休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

小説『宝 島』

20211021(了)

小説『宝 島』
 第一部 リュウキュウの青     1952-1954
 第二部 悪霊の踊るシマ      1958-1963
 第三部 センカアギヤーの帰還   1965-1972
 
   2018年6月/小説(冒険・ミステリー系)/講談社/単行本/もらいもの
   <★★★☆>

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(新聞の文庫本新刊の推薦文から) 1950年代の沖縄で、米軍基地に
忍び込み、生活に必要いな食料や衣料品を盗んでは、貧しい住民に分け与
える「戦果アギヤー」。リーダーであるオンちゃんが嘉手納基地で消息を
絶ち、ヒーローを失った地元民たちは悲しみに暮れた。しかしオンちゃん
の生存を信じる仲間たちは、それぞれの人生に進みながらも、闘い続ける。
昨今、国民からの信頼が得られない政治家たちに、オンちゃんのような信
念と愛はあるだろうか・・・
 
冒険系のミステリーとして「このミス」でも高評価を受けた力技エンタテ
インメント。タイトルは覚えてました。
沖縄の言葉遣いを多く入れているのはわかるとして、言葉自体が妙に洗練
されないものというか、坐りのよくない述語を多く入れ込んでざらつき、
するっとは読ませない。独特の雰囲気に貢献してはいました。
 
推薦文にもあるように、オンちゃんを探すことがずーっと通奏低音にあっ
て、これがなかなかのミステリーなんだけれど、そこに沖縄の基地の様々
な問題や、それがオンちゃんと親しかった主人公三人の若者の進み方に与
えた影響を絡めて、けっこう重たるく進んでいくのね。いやでも沖縄のあ
るべき姿や政治的な話が、ストーリーとは一定の間隔を置いて描かれるも
のの、読む以上は気にしないではおれない。まあそんな構造です。
 
実はこんな話だとは全然知らないで読み始めてしまいました。
横文字では HERO's ISLAND であって、TREASURE ISLAND じゃないんだ。
学生時代の友人が、いい歳して、ダビングしたCD(主にジャズ)と小説を
送ってくれた、その中の一冊で、どうもね、本をもらうってのはシンドイ
んだよね。まあ今さらしゃあないけど・・・ 
後半、読むスピードが上がりはしたのですが、大人になってゆく彼らに結
局澱のように残ったままであるものが感じられ、読み終えてもすっきりす

ることはなく、ちょっと疲れました。

(それこそがこの場合の読書効果ってもんか・・・)

ワタシにゃあ、どうせ基地のある沖縄(シマと訳される)のことちゃんと
理解をしていないんでしょうが、「そういう感覚のもの」があるんだとい
うことだけは、いくらなんでも学習したみたいですからねぇ。

トゥーツ・シールマンス/ヨーロピアン・カルテット

20211018(了)

トゥーツ・シールマンス

  /ヨーロピアン・カルテット・ライブ

 
①アイ・ラヴズ・ユー・ポーギー(Heyward/Gershwin)
②サマー・タイム(Heyward/Gershwin)
③アイランド(I.Lins)
酒とバラの日々(J.Mercer/H.Mancini)
⑤サークル・オブ・スマイル(J.Haanstra)
⑥ラウンド・ミッドナイト(B.Hanighen/C.Williams/T.Monk)
⑦枯葉(J.Prevert/J.Kosma)
⑧ミッドナイト・カウボーイのテーマ(J.Barry)
⑨オン・グリーン・ドルフィン・ストリート(B.Kaper/N.Washington)
⑩行かないで(J.Brel)
⑪ブルーゼット(T.Thielemans)
⑫フォー・マイ・レイディ(T.Thielemans)
 
  トゥーツ・シールマンス<1922-2016>(harmonica)
  カレル・ボエリー(p,synth.)
  ハイン・ヴァン・デ・ガイン(b)
  ハンズ・ヴァン・オースターハウト(ds)
  録音:live in 2006,2007 and 2008
  CD/2000年/ジャズ//TIMELESS/ウルトラ・ヴァイブ/邦盤
  <★★★★>

