20220415(了) |
ポール・デュカス(1865-1935) Paul Abraham Dukas
交響曲 ハ長調(1896) |
14:17/4:13/10:46 |
<★★★☆> |
歌劇『アリアーヌと青ひげ』より第3幕への前奏曲(1907) |
6:19 |
<★★★★> |
指揮;ジャン・マルティノン |
フランス国立放送局管弦楽団 |
録音;1972年2月、Studio 103 O.R.T.F、パリ |
2000年/CD/クラシック/管弦楽/東芝EMI/邦盤/中古 |
デュカスといったら「魔法使いの弟子」と「ラ・ペリ」の一部しか知りませ |
んで、ちょっと期待の楽曲たち。楽しい鑑賞になりました。 |
一応フランス人作曲家。ドビュッシーやラヴェルの年齢と大して変わらない。 |
音楽のタイプは、もう少し古くて、なんでもこなして天衣無縫、天才的だっ |
たサン=サーンスや、地味でどこか修道僧的だけれど追随者が多かったセザー |
ル・フランクとその一派のほうにやや近いでしょうか。 |
フランスのビッグネームを強引に生年順に並べてみると、こんな感じ・・・ |
ベルリオーズ 1803-1869 |
セザール・フランク 1822-1890 |
サン=サーンス 1835-1921 |
ドビュッシー 1862-1918 |
ルーセル 1869-1937 |
ラヴェル 1875-1937 |
メシアン 1908-1992 |
デュティユー 1916-2013 |
ブーレーズ 1925-2016 |
「魔法使いの弟子」のイメージが強く、これがディズニーのアニメーション |
(『ファンタジア』の中の一つ)と結びついて新しく、なんとなく近・現代 |
ふうに思っていたというのが正直なところ。まあそれだけ「魔法使いの弟子」 |
が見事な出来の描写音楽だった。 |
デュカスはかなり寡作で、しかもあまり紹介されなかったのもきっと響いた |
んだ。 |
こうやって並べてみると、ドビュッシーとラヴェルに挟まれた枠にいるんだ |
が、問題はサン=サーンスとドビュッシーの間の線・・・ 大雑把です。 他にもこんな大作曲家がいますね。 グノー 1818-1893 ラロ 1823-1892 ビゼー 1838-1875 ダンディ 1851-1931 マニャール 1865-1914 |
まあいいや・・・ 前置きで終わっちまうよ。 |
とか書きつつ、「交響曲」。交響曲って、これ一曲なんだね。 |
第一楽章は、シューベルトやメンデルスゾーン、まあドイツ系の古いロマン |
ン派っぽく、ビゼーの交響曲なんかにも通じます。ところが発展しながら、 |
なんとベルリオーズやサン=サーンスがちゃんとおり、とりわけセザール・ |
フランク(の交響曲)が顔を出すようになる。これがなんとそっくり!音の |
みならずメロディまでも似たものが出てくる。おしまいはいろいろ混ざりあ って終わる。 |
第二楽章はやや沈んだ情景描写が基調ながら、途中で大きく盛り上がる。オ |
ペラの間奏曲風で、交響曲の緩徐楽章というイメージではない。 |
最終の第三楽章は、第一楽章の後半のいろんなもののごちゃまぜ状態がひと |
まとめになった具合。 |
歌劇『アリアーヌと青ひげ』より第3幕への前奏曲 |
グリムにもペローにもある「青髭」の話から作られたオペラで、ドビュッシ |
ーの「ペレアスとメリザンド」(音楽はともかく、ケッタイなお話はワタシ |
には理解不能・・・)に次ぐ叙情的オペラの傑作、なんて言われているが、 |
レコードなんて出てたっけ。前奏曲がこれだけ素敵なんだから、きっと出て ますよね。 |
素敵な前奏曲。叙情的なのはもちろんとして、例えば上記交響曲の叙情性を |
全部かき集めて再構成しても(って、そんなアホなことはできん!)、この |
前奏曲にはかなわない。叙情的といってもドラマ性たっぷりで、しかもある |
種「幽玄」なものが加わったという風情。このオペラがほとんど知られてい |
ないのが解せない。全体的にはけっこう退屈なのかも。 |
「青髭」のお話ってのは、いろんなものに使われています。中でもバルトー |
クの知られたオペラ「青ひげ公の城」は苛烈だった記憶があるんだけど、 |
音だけでしか鑑賞していないからでしょう、たいして覚えてません・・・ |
さて、はじめに書いたように楽しい鑑賞でした。
知られてないのはもったいない、なんていう月並みな表現ではつまらないけ
れど、とりあえず、それでいいかな。