つづきです。
| 20240407(了) |
「怖い絵 3」 中野京子 2/2
| 作品18 アミゴーニ『ファリネッリと友人たち』 1750~52年 |
| 作品19 アンソール『仮面にかこまれた自画像』 1899年 |
| 作品20 フュースリ『夢魔』 1781年 |
| あとがき |
| 参考文献 |
| 2009年6月/絵画エッセイ/朝日出版社/単行本/中古 |
| <★★★☆> |
| (18)アミゴーニ これは名画でもなんでもないと書く著者。ファリネッリと |
| いうのは子供のうちにタマの方を切り取られたカストラート歌手。怖いという |
| よりおぞましい歴史のカストラートの、数少ない成功者。ワタシ、その歴史を |
| 恥ずかしながらよく知りませんでした。『カストラート』という映画も観てま |
| せんしね。バロックやそれ以前などほとんど聴かないということもあるでしょ |
| う。おぞましいという歴史の中身は書きますまい。ところで、中野先生、オペ |
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ラの本を複数書いておられるが、ひょっとするとほんとうはオペラがあまりお 好きではないのではないか・・・ まさかね。 |
| ところで、バロック音楽などにおけるカストラートは去勢した歌手だが、 |
| 性行為ができなかったわけではない・・・睾丸がないだけ。売れたカスト |
| ラートのもてぶりは凄まじかったそうな。そうなんだ、知りませんでした。 |
| 堂々たる男性的肉体、髭のないすべすべ肌、天使のごとき?高音の美声。 |
| 女性がどんどんベッドにもぐりこんできた。結婚と生殖は無理だったが、 |
| 官能の塊だったとさ。凡人の同情は余計なお世話。 |
| ま、ほんの一握りのカストラートについてだけの話だし、隆盛は1600年代 |
| から1800年台までの2世紀足らずのことだった。しかもカストラートの生 |
| みの親というのが、ボーイソプラノだけの聖歌隊を抱えなければならなか |
| った「教会」だったという。カトリックの総本山でのあの醜聞を考えると、 |
| 中身的にはしっかり地続きで、人間の性癖がなくなるはずもないってこと。 |
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| (19)仮面ばかり描いていたというアンソールのことはまったく知りません。 |
| すべて気色の悪い仮面ばかりで、上のほうに多くある骸骨も含めて、すべて仮 |
| 面に見えるものの、実はずばり人そのもののよう。自分の性格からろくに人と |
| 付き合えない自閉症のごとき画家だったそうな。まん中の自画像はなんとルー |
| ベンスに似せてあるとのこと。晩年になってからその斬新さを認められたとい |
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うが、果たして本人は喜んだかどうか。怖さというよりは、裏の顔(内面)は みんなこんななんだという表現がいやらしい。現代受けがする、きっと。 |

(フュースリ再び)
| (20)最後の絵、表紙の写真です。確かにタイトルとピッタリ。英語だとさら |
| にピッタリで、Nightmare。エロティックに頭を下に横たわる女性の腹の上に、 |
| 異形のもの、ゴブリンふう、ただし相当気味悪い。左には化け物っぽい馬。性 |
| 的なものを連想させはする・・・ スイス人フュースリは、始め牧師、次は詩 |
| 人。ごたごたがあって英国に帰化。イタリア留学の後画家に。後年ロイヤル・ |
| アカデミーの教授から院長にまで出世。理屈にも秀でていたらしい。あくまで |
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頭脳先行の絵。遍歴や出世の話も合わせてみると、どこか変わっている。まあ そんなところですが、それより・・・ |
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彼はフェミニズムの先駆者メアリ・ウルストンクラフトに恋される。メアリに |
| フランス革命視察に誘われるが断る。ここからは恋多きメアリの話で、パリで |
| 革命の擁護論文を書き、恋をして子供を作ったあと英国に帰り自殺未遂。アナ |
| ーキストのゴドウィンと結婚、また出産して、今度はほんとうに落命。娘の名 |
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は同じメアリ。 この娘メアリ、母を殺したのは自分だというトラウマに苦しんだり、母同様、 |
| 恋の遍歴を経た後、妻ある男に夢中になる。この相手が誰あろう詩人シェリー。 |
| すったもんだの末、シェリーの妻に収まる。17歳前後! 詩人シェリーのこと |
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はさておいて、つまり、彼女こそは『フランケンシュタイン』の生みの親「メ アリ・シェリー」なのね。なかなかに波乱万丈。 |
| それがですね、なんと、ちょうど『メアリーの総て』というメアリ・シェリー |
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を描いたDVDを今週、借りたのです、偶然。ハハハ。どんな鑑賞記を書くこと になるやら。 |
| 長くなっちゃった、、、 そんなことで、最後は映画つながりの読了になってし |
| まいました。 |
| このシリーズ、絵そのものは早々に怖くなくなってしまいましたが、絵を楽し |
| むためには知識はあったほうがいいと主張する先生の話が面白く、ダレること |
| なく読み続けることができました。 |
| シリーズ完結編とある。かなり売れたようで、怖くはなくてもいろんな切り口 |
| でもって、興味深いエピソードとともに絵を論じるスタイルは、ご本家の朝日 |
| 出版のみならず他の出版社が思いつかないわけもなく、「柳の下」が続々と出 |
| されたことは、ご存知の方も多いでしょう。中野先生、相当忙しかったに違い |
| ない。括り方を少し変えたりして、まだ多分続いているんじゃないかしらん。 |
| 気が向いたらまた読みますよ。一篇一篇は短いので、寝る前に読むのにちょう |
| どよかった。 |