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レコード業界の情報を得なくなってからずいぶん経ちましたからね、このウ
ルトラ・ヴァイブなんて会社、知りませんでした。オランダの名門と言われ
るタイムレスというレーベルのことも。
こっちは1970年台から不遇のジャズ・アーティストをどんどん拾い上げ
ていたそうな。その一種の復刻シリーズの第2弾の中にあるアルバム。
 
たしか去年、ハーモニカ奏者の代名詞シールマンズの代表作を何か、と、3
枚組を手に入れてみたところ、とても良かったもんだから、他にも何かよさ
そうなものを探して、たまたまリストアップしておいたのがこれ。
上記3枚組のように、ゲスト参加的なものもいろいろ入っているなかなか珍
らしい集め方のものとは違って、こっちはご本人が完全にリーダーを務めて
いるジャズ・ライブ・アルバム。まあ、ライブ音源からベストチューンを集
めたものだけど、といっても一応オリジナル・アルバムと言えると思う。
 
オリジナル曲の⑪と⑫以外はあまりにも有名な曲ばかりだし、特別変わった
演奏が入っているわけでもない。そういう点は新味に欠けるけれど、小うる
さいところの全くない、品よく美しいジャズアルバム。飽きも来ない。
ハーモニカ奏者の代名詞と上に書いたのはワタシの思い付きだけれど、多分
昔からきっとそう言われているはず。いろんなジャンルに顔を出し、録音の
数なんてきっととんでもないだろうと思う。
こういう、ハーモニカがリーダーのジャズなんて他にほとんどないでしょう。

ワタシは知らないなぁ。ま、ハーモニカであること以外は超普通のモダン・

ジャズなのです。

 
曲ごとの感想を書くのはやめます。よくこう書いて、実際はうだうだ書いち
ゃうんですが、、、

(⑧「ミッドナイト・カウボーイ」はもともとシールマンズのハーモニカ、

入ってたのかな・・・懐かしい、映画も音楽も時代も町も・・・)

(③はボサノヴァ。トゥーツはボサノヴァ系への録音、多いよな。小野リサ

のアルバムにだって確か入っていた。ここじゃ、、、イヴァン・リンスの声

が聞こえてきそう、これいいねぇ・・・)

なんてね、つい書いてしまいそう。

 
「ああよかった、また聴きたくなるな」 おしまい。
 
で・・・①と②が、ガーシュインなんで、少し前の著作権の記事のことを思
い出しました。長くなりますが・・・

 

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(9/10 夕刊)

ガーシュインの337曲の著作権が存続!
面白い話もあるもんや。著作権が復活するという。
***
弟ジョージだけで作曲したものもある。「ラプソディー・イン・ブルー」な
んかそうなんで、とすると、クラシック系の曲はそうなんじゃないか(これ
は想像)と思われるが、ポップス系は兄アイラとの「競作」が多かったらし
い。「ラプソディー・イン・ブルー」と「ヘ調の協奏曲」、有名曲がちりば
められているオペラ『ポギーとベス』以外にはクラシック系の有名曲なんて
知らないからねえ、有名なのはほとんどがポップスなんじゃない?
その競作の証拠がはっきりしたことにより、兄アイラが亡くなった1983
年からすると、著作権がまだ続いているではないか、ということになった。
今は、米国の著作権は亡くなってから70年らしいから、2053年まであ
るってことになっちゃった。
証拠集めは米国の著作権団体のお手柄で、この団体も、ガーシュインゆかり
のかたがたにも、実入に繋がるんだよね。
来年の1月から、日本のJASRACも徴収開始・・・ ちゃんと徴収出来るだろ
うか。「サマー・タイム」をはじめとした有名曲が含まれる。

バルトーク;「オケコン」&「弦チェレ」

20211009(了)

バルトーク(1881-1945)

   /「オケコン」&「弦チェレ」

 
(1)管弦楽のための協奏曲 Sz.116
  ①9:56 ②5:58 ③7:55 ④4:13 ⑤8:58
(2)弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 Sz.106
  ⑥7:03 ⑦7:00 ⑧7:00 ⑨6:42
(3)5つのハンガリー・スケッチ 作品38
  ⑩村での夕べ 2:42 ⑪熊の踊り 1:38 ⑫メロディ 2:00
  ⑬ほろ酔い加減 2:15 ⑭豚飼いの踊り 1:58
 
