということ。そりゃそうかもしれないと思う一方、そ
れが(≒人類代表としての自尊心⁉が)この壮大な作品の柄を小さくしてしま
ったみたい。
まあ、エイリアンが地球にやってくるなら、その精神構造も科学技術に関して
も想像できる尺のものではあり得ないから、映画で描くのは無理でしょう。こ
れは言葉で尽くしてみるしかないんじゃないでしょうか。
 
で、追い詰められた人類は、最後にどうなるんでしょう。締めくくりに宇宙船
がやって来ます。その中にはいったい何が・・・ てんで、それは言うわけに
は行きませんし、結果や結論ははっきり見せてくれるわけでもありません。
人は映画ならではで、やたらめったら死んじゃう。
でも、映像的な迫力は十分でしたよ。
ちょっと見ただけですが、ネットにおいては人気はあまりないみたいでした。
SF映画やゲームに慣れている人でも(?)けっこう楽しめるんじゃないでし
ょうか。ワタシはゲームって全くしない人間なので、想像ですけどね。
そう言えば、ロシアって(ソ連時代ですが)考えてみれば、もともとSF小説
有名で、すぐれた作品が多かったはず。若い時には少しは読みました。もっと
も、お隣の国のレムに関心が向いてからは、興味の対象ではなくなってしまい
ましたっけ。

ロシアのSFものって、SFのコーナーにたくさんあるのです。B級ものの扱い

というふう。その中から選びました。これは大作だとは思います。

 

 
音楽は、ズンズン、ドンドン系。ヨーロッパから採用したのかな。おもしろく
はないけれど、まあこんなもんでしょう。

ストラヴィンスキー/ペトルーシュカ、春の祭典

~20210131

アンセルメストラヴィンスキー全集 1 (3-2)

  ERNEST ANSERMET EDITION - STRAVINSKY(1882-1971)
●CD 2
 (3)バレエ音楽ペトルーシュカ」全曲(1911年版) ①-④
      <★★★★△>
 (4)バレエ音楽春の祭典」全曲(1911-13) ⑤-⑱
      <★★★☆>
  エルネスト・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団
  録音;ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホール
  (3)1957年4月 (4)1957年10月
  1994年/CD4枚組/管弦楽/ポリドール/邦盤/(Decca/London)中古

f:id:kikuy1113:20210225001734j:plain

●CD 2
(3)バレエ音楽ペトルーシュカ」全曲(1911年版)
火の鳥」の2年後(1957年)の録音で、更に素晴らしい。上に手筒花火に譬
えたが、けっこう当たっている気がする。当時としてはすばらしい録音と、あま
り弄らないテンポで、十分にバレエの舞台を彷彿させる。ひんやりしてきらびや
かな音色ときつーいドラマ! 若い時にいいもの聴けていたんだなぁと嬉しい。
少しだけ残念なのは、デジタルマスタリングによって、響きが若干痩せたかもし
れないと感じたこと。多分記憶違いや錯覚じゃない。アナログのデジタルリマス
タリングではありがちなことだけど。(ヘッドホンで聴いたらLPで聴いた時を思
い出しました・・・普段聴いている音の程度がけっこう低いんだ)

 

LPの音を、もっと含みのある音だと思う、CD化されるとどうも音が痩せた感じ
がする、、、云々、もう古い話なのについ書いてしまったりする。今更なにを言
ってるんだとあきれる人も多かろう。(ワタシの書くものを運悪く読んでしまう
人はごく少ないから、まああまり問題はないのでしょうが) でもこれはかなり
確実で、決して「なんとなく」そう感じるわけではないと思う。
CDは、上が20000Hzぐらいでちょん切られて、どうやら特に上のほうの影響
が大きいらしい。
ならば、馬鹿なことを言うようだが、LPのほうがいい音だったというのなら、
単純にもうちょっと上の音域を広げてみては?と思うのだが、どうなの。
聞こえないはずではあるんだけれど、それでもやってみれば何か感じるものが
あるのではないか。
そうしない理由があるんだろうね。大体人間の可聴周波数帯ってものもあるん
だし・・・(やはり「なにを今更馬鹿なことを、なんでしょうな)

