休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ハンス・ロット 管弦楽作品

音楽史に残るべき若い才能

20240331(了)

Hans Rott(1858-1884)

         Orchesterwerke

(1)交響曲 第1番 (1878-1880) 55:54
    ①9:21 ②11:12 ③12:14 ④22:27
     <★★★★☆>
(2)管弦楽のための前奏曲(1876)
    ⑤3:28
     <★★★☆>
(3)「ジュリアス・シーザー」への前奏曲(1877)
    ⑥7:44
     <★★★★>
 
  ゼバスティアン・ヴァイグレ指揮/ミュンヘン放送管弦楽団
  録音:2003年12月、2004年1月、バイエルン放送局 第1スタジオ
  ((2)&(3) 世界初録音)
  CD/2004年/管弦楽/BMGファンハウス/ARTE NOVA/邦盤/中古

 

「たまひの蝸牛」さんのブログ記事を読んで、聴いてみる気になりました。

妙にじみな絵の(ジャケット)写真
 オーストリアの作曲家。生前は恩師アントン・ブルックナーや学友グスタフ・
 マーラーから高く賞賛されており、ブルックナーはいつしかロットが大収穫
 をもたらすことを信じていた。
 マーラーは《交響曲第1番》において、ロットの交響曲から引用を行なった。
 ロットは、作曲家としては習作的な管弦楽曲を残したに過ぎないとされ、長
 らく無名の存在であったが、没後100年を機に研究者により作品が発掘されて
 徐々に世に知られるようになり、2000年代以降 しばしば演奏の機会を得るよ
 うになっている。-Wikipedia
 
ジャケット裏にもブルックナーマーラーのコメント、とかいうのがあったの
で載せてみます・・・

 

(1)交響曲 第1番;
所謂ドイツロマン派とはちょっと違ったサウンド、息の長いモヤーッとしたフ
レーズが多く、たとえて言うなら・・・幻想の濃い靄の中を進んでいく感じ、
あるいは馥郁たる柔和な世界の広がり、かなぁ。時間の感覚が淡くなっていく
ようなところもある。
少しは古くさい(?)ロマン派のようなところも当然残ってはいるんだけれど
、、、でも総じて、きわめて独特な雰囲気であって新鮮。
ウィーン音楽院での作曲コンクールに第一楽章を出したところ、嘲笑されたり
したらしい。時代に先んじていた部分はあったのかもしれない。恩師ブルック
ナーも同世代の仲間と言っていいマーラーも認めてくれていたにもかかわらず、
本人は精神を病んで行った。ブラームスが酷評したなんてあるが、影響はあっ
たんだろうか。これだけのものをたった20-22歳で書いたなんてすごいし、

26歳の手前で亡くなるなんて、なんとまあもったいない。

(おい、ブラームス!)

 
第1楽章。出だしでいきなり引き込まれる。盛り上がったあとのゆったりとし
たメロディ(やコード進行のようなもの)はワーグナーっぽい? 立派なフーガ
が挟まったり、ブルックナーブラームスっぽさが来たり。 いや、すごい!
当時のウィーン音楽院なんて、よっぽど旧弊(アホ)だったんだね。
第2楽章の息の長い堂々たる構えはどうだろう・・・なんて、宇野公芳みたい
だけど。かっこいいアダージョ
第3楽章のスケルツォは過去のロマン派っぽいが、遊び心なんかを交えている
し、あれ?このフレーズ、あのフレーズ、、、マーラーっぽくない?  なんて
言いだすときりがない。さらに途中でがらっと曲調が変わって、ゆったりした
調子になるんだが、、、あれっ?これって・・・ マーラーのほうがどこぞを
使ったと書いてありましたね、確か。『巨人』に使った。うんうん、納得です。
最後はブルックナースケルツォ楽章の終わりみたい。
長大な第4楽章。おっとり刀でブルックナーふうに始まる長大な楽章。途中か
ら明らかにブラームスの第1交響曲ぽくなるのが、(酷評を知ったあとでは)
悲しい。(ブラームスさん、才能ないなんてホンマにゆーたんやろか)
そのあとはフーガ系の曲調、ブルックナーマーラーのエンディングなど様々
に変化しつつ堂々の盛り上がりを見せる。ちょっと冗長かもな・・・
 
こんな作曲家のこんな曲があるもんなんですねぇ。習作なんかじゃない。
ワタシ、初めて聴きましたが、ビックリポン!(古いか) 知らない方はぜひ
ご一聴されんことを。(録音もいろいろ出ているようです。 「たまひの蝸牛」
さんありがとうございました。当盤よりネーメ・ヤルヴィ盤をお薦めでした。)
 
(2)管弦楽のための前奏曲
楚々とした、でもとてもロマンティックな作品。まあこれなら習作と言われて
も仕方がないかもしれないものの、でも10代の作品だなんてにわかには信じ
られない。
 
(3)「ジュリアス・シーザー」への前奏曲
ウォルトンシェイクスピア劇の映画音楽を思い出しました。イギリスのネタ
ながら違和感は感じませんでした。いや、なかなかいい曲じゃないでしょうか。
ワーグナー臭かった。これだって10代の作品。

 

  ワーグナー  1813-83
  ブルックナー 1824-96

  ブラームス  1833-97

  ロット    1858-84

  マーラー   1860-1911

 

作品数が少ないから、大作曲家に数えられることはまずないだろうけれど、
音楽史にはちゃんと載っていてほしい気がします。