  フリッツ・ライナー指揮/シカゴ交響楽団
  録音(1)1955年10月、(2)(3)1958年12月、シカゴ・オーケストラ・ホール/76:25
  1994年/CD/管弦楽/BMGビクター/邦盤/中古
  <★★★★>

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 バルトークの超人気曲二つが入っている。LP時代には1枚には入りきらず、
別々の盤が必要だった。これは、そりゃ勿論聴きますが、既にさんざん聴い
た録音で、CDは持っていなかっただけなので、聴くというより記念、かな。
LP時代には決定盤ふうな扱いで、ワタシもこの「弦チェレ」には特にイカ
ました。高校の終り頃から大学生のはじめごろまでですから、一体何年前だ!
 他に輸入盤が2種、出品されていて、リマスターのレベルがもっと上だった
かもしれないけれど、なにせこの日本盤、ほぼ送料だけなのに、状態が非常
に良いと書かれていたので・・・ ま、どうでもいいことです。
 
 先日、たまたまテレビでパーヴォ・ヤルヴィ指揮のNHK交響楽団管弦楽
のための協奏曲(「オケコン」)がテレビで放映され、その際ヤルヴィさん
のインタヴューが事前に流れました。オケコンは、バルトークの晩年にも近
く、体調への不安や自身の置かれた事情に対する気持ちなどが濃くにじみ出
ているんだと、おっしゃっていた。ワタシも賛成。
 バルトークの伝記等からの知識では、オケコンや弦チェレは、自分本位の、
聴衆を無視したような作品ばかり書いていてはだめで、大衆におもねるとい
うのじゃなくても、もっと聴衆受けする、楽しめるものも書かないと、自分
自身の貧窮を救えない、体も直せない、などと言われた結果、仕上げた作品
なんだ、、、というふうに知識としては持っていました。そうなのかなぁと、
実は釈然としなかったんですけどね、長い間。
 それを、上記のヤルヴィさんの一言でスカッとひっくり返せたといわけじ
ゃないとはいえ、やっと胸のつっかえが少しだけ解消できた気がしたのです。
特に追いかけていた問題というわけでもないので、自分のせいでもあるので
すけどね。なんだ!ちゃんと同じような考えの人もいるんじゃん・・・ 
 なんてね、エラそうに。

 ハハハ。音楽談議ができる人が今はもう周りにいないのです、それでこん

なブログを書き始めたという側面もあります、残念なんですが。

 暗い情念は、オケコンなら③、弦チェレなら⑧、ということになります。
人気取りや迎合でこんなものが書けるもんだろうか!
 この件は、その辺でやめておきましょう。
 
 もうひとつの記憶は、この演奏による「弦チェレ」のLPのこと。随分前に
一度か二度書いたことがあります。
 ワタシは実家にはこの「弦チェレ」のLPを持っていたくせに、下宿生活の

大学生時代に、レコード屋でなんとこのLPを盗んでしまったことがあるので

す。

 この曲を聴かせてあげたいうと思っている友人本人と二人してレコード店
に行き、陳列台に目指すモノを見つけた時点で、計画がふって湧きましてね、
店員の動きなどを注意深く分担チェックしながら店を抜けだした。 レコード
屋を出てからのことは覚えてません・・・
 貧乏学生だからではありますが、よくもまあこんなアホなことをやってし
まったもんです。その友人が博打好きだった影響もゼロではないかもしれま
せんが、もちろんこれは二人の犯罪。その後友人はその曲を気に入ったよう
でしたが、卒業後は友人がそのLPをどうしたのかは訊いたことがありません。
 友人は地元の農協に勤め、ワタシも一旦は地元に戻り、皮肉もいいことに
レコードを扱う仕事に就いた。転勤族でした。
 でも、もっと皮肉だったのは、友人のほうで、卒業の5-6年後のことだっ
たと思います。博打、多分危ない人たちとの賭けマージャン、のせいで(家
族を助けるためということらしいのだが)自殺をしてしまった。
 情報が遅れ、彼が死んで半年以上もたってからだったろうか、学生時代に
親しかった友人たち5人ほどで、実家へお線香をあげに行ったのでした。
 彼の死以降、ワタシにとって「弦チェレ」は必ずそういったことに繋がら