 

(4)バレエ音楽春の祭典」全曲(1911-13)
アンセルメの「春の祭典」は我ながら意外で、初めてです。
この曲はクラシック音楽ファンにとって、まあ、いわば現代音楽の入り口とでも
いうべきものでね、みんながみんなといってもいい、聴くのはある種の通過儀礼
みたいなもの。ここから戻ってもよし、先に進んでもよし、なんて感じかな。
ワタシはこの曲、随分な回数聴いたことになります、きっと。好き嫌いから言え
ば、勿論好きでしたが、多分「火の鳥(全曲)」や「ペトルーシュカ」ほど好き
ではないかもしれない。
とにかくいろんな演奏を聴きました。なにせ抜群の人気曲だから、レコーディン
グもとんでもない数がなされてきた。ラジオでもさんざんかかる。もっとも、ワ
タシが聴いた数なんてほんのわずかなものですが、それでも聴いたものは、よほ
ど料理のし甲斐があるのでしょう、さまざまな工夫に満ちた演奏が多かった。も
うこの何年も聴いちゃいませんでしたけどね。ハハハ。
 
で、その経験をもとにアンセルメ盤を聴いたわけです。(前段、長すぎ・・・く
どいですよね。でも、ワタシも納得したいのです、それだけ気になり続けた音楽
なのです。そういうかたきっと多いと思いますよ・・・)
 
録音は「ペトルーシュカ」の数か月あと。十分に優れていました。特徴的なのは
テンポ。ほとんどインテンポで通している。「ペトルーシュカ」や「火の鳥」と
同様で、基本的にはバレエ音楽という条件下の演奏になっているように思います
ね。精度もそこそこいい。決して緊張感がないわけじゃないのですが、表現個々
ということになると、その後のさまざまな録音からすると緩くてのんびりしてい
るかのようですし、ワタシ自身も若干はそう思わぬでもない。
で、今のところの結論はというと、それでもこの演奏の価値は薄れていない気が
する。初演のピエール・モントゥーのものもそう。作曲者ストラヴィンスキー
意図がものすごく濃く反映していると思うからです。アンセルメもモントゥーも
作曲者と話し合ったようですしね。それに、不思議なことに、いやこれが大事な
んですが、意外や思いのほか「野趣」のようなものを、原初的とでもいような先
祖の人間を、濃く感じるのですよ、この演奏。今となっては最高にオケが上手い
なんてこともない、むしろあちこちミスっぽいところもあるにも拘らず、瑕だと
思わない。なんででしょう。一つには、バレエによるドラマの追い方になってい

るから、なんてことなんじゃないかと思います。少し苦しいか。どんなもんでし

ょう。

『ナイブズ・アウト』

20210209(了)

映画『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』

  ライアン・ジョンソン監督//ダニエル・クレイグ/アナ・デ・アルマス/
  クリス・エヴァンス/ジェイミー・リー・カーティス/ドン・ジョンソン/
  トニ・コレット/クリストファー・プラマー
  音楽:ネイサン・ジョンソン
  2019年製作/131分/G/アメリカ/原題:Knives Out/DVDレンタル
  <★★★△>

f:id:kikuy1113:20210223181545j:plain

<映画.com>解説から; 「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」のライアン・ジ
ョンソン監督が、アガサ・クリスティーに捧げて脚本を執筆したオリジナルの密室
殺人ミステリー。・・・世界的ミステリー作家ハーラン・スロンビーの85歳の誕生
日パーティーが彼の豪邸で開かれた。その翌朝、ハーランが遺体となって発見され
る。依頼を受けた名探偵ブノワ・ブランは、事件の調査を進めていく。莫大な資産
を抱えるハーランの子どもたちとその家族、家政婦、専属看護師と、屋敷にいた全
員が事件の第一容疑者となったことから、裕福な家族の裏側に隠れたさまざまな人
間関係があぶりだされていく・・・
 
