休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

いずみシンフォニエッタ大阪 第49回定期演奏会

  新・音楽の未来への旅シリーズ

いずみシンフォニエッタ大阪

                         第49回定期演奏会

  「時を超えるファンタジー

      2023.2/11(土・祝) 16:00(住友生命いずみホール

 

  (1)H.ビーバー:Battalia

  (2)J.ケージ:プリペアドピアノ協奏曲

  INTERMISSION

(3)メンデルスゾーン(鈴木優人編)

           :「真夏の夜の夢」より序曲

(4)川島素晴:室内管弦楽のためのスタディ

   「Jingle-Tree/Sweet Messenger」(委嘱新作)

 
    鈴木優人(指揮、チェンバロ、プリペアドピアノ)
    いずみシンフォニエッタ大阪
   (企画・監修;音楽監督 西村朗

例によって監督の西村朗さんの挨拶や解説、出演者とのお喋りがあった。
始めの出演者は鈴木優人さんで、休憩後は作曲者川島素晴さん。コンサート
前に、鈴木さんのオルガンのプレコンサートもあったようなのですが、ワタ
シはロビーでドーナツを食っていました。幸いワタシは言われなかったが、
近くの人が飲食をとがめられていましたね。言われたらワタシ、知らんかっ

たってとぼけるつもりでした。ロビーの低い衝立しかない飲食店舖じゃOKな

んだし・・・ ゴメンナサイ

 
さて今回の主役は弾き振りをするマルチ音楽家鈴木優人さん。作曲・指揮・
鍵盤楽器なんでも・バロック以前から現代まで・ジャズ・大学客員教授
バッハの消失楽譜の復元・ラジオ番組(NHK-FM)、、、云々。
本日の曲目を見るだけでもすごい。指揮だけだったのはメンデルスゾーン

けです(ワタシが知っているのもこれだけ)が、既に編曲してるもんね。

 (記事中の「指揮振り」は多分間違い、「弾き振り」でしょう)

 
(1)16世紀のビーバーなんてなんでかと思ったら、特に第二楽章に当た
るところなんか、別々の調性が一緒に奏されぐちゃぐちゃな音! まるで現
代音楽みたい。酔っ払いや戦闘などの表現とか言ってましたっけ。全体には
シャッキリ、クッキリした演奏が好ましかった。普通聴いてみようなんてま
ず思わないビーバーですが、バロック以前にも取り上げ方によっては面白い

ものがあるってこと。ま、こんなふうにでもしてもらわなきゃ無理だってこ

ともあるなぁ。

聴衆にケツを向けてのチェンバロの弾き振り。立ったり座ったりが忙しい。
2階席からならよく見えたに違いないが、チェンバロの弦の上にラミネート
したかのようなA4ぐらいの紙を置いたり外したりしてたのは、なんだろう、
チェンバロのことって、ほとんど知らないのです。
 
 
(2)ジョン・ケージです。このごろじゃあまり聴きたいと思わない作曲家。
もっともプリペアドピアノのための協奏曲なんて、発想したこともなかった。
ケージの指示通りにいろんなものが弦に挟まれたという。会場の外に写真が
あった(下掲)が、ボルトや釘みたいなもの以外にも得体のしれないもの

(実際にわからないものもあったので鈴木氏らが考案して付けたとか)もあ

りました。

意外にオケとの奇妙な丁々発止(普通のイメージのそれではありませんが)
があって、音色もケッタイなもんだから、実はこの曲が一番面白かったです
ね。「一回性」Einmaligkeit なんて懐かしい言葉をなぜか思い出しました。

   *写真があったので撮っておいたもの。挟んだものが若干わかります。

(3)メンデルスゾーンの誰でもよく知っている曲なわけですが、室内オケ用
に弦楽中心のアレンジが施されている。もっともピアノ(これは団員が弾く)
ティンパニなどの打楽器が付いている。逆にバロック風味へ遡るような工
夫がされていました。これだけは「現代的」ではありませんでした。ビーバ
ーふうになったのかな。きびきびした音楽がよかった。
 
(4)この川島さんてかた、以前にも取り上げられてたような気がする。それ
はともかくこの曲は、出来立てのほやほや。理屈の面はあんまり興味はないん
だけれど、要するにこの曲は鈴木優人さん個人をネタにしたもの。
第一部は鈴(Jingle)木(Tree)をタイトルにし、中身は氏の関連する項目の音
型を使ったもの(下掲)。第二部は優(Sweet)人(Messenger)をタイトルに
し、鈴木氏で何より大切なバッハを今回欠いているもんだから、「マタイ受難
曲」の中の「使徒」(Messenger)の中のシモン・ペテロをいただいちゃう。

聖書では知られている3回の「ペテロの否認」の部分の引用(コラージュ)など

など。

演奏途中で、黒子が音型のネタに使った項目の小板何枚かを指揮中の指揮者に
届けるなんてことを挟んだりしまして、、、実験的で立派に現代音楽なんだけ
ど、どう見ても遊びのような感覚の曲のようでしたね。
おしまいのほうでは、ケージの時のプリペアドピアノも使いました。
音型の遊びなんぞはおかしみもあって、くすくす笑いが会場中に広がったりし
ましたし、黒子が実は作曲者だったとわかった最後にも笑いがはじけた。
もっともこの曲って今しか使えないような、、、今後どういう扱いになるんだ

ろうという心配もちょっぴり湧きました。珍しいとはいえ、こんな演出もあっ

ていいわけで、気にしてもショーナイけど。

  

   これらを読んだ時の言葉のイントネーションを音型のネタにしたという、

   鈴木氏の経歴や関連の言葉などの一覧表。これは聴衆すべてに配られた。

 

この指揮者のマルチタレントぶりや、うなぎ上りの名声にたがわぬ実力とオー
ラを目の当たりにする回。
たまにはいいけど、いつもでは困る・・・って困りゃしないけど、それじゃワ
タシは続けて聴く気はしないだろう。
(言い過ぎかも)