ざるを得ない音楽になっちゃった。

 そしてこれはまさにその演奏が収められたCDなのです。

 
 まあそんなことで、もう十分長たらしいので、ここの収録されている曲個
個については、ダラダラ書くことはやめておきます。あまりにも馴染みの、
かつ大好きな曲たちです。ただ、かっこだけ付けときます・・・
 
(1)「オケコン」はさすがに録音が古いので、繊細さや重低音といったオ
ーディオ系の楽しみには十分には応えられないが、オケのマスの威力やライ
ナーの厳しい音楽ということでは十二分にまだ魅力を放ってくれている。
 
(2)「弦チェレ」のほうが音はマシかもしれんが、大した違いはない。正
直言って、CD化によって音が少し瘦せ、凄味は減っちゃったかなぁ。
それでも、やはりというべきか、この演奏の凝集力は半端じゃない。ハンガ
リー人の「血」の具現云々なんて言われるけれど、そんなレベルを超えてし
まっている。
 また、むしろ今の録音技術じゃ、こんなすごい音楽に録れてしまうなんて
ことは、逆に、ないんじゃないかと思えた。
 
(3)「5つのハンガリースケッチ」は本当に久々に聴きました。オーケストレ
ーションの練習みたいな作品で、凄味はないけれど、民族的な感性ふうなも
のがストレートに出てます。LPにも入っていたのに、もはや完全に忘れ去っ
ていました。⑩や⑫のノスタルジーも素敵だが、⑬の滑稽感や⑭の踊りなん
かのほうが、この先の成熟への繋がりを感じさせる

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もう、当分聴かへんやろな。

 

映画『6才のボクが、大人になるまで。』

20211007(了)

映画『6才のボクが、大人になるまで。

  リチャード・リンクレイター監督//エラー・コルトレーン/
         ローレライ・リンクレイター/パトリシア・アークェット/イーサン・ホーク
  2014年製作/165分/PG12/アメリカ/原題:Boyhood/DVDレンタル
  <★★★★>

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長そうで、敬遠していたんですが、思い切って観ることに。結構観た人多

いかもね。

6才から18歳ぐらいまでが描かれる。一つ二つ上のオネエチャンも一緒に。
彼らを翻弄してしまうが、結果的には姉弟を成長もさせる、 23歳で彼らを
生んだ母親。彼女は恋多く、そして男運が悪い。一緒になっては別れ転居、
一緒になっては別れ転居、、、料理はヘタクソだが、どの場面でも子育て
は必死。最初の夫が終始つかず離れず。まあ子どもたちの父親だからね。
父親も含め、誰が悪いというのでもないけれど、子供の生活は波乱万丈。
だけど子どもたちには、母親のパターンがわかってくるというか、なかな
か冷静に母親や自分たちの状況を見ており、親の言うことをおおむね聞き、
非行に走ることもないしほぼ正直。時々会う最初の男親の存在がこの場合、
とってもよかったのかもしれない。
 
子どもたちにとって、危ないことは山ほどあったんだが、決定的に踏み外

すということがなく、振り返ればなんだか「普通」。このほとんど奇跡的

に「普通」に育っていくのがいい。

男の子に焦点が当たっているようなので、原題のBoyhoodはこれで
いいのだけれど、オネエチャンも入れたいね。
そして、結果論という扱いにしてしまうのはどうかと思うんだけれど、オ
カアチャンがエラかったのよ。
二人の子供を大学に行かせるところで映画は幕になってしまうんだが、送
り出すときに、この母親が「あんたたち二人が出て行ったら、ワタシは何
をして(楽しみに?)生きて行ったらいい」のと茫然、あるいは万感、オ
ーバーでなく涙を流す。第三者的には母親冥利だろうと言ってしまいそう。
でもそれはどうなのかな。

ごくありふれた人生のごく短い一シーン、母親の宿命。それを子供たちも

ちゃんと受け止めている。理想である「普通」といってもいいんだけれど

も、ぐっとくるものがありました。

 
まあそんなところです。

12年間ほどを同じ俳優さんたちを使って撮ったというのがすごいねぇ。

男の子の顔が変わっちゃった・・・

文芸作品だと、昔、ソ連版の『戦争と平和』という、この映画の倍ぐらい
の長尺ものがありましたっけ。ナターシャ役のリュドミラ・サベリーエワ
さん。ワタシ、下宿の部屋にポスター貼ってました。