 
監督のオリジナルの脚本のミステリーというのがいいと思いました。
一見自殺のようにも見えるが、話は、あるいは捜査は、他殺を疑って進んでゆく。
始まってしばらくすると、警察官をさておいて、捜査の中心はどう見ても探偵ブ
ランが握っているような感じに変わってしまう。ホームズやポワロのように警察
には一目置かれていることがわかる。しかもこの探偵、そんなふうに前面に出て
くるくせに、警察のサポートじゃない、だれかに雇われている。それに守秘義務
どころか、本人も誰に雇われているのか、わかっていない。
 
昼行燈ではないものの、この探偵、どこまでできる男なのか、いまいちわからな
い。まあ最後には、スッキリさせてくれますけどね。
遺産の問題がドーンとあるので、暗くえげつない争いが起きるかと思いきや、案
外それほどいやらしくもない。それは誰か企んだものがいるとすれば、それがふ
つう意外な人物が絡んでいなきゃならないが、理由がそんなに切羽詰まってもい
ないだろうというのもミソ。それはもちろん言えないけれど、捻り方も決してア
クロバティックなものでもありませんでした。むしろ魅力は軽み・・・
その辺から、評価はきっと高くない・・・
 
知った役者が集められていました。
つい先日亡くなったC・プラマーは始めに死んでしまう役。
D・クレイグは主役の哀しさで、あまり魅力的とは思えませんでした。
ヒロイン役といっていいアナ・デ・アルマスがとても魅力的。そのキャラが少々
特殊で、嘘をつくと吐き戻すという。これがいろんな形でストーリーを回すし縛
りにもなる。笑いも取る。先日『THE INFORMER 三秒間の死角』で見たばかり
の女優さんでした、どうりで・・・。
この邸宅の警備員の爺さんが短い出番で出て来ます。M・エメット・ウォルシュ。
いくつもアクの強い脇役として見てきましたが、ご存命だったようで、なにも驚
くことはないのに、ちょっと驚きました。
音楽は残念、つまらなかった。金がかけられなかったのか、意図的なのか、よく
わかりません。

雪男は向こうからやって来た

20210207(了)

角幡唯介/雪男は向こうからやって来た

  プロローグ
 第一章 捜索への招待(2008年3月17日 日本)
 第二章 シプトンの足跡
 第三章 キャラバン(2008年8月17日 カトマンズ
 第四章 登山家芳野満彦の見た雪男
 第五章 密林(2008年8月26日 アルチェ)
 第六章 隊長高橋好輝の信じた雪男
 第七章 捜索(2008年8月30日 タレジャ谷)
 第八章 冒険家鈴木紀夫だけが知っている雪男
 第九章 撤収(2008年9月26日 コーナボン谷)
 第十章 雪男単独捜索(2008年10月15日 ポカラ)
  エピローグ
       2011年8月/集英社/単行本/冒険/中古(コミセン書棚)
       <★★★☆>

