休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

サントラ/『ミケランジェロ・プロジェクト』

20240416(了)

OMPS/THE MONUMENTS MEN

オリジナル・モーション・ピクチャー・サウンドトラック『ミケランジェロ・プロジェクト』

 作曲・指揮;アレクサンドル・デスプラ管弦楽ロンドン交響楽団
 (録音ロケーション;アビー・ロード・スタジオ
 CD/サントラ/Ⓟ&Ⓒ 2014 Twentieth Century Fox Film Corporation and
 Columbia Pictures Industries/Sony Classical/輸入/中古
 <★★★☆>

映画は2014年、G・クルーニー監督作。ナチスがその侵攻に合わせて様々な
略奪を繰り返した。それに対しルーズベルト大統領が、建造物や美術品を保
護する任務を発した。これを受けた美術館の館長が7人の美術の専門家で特
殊チーム(もちろん戦闘などにはずぶの素人)を結成して、作戦遂行に当た
るという突拍子もない内容。まさかという実話で、成功した部分があるから
こそだろうけれど、まさにエンタメ戦争映画向きのネタ。
リアルな面を見せつつも、美術品を守ったり奪還したりする、知恵を絞った
作戦のサスペンスが見どころで、暗く重くなっちゃいけない。その軽さ、な
かなか難しいと思うが、引き出しの非常に多いデスプラがどう料理している
だろうと、楽しみにして聴きました。
映画は観たんですが、音楽、耳に全然残っていませんで・・・ そうそう、
作曲のデスプラさん、この映画にしっかり出演していました。

スコアは24曲。歌曲「Have Yourself a Merry Little Christmas」というよく
知られたクリスマスソングが1曲(歌:Nora Sagal)の全25曲。
24曲もあるので、普通こういう時は、組曲にまとめたものを入れ込んだり、
序曲に色々なシーンの音楽をぶち込んだりすることもままあるのですが、こ
こでは、シーンごとの曲をずらっと並べているだけの感じ。
 
オーケストレーションはかなり緻密なもので、短いチューンもしっかり書き
込まれているようでした。オーケストレーターの名がデスプラ以外に4人載
っていました。忙しい方だろうから、大変だったんでしょう。
まじめに深いものや、切羽詰まったサスペンスシーンらしいものもありまし

たが、概して暗くも重くもなく、軽妙な調子や抒情的なもののバラエティが

豊かでした。

第1曲目のファンファーレのテーマと、2曲目の行進曲の音型の二つが、本当
に様々に趣向を凝らして変奏されていまして、24バンドを飽きずに聴いて
おれました。見事なものです。なおかつ録音もよかった。ロンドン響は余裕。
アビーロード・スタジオの録音だもんね、音の響きがめちゃくちゃいい!)
 
ハンス・ジマーとは方法、手法は違うようだけれど、なんにでも対応できる
引き出しや技術や仲間に、ものすごく恵まれているに違いありません。以前
にも書いたように、エスニック風味が得意なのも特異。ジャズ系フュージョ

ンのテイストはありませんね。広くオケ伴好きという向きには楽しめると思

います。