今、セルゲイ・ボンダルチュク(監督&アンドレイ役)の名もボケずにす

っと思い出しました。

えー、だからそれにくらべりゃ、少々長いというぐらいのもんで、無駄に
長いということはぜんぜんなかったし、ワタシには、これ、なかなかの傑
作だと思いました。
(中学や高校ぐらいの映画鑑賞会に最適・・・なんてね。まぁそれにはい
ささか長すぎやろうけど。)

青柳いずみこ ドビュッシーリサイタル

20211004(了)

青柳いずみこ ドビュッシーリサイタル

 Claude Debussy 1862-1918

映像  第1集(1904-5)       
 ①1.水の反映 5:09
 ②2.ラモー頌 6:14
 ③3.運動 2:59

映像  第2集(1907)

 ④4.葉蔭をもれる鐘の音 4:31

 ⑤5.しかも月は廃寺に落ちる 4:52
 ⑥6.金色の魚 3:37

前奏曲集 第1集

 ⑦1.デルフィの舞姫たち 3:10

 ⑧2.帆 3:47
 ⑨3.野を渡る風 1:49
 ⑩4.音とかおりは夕暮れの大気に漂う 3:22
 ⑪5.アナカプリの丘 2:41
 ⑫6.雪の上の足跡 3:56
 ⑬7.西風の見たもの 2:57
 ⑭8.亜麻色の髪の乙女 2:21
 ⑮9.とだえたセレナード2:15
 ⑯10.沈める寺 5:19
 ⑰11.パックの踊り 2:21
 ⑱12.ミンストレル 1:58
 
   青柳いずみこ(ピアノ;スタインウェイ)
   録音;1996年5月、三鷹市芸術文化センターでのセッション
   CD/1996年/クラシック/器楽曲/ナミ・レコード/邦盤/中古
   <★★★☆~★★★★>

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珍しや、ドビュッシーのピアノ名曲。
ワタシはラヴェル好きだからでしょうか、ドビュッシーは決して嫌いじゃないん
ですが、普段は特に聴きたいと思わない。青柳の本には、ドビュッシー好きとラ
ヴェル好きではいろいろ違うことがあるんだと、面白おかしく書かれていたのが
思い出されます。(「モノ書きピアニストはお尻が痛い 」) 話はおもしろかっ
たが、はっきり言って現実的な違いはそんなに明確だとは思えなかったですね。
出だしはラヴェルよりうんと遅れてダサかった作曲家?が、ワグナーなんかを経
た後(「・・・ボクはライトモチーフが大嫌いだ・・・」となり)、音楽的にう
んと先へ到達していった・・・なんて話もありましたっけ。ラヴェルのファンと

してはなんだか取り残されたみたいに感じてしまった・・・ハハハ・・・が、そ

れはともかく・・・

物書きとしての青柳に触発されて、リストアップしていて、手に入れてみました。
日本での師安川加寿子さんにぼそっと、「あなたのドビュッシーはメロディがく
っきり聞こえすぎる」とかなんとか言われたと、確か書いてらっしゃいました。
ドビュッシーの熱心な聴き手じゃないんだが、それでかえって聴きたく思ったこ
とは確かです。
 
ホールでのセッション、と書かれています。それでなのか、ちょっと細かいパ
ッセージで、粒のそろわないところがちょっとだけ聴き取れた気がしたんだが、
あえて録りなおさなかったんじゃないか。だからこそ感じたライブセッション
のような雰囲気はその辺からも出ているんじゃないか、なんて。
わかりません。音がとてもくっきりとしていい。くっきりしすぎたんじゃダメ
なのかもしれないけれど、ワタシの耳にはとてもなじむ。スタインウェイの強

靭な音、特に低音のくっきり感がいい。こういう感想って、素人もいいところ

なんでしょうけどね。

 
音楽としてより形が整っている「映像」は、ワタシには落ち着いて聴けるとい
うふうな感覚でした。②「ラモー頌」とか東洋的な神秘性の⑤。
いっぽう前奏曲は有名で、知っている曲も多い。だいたいがワンポイントの曲
というというか、一曲が一つのセンテンスで出来ているとでもいう感じ。⑭や
⑯などの超有名曲もあってなじみはあるものの、好奇心によって、どんどん次
の曲に行っちゃう。でもとにかくドビュッシーという時の音や音楽のイメージ、
フワーっと空想が広がって、どこへ行くかよくわからない感じが、飽きさせな
い。いやいや、そういうの、みんな青柳さんのせいなのかもしれない・・・
 