f:id:kikuy1113:20210221014536j:plain

『極夜行』で大きな賞を獲っていて、読んでみたいと思っていたのですが、
パートの職場のコミュニケーション・スペースという、まあ一種の勉強部屋
の隅に本棚がいくつかあって、ご自由にどうぞという、読んでもいい、持ち
帰ってもいい本がそこそこたくさん、雑多に並んでいる。ワタシも要らなく
なった本を寄贈しています。
絵画展のでかい図録など、ここのやつを何冊か楽しませてもらって印象が強
強いですね。特に気に入ったのはいただいちゃいました。
そんな本棚の中にあったのを持ち帰り、半年ほども放置していたのをつい読
読み始めてしまった。いつもいつもエエカゲンな読書です。
これは読んだことのある『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンボー
峡谷に挑む』の次の作品かもね。それが面白かったから、『極夜行』でなく
てもいいかぁ、と。
 f:id:kikuy1113:20210221014751j:plain
なかなか歴史のある雪男の探索。
いろんな日本人も挑戦していたんですねえ。登山家もたくさん登場し、あの
田部井淳子さんも、ヒマラヤ登山ついでにしっかり見ていたらしい。
それ対し、若い冒険家が就職した朝日新聞を退社して、超真面目に挑んだ長
編ドキュメンタリー。32-33歳の頃のよう。
といっても、雪男がいるとか、いたとか、確定しているわけじゃないのは誰
だって知っているわけで、であれば、どんだけ「いやいや、これは絶対いる

なぁ」と思わせてくれるような探索の過程を読んで楽しもうという、ただそ

れだけ。

そして、ほぼそう思わせてくれたから、正解です。

f:id:kikuy1113:20210221014906j:plain

          (右のはワタシも見たことがある写真)

 

それにしても、単調にならないように、中身や文章をこれだけ工夫すること
は大変やね。いや、冒険自体こそタイヘンで、最後には単独行もやってのけ
ている。
 
この冒険家が、同じ早稲田の冒険部出の高野秀行とはかなりタイプが違って、
間違いなく普通の人より自然に対する無謀の度合いが強いのはわかる。
もはや未開拓(未踏)の自然というのはほとんどなくなってしまって、冒険
といっても、高野の方向に行くのが自然な気がする。それなのに植村直己
世界を何とか探し出して挑戦する。当然常に体を鍛える・・・
でもさすがだと感心したのは、過酷で孤独なダウラギリ山系において、発揮
するあきれるほどの辛抱強さ。面白さはこれにこそ支えられていると思いま
した。
 
去年の10月の朝日の朝刊、この1月末ごろの毎日新聞の夕刊に、それぞれ
角幡氏のほぼ一面を費やした長いインタヴュー記事をみつけてありまして…
本人にとっちゃあ「有要有急」の探検のつもりで出かけていて帰国したら、
そんなのは「不要不急」だ、社会のためにはならない、などと突っ込まれて、
ビックリしてしまったとか、「点」を目指さず「面」と出会うことをこころ
がけるようになって来たとか、「未踏の呪縛」から自由になったとか喋って
いる。それでも、高野秀行さんの行き方にはきっとならない。
これらの記事は本に挟んでおきましょう。
(本の引用も新聞の引用も、面倒なのでパス)

f:id:kikuy1113:20210221015024j:plain

             (この写真だけ・・・)


 

ストラヴィンスキー/火の鳥、うぐいすの歌

~20210128

アンセルメストラヴィンスキー全集 1/(3-1)

  ERNEST ANSERMET EDITION - STRAVINSKY(1882-1971)
●CD 1
 (1)バレエ音楽火の鳥」全曲(1909-10) ①-⑮
      <★★★★>
 (2)交響詩「うぐいすの歌」(1917) ⑯-⑱
      <★★★★>
  エルネスト・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団
  録音;ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホール

    (1)1955年4月 (2)1956年10月11月

  1994年/CD4枚組/管弦楽/ポリドール/邦盤/(Decca/London)中古

f:id:kikuy1113:20210219004908j:plain

名指揮者エルネスト・アンセルメ(1883-1969)のストラヴィンスキー
ステレオ録音をまとめたものが手に入りました。当然オーケストラが主の作
品群。4枚づつのセットもの2つを一つの箱に収めたもの。
お二人は同世代。親交があったかどうかよくは知らないが、なんかそんなこ
とを読んだような気がする。
アンセルメは「調性」を離れるのは嫌って、それが理由かどうかはわからな
いが、親しくなくなったような記憶もあります。一方ストラヴィンスキー
ほうはスタイルをどんどんかえて行く巨人で、無調やセリーにも挑戦したは
ず。もっとも、セリーにはどっぷり嵌ることはしなかったんじゃなかったで
したっけ・・・ このごろはそんなことはあまり気にしなくなっちゃいまし
たね、こっちは。
アゴン』『エディプス王』とか、協奏曲系も入ってないですね。録音した
かどうかまでは知りません。ま、そんなに拘ってません。詰め込んで超安く、
8枚も聴けるんですから。
 