なんてね、本当にエエカゲンなことしか書けません。でもこんなに繰り返して
ドビュッシーピアノ曲を聴いたのはたぶんはじめてじゃないか。
そして、彼女の演奏する次のアルバムを聴きたいと思いはじめています。

 

映画『ザ・コンサルタント』

20211003(了)

映画『ザ・コンサルタント

 監督;ギャヴィン・オコナー//ベン・アフレック/アナ・ケンドリック/
        J・K・シモンズ/ジョン・バーンサル/ジョン・リスゴー
 音楽;マーク・アイシャム
 2016年製作/131分/アメリカ/原題:The Accountant/DVDレンタル
 <★★★☆>

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<映画.com 解説から> ・・・ベン・アフレックが、凄腕の殺し屋の顔を持
つ謎の会計士を演じたサスペンスアクション。田舎町のしがない会計士クリ
スチャン・ウルフには、世界中の危険人物の裏帳簿を仕切り、年収10億円を
稼ぎ出す命中率100%のスナイパーというもう一つの顔があった。そんなウ
ルフにある日、大企業からの財務調査の依頼が舞い込んだ。ウルフは重大な
不正を見つけるが、その依頼はなぜか一方的に打ち切られ、その日からウル
フは何者かに命を狙われるようになる・・・
 
 
まあそんなもんだけれど、「田舎のしがない会計士」? そんな田舎だっけ。

話の幹に当たるのは、この主役の特殊な(という言い方では主張に反するか

もしれないんだけれど)生い立ち。

もっと難しい言葉だったのだけれど、大雑把には彼は自閉症。その彼がいか
にして、とんでもない会計士になりしや、という映画だと言ってもいい。
その幹に対し、彼の会計士としての活動、起きた事件の実際、それらを追う
国の組織の動きなどが絡む。
 
自閉症に併せて発生することが多い「サヴァン症候群」にモロ当たっていて、
すごい会計士(スーツが筋肉ではちきれそうだが、数学の能力が超優秀)で
あると同時に、フィジカルも銃の扱いもオヤジの薫陶と軍隊仕込みで、二刀
流どころでないという設定。なんといっても基本が会計士なので、がらっと
違うキャラが現れるとけっこうカッコイイ。ジェイソン・ボーンがドウタラ

コウタラと書かれているのには、違うだろ!というところですが、「グッド

ウィル・ハンティング」で共演してた・・・。

うるさいことを言いたくなるところは、まあいろいろあるものの、我慢する
のは別に苦じゃなかった。話を大風呂敷にしなかったことも利いて、十分楽
しむことができました。131分もあったんやね・・・
(受けたので、続編が企画されたらしいが、聞かんなぁ)

 

音楽は手練れのアイシャム。久々に聴きました。
ブラック・ダリア」をやるかと思えば「リヴァー・ランズ・スルー・イッ
ト」「ショート・カッツ」「ブレイド」「蜘蛛女」「ハ-ト・ブルー」みた
いなものもやるというふうで、いろんなものをこなすアイシャムですが、こ
の映画は少々勝手が悪かったようで、複雑なニュアンスに拘ったがそれが上
手くいかず中途半端というふう。本領発揮には至らなかったのではないか。

モンサルバーチェ:コンチェルト・ブレーヴェ/ロドリーゴ:サラバンド

20211002(了)

モンサルバーチェ:

                       コンチェルト・ブレーヴェ

       & ロドリーゴサラバンド

 

  ホアキン・ロドリーゴ - Joaquín Rodrigo (1901-1999)                                           

 (1)交響詩《遙かなるサラバンドとビリャンシーコ》 1926-30

   ①Zarabanda lejena 6:11 ②Villancico 4:37

 シャビエル・モンサルバーチェ - Xavier Montsalvatge (1912-2002)