ここに収められている曲の内、アンセルメで聴いたのは、「火の鳥」と「ペ

トルーシュカ」の二つだけでしょう、ちゃんと聴いたのはという意味ですが。

きっと「プルチネッラ」あたりは聴いているはずです。
そのかわり、この二つだけは猛烈に聴きました。勿論LP時代。
だからこの2曲についちゃあ、当然ながらアンセルメの演奏がその後の規範
になってしまいました。55年とか57年の録音だったんですねえ。
ペトルーシュカ」なんて、演奏もスゴイが、英デッカの録音もすごくて、
手筒花火を持って降り注ぐ火の粉を浴びているみたいでした・・・ そんな
記憶です。これが若者の感性にどれだけ影響を与えたか! 美化されてもいる
んでしょうけどねえ。実際CDはやっぱり少し色気が抜けてるのでしょう。
適当に切りながら、順番に、ゆっくり楽しみます。
 
 
●CD 1
(1)バレエ音楽火の鳥」全曲(1909-10) 
1955年の録音、65年前かぁ、ステレオ最初期だったんや。驚いた!立派!
第2場の二つ前までの幻想味による包み込むような雰囲気が実にいい。スピー
ドの変化には頼らずゆったりとしてこれ見よがしな表現がまるでない。とい
って繊細な表現も十分でね、もう少し冷たいとか、録音的に少しレベルが低
かったとかいった記憶があったんだが、気にならなかった。そして遂に訪れ
る爆発的な盛り上がり以降は、エンディングまで高揚感がすばらしかった。
でも、書きにくいワ、弁護めいたことを書きそうになる。聴き過ぎて、アバ
タもエクボ状態になっていたのかもしれない。
ただ、アンセルメの後年のニューフィルハーモニア管との再録音盤を聴いた
時は(雑誌では非常に高評価だったのに)、ワタシは特に大きく心を動かさ
れることもなく、旧録音で十分じゃないかと思いました、確か。先に書いた
ように、ひょっとするとそう思い込もうとしたのかもしれない。自分がずっ
と聴いてきたものをなぜか「弁護」しようと心が働いてしまっただけかも。
自分の性格的に、ありがちだなぁ。ともあれ今回久々に聴いてみて、間違い
なくすばらしい魅力的な演奏だとわかったのが嬉しい。
 
(2)交響詩「うぐいすの歌」(1917)
もともとバレエ音楽だったのを、ディアギレフが交響詩に編ませたものだけ
ど、バレエとして作曲していた時期は、「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春
の祭典」などと少しダブっているせいか、いずれにも通じるサウンドが聴か
れて親しみが湧くし、規模がそれらよりはかなり小さいという違いが随分違

ったサウンドにも繋がって楽しい。とはいえ、まだまだ大きく舵を切る前の

ストラヴィンスキー

この作曲の少し後(数年後ぐらい)からラヴェルが作曲をはじめたオペラ、
『子供と魔法』に、なんと、この「うぐいすの歌」に似たサウンドを聴きつ
けた気がしまして、ちょっとビックリしました。そうか、ラヴェルはストラ
ヴィンスキー聴いてるよな、きっと・・・  ついついこういう聴き方をして
しまうのも、こんなことで喜んじまうのも、どうかと思いますが、まあしょ
うがないですね、特にクラシックのジャンルなんて。
歌の美しさは世界共通のようで、ウグイスの歌を治療に使うという、うぐい
すにとっちゃあ迷惑な話(ストーリー)。
 
お次は人気曲のカップリングです。
どんなことを書くことになりますやら・・・

映画『イエスタデイ』

20210203(了)

映画『イエスタデイ』

  ダニー・ボイル監督//ヒメーシュ・パテル/リリー・ジェイムズ
  2019年製作/117分/G/イギリス/原題:Yesterday/DVDレンタル
  <★★★★>

f:id:kikuy1113:20210216005425j:plain

どんなものかよく調べもしないで借りました。よく使われる「アビー・ロード」
のアルバムジャケットのもじりのポスターだったので、ザ・ビートルズと関係が
あるとは思っていましたけどね。観てビックリ。全くのファンタジーでした。
 
英国のどこかですね。インド系の若いシンガーソングライター、ジャックがホー
ムセンターでアルバイトをしながら、自作を細々と発表している。ごく普通の家
庭の出身。幼なじみの女性がマネージャーまがいの手伝いをしている。彼女は数
学の教師。
ある時(イギリスにとっては夜)、地球全体が(!)12秒の停電を起こす。磁
気嵐だったか、なにかそんな理由。で、おりしも自転車に乗っていたジャックは、
バス(トラックだったかな)にはねられ昏睡。醒めると、世の中がちょっとだけ
変わってしまっているのね。なんと、ザ・ビートルズがいなかった世界になって
しまっている!
まあほかにも無かったことになっているものがあって、徐々にギャグっぽくなっ
てゆくんだけれど、ともあれ、ジャック以外にザ・ビートルズのことを(=曲を)
知っている人間がまるでいない。レコードも本もネットにも、一切ビートルズ
いなかったことになっている。
癒えて活動を始める。最初は知り合いたちに「イエスタデイ」をポロンとお披露
目。皆いい曲だと感心してくれこそすれ、ビートルズのビの字もわからない。何
曲か歌ううちに、当然名曲のオンパレードなんで、徐々に人気が出て、業界人の
目に留まりだし、その世界に取り込まれるようになって行く。人気と共に活動が
みるみる広がり、そしてせわしなくなって行く・・・
他人のふんどしで有名になって後ろめたいだけでなく、自分でなくなって行くの
にも猛烈に不安を覚え始め、ザ・ビートルズの曲で言えば、もろに「HELP!」
という曲そのものになって行く・・・ まるでディズニーのストーリーみたい。
 
ザ・ビートルズは、中学校の3年生ごろには人気が出始めていたような記憶があ
ります。プレスリーの人気と入れ替わるような感じだったかな・・・ ロック
といってもまだバタバタしたロックンロール系の曲ばかりだったかなぁ。こっ
ちはある重大なきっかけがあって、クラシックに入れあげ始めていたから関心
外だったのですが、ラジオでどんどん耳に入るようになるに及んで、いい曲は
覚えるようになってきちゃった。その後は現在進行形で聞こえ続けていました

が、ポップスにさく時間はなかった。しばらくの後、ジャズには開眼しました

けどね。

ところが、なんとレコード業界に関係のある仕事に就いたため、彼らのレコー
ド群とも縁は続いたと言っていいと思います。まあそんなことはどうでもいい
ようなものなのですが、ワタシの年代はそんなふうにこのバンドや個々人の活
動と同時進行で成長して行ったような面がなくもないもんだから、この映画の
ような扱われ方には、ワタシだけでなく、今やジジババになったみんなも、ノ
スタルジックに反応する人が多いんじゃないかな。
 
そうそう、「疑問」を持ったらしい人、初めて聴くわけではなさそうな人が二
人ほど現れるのです。さあどうなってしまうのだろうと、不穏を感じさせます。
でもうまく回収され、ファンタジーで通してくれてます。(ネタバレですかね)
シチュエーションが面白く、それがすべてじゃないでしょうか。まあ、二番煎じ
は当分出来ないと思います。
最後あたりで、ロバート・カーライルが意外な人物を演じています。背丈はと
もかく、顔はかなり似ていた、多分。