 (2)コンチェルト・ブレーヴェ

      ③ Energico Breve 9:54 ④ Dolce 9:45 ⑤ Vivo 4:43
 (3)シンフォニア・ダ・レクイエム
        ⑥Introitus 4:41 ⑦Kyrie 4:05 ⑧Dies irae 4:25
   ⑨Agnus Dei 4:20 ⑩Lux aeterna 5:06  ⑪Liberame me 4:33
 
   アントニ・ロスマルバ指揮/マドリッド交響楽団
   レオネル・モラレス(p)(2)、カタリーナ・モンクロア(sp)(3)
   録音;1993年11月、マドリッド、ナショナル・ミュージック・オーディトリアム/ライヴ
       Tot. 62:30
      1994年/CD/近現代/管弦楽・協奏曲等/Marco Polo/輸入/中古
   <★★★★>

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NAXOSのあるレヴュアーの文章から) ・・・モンサルヴァーチェは、スペイ
ン生まれ、キューバ移住の、クレオール(混血的)な作曲家です。いまのとこ
ろ、この二つの代表作から感じられるのは、まさに、意図しない、天然の混淆
性とでもいいましょうか、一曲の中に、途中で、違う雰囲気に曲に変わったと
いうことがよくあります。そこがモンサルバーチェの魅力です。決して気まぐ
れでもなく、なぜか違う音楽になっている、その天然の異質性が引きつけてや
まない魅力を感じる作曲家です。音楽の鮮やかさは、西欧ロマン主義から、カ
リブ海の夕焼け、暗雲漂う無調、19世紀風、ラテン演歌調まで、気まぐれでな
く雰囲気がいつの間にか天気予報のように変わって、かつ、それでも、器用貧
乏ではなく、作曲法が田舎っぽく、やや不器用なのかも知れませんが、全曲聴
くと十分説得力と充実感を感じる希有な作曲家です。クレオール作曲家と呼ぶ
にふさわしいです。現在Spanish classicsシリーズが進んでいますが、大西洋を
渡って Latin American Classics というシリーズをこの先、ナクソスさん、この
作曲家を一つ、希望したいですね。 
                            (2009年10月)

 

結構前のレヴューです。
モンサルバーチェのアルバムも、Naxosだけで10枚ぐらいは出ているんじゃ
ないかな。田舎っぽい? 不器用? そうかなあ・・・ さて・・・

 

(1)モンサルバーチェを聴くために得たCDですが、頭に珍しくロドリーゴ
といっても、はじめに脱線してしまうと、Naxosにはロドリーゴ管弦楽
いうシリーズがあって、確か10枚以上は出ていたような記憶があります。
実はほとんど知らない。このMarco Polo録音の第一曲もはじめて聴く曲。
これ聴くと、重層的な音楽じゃないけれど、楚々とした涼しなオーケストレ
ーションでもって、なんとも軽やかながら、どこか神聖な感じもある。特に
①。②は3拍子のふんわりした田舎の舞曲で、こちらも魅力的。
 
拍手が入りました。よくジャケット見てなかった。とてもいい音で録られた
ライヴ録音なのでした。
あとの2曲も同じくライヴ。
 
(2)何枚か聴いているモンサルバーチェですが、ピアノ曲から入ったせい

で、オーケストラものはまだ少なく、これも初めて。

第一楽章はラテン系が匂うも、独特の力強さ。第二楽章は甘いテナーサッ

クスで始まるも、通常の協奏曲の第二楽章ではあまりない曲想の多さが楽

しめた。そして第三楽章Vivoの力強い活気。

よかったですね、このコンチェルト。これは「当たり!」
今まで聴いてきたオケ物にここまで「強い音楽」ってあったっけ。
 
(3)それは、このシンフォニア・ダ・レクイエムを聴くことで、更に進ん
じゃった。聴いたことのある曲なのに、このCDにおける演奏のなんともデ
モーニッシュであること!実際に以前聴いていた概して繊細なもの(Naxos
盤)と比べたんだから、間違えようがない。
共にスペインの指揮者、スペインの楽団なのに、ここまで違ってしまって
いいものなんだろうか。もう別の曲といってもいいぐらいなんだよね。と
なると、どっちかが嘘(に近い)で、どっちかが本当(っぽい)だと言い
たくなってしまうがどうだろう。でもそういうこともあるってことなんだ
ろうな。