20210710(了) |
「郷愁と官能のリリシズム」 |
: オブリビオン
: バンドネオン協奏曲
~~INTERMISSION~~ |
ツェムリンスキー : 叙情交響曲(1923/2012)(T・Heinisch編) |
Ⅰ(バリトン)心の不安と相手への憧れが募り、激しい船の音が響く |
Ⅱ(ソプラノ)王子様が家の前を通る、そこに自らネックレスを投げる |
Ⅲ(バリトン)夢にすむ相手へのこがれる思いを夕焼け雲などに擬える |
Ⅳ(ソプラノ)あなたが話す言葉に聞き入りたい、そして終れば見つめ合いたい |
Ⅴ(バリトン)相手に虜になっている自分の心から解き放たれたい |
Ⅵ(ソプラノ)最後の歌を終えたらお別れしましょう |
Ⅶ(バリトン)穏やかに、愛を思い出に、別れの時を甘美に |
飯森範親(指揮) |
小松亮太(バンドネオン) |
梅津碧(ソプラノ)、大西宇宙(バリトン) |
いずみシンフォニエッタ大阪 |
西村朗(作曲家、同上音楽監督&プレ・トーク) |
ライヴ/(於)住友生命いずみホール 16:00~ |
半年ぶりぐらいですかね、街へ出て、コンサートを聴いてきました。 |
翌日が緊急事態宣言の最終日・・・ |
いずれも聴いたことのあるものばかりだけれど、とても魅力的なプログ |
ラムだと思って、これと来年2月のものを合わせて手に入れておいたも |
の。 |
前半のピアソラ、よかったです。 |
プレ・トークで小松亮太自身も出てきて、バンドネオンの歴史や蘊蓄、 |
ハバネラなんかの歴史も喋ってくれ、いずれも面白かった。 |
バンドネオンの歴史が実はよくわからず、使っている楽器は実はドイツ |
製であることだとか、タンゴのもとであるハバネラは、もとはイギリス |
の民謡だが、実に複雑な経路を経てタンゴが出来ていったこと・・・ |
ま、そんなことはいいですね。 |
超有名なリベルタンゴもオブリビオンも勿論名曲だから、若き名手小松 |
にかかれば、ちょいちょいなんだろうけれど、協奏曲のほうは、もう少 |
し規模感も加わって、聴きごたえも十分でした。オーケストレーション |
はやっぱりあまり洗練された感じには聞こえなかったけれど。 |
その協奏曲の最後は、皆でカッコよく決めようって決めていたんでしょ |
う、決まったことは決まったのですが、ソリスト小松が最後の音を出し |
たとたん、勢いあまって後ろへ倒れそうになって、指揮の飯森がすばや |
く小林を支える、なんて珍しい終わり方をしたんでした。聴衆が一瞬息 |
を飲み、そのあとは暖かい、いい拍手になった。 |
そして、期待の叙情交響曲。 |
10歳ほども年下であり、恋人を奪ったとも言えるマーラーの作品「大 |
地の歌」に触発された曲だという。ワタシにはどう触発されたんだかよ |
くはわからないものの、ちょっと似た音は確かにあります。 |
とか言いつつ、苦手どころか好きなほうの曲なんですが、結果は、残念、 |
ワタシにはダメでした。 |
一つは室内オケによる音が薄っぺらいからなのか、編曲が良くないのか、 |
後期ロマン派の奥行きやゴージャスさがまるでなく、魅力的に響くこと |
がついになかったこと。 |
聴き方の間違いは、あるかもしれない。 |
例えば、マーラーと、R・シュトラウスやシェーンベルクの間あたりに |
いるというような教科書的な思い込み、云々。 |
いや、そういうのもあってかまわないけれど、今のワタシにはことさら |
必要などないといっていいと思う。 |
もうひとつは歌手二人の歌唱は優れたものだったようにも思うのに、こ |
のホールの音の特色なのか、声の音が取れないというか、聴きづらくて |
どうしようもなかったこと。 |
意味の一つ一つは分からないんですけどね、そういう問題じゃない。声 |
の好みの幅は狭いワタシですが、ここまで音が取れなくて魅力が感じら |
れなかったのは珍しい。 このホール、これからも曲の選び方については慎重にならんといかんな |
ぁ・・・ |
こっちは案外大事かもしれない。 |
※追加 |
翌日の7/11、深夜、NHK-BSプレミアムを付けていたら、なんと、ピアソラのバ |
ンドネオン協奏曲(あだ名は「アコンカグア」というのね)の録画をオンエ |
アしていた。去年の5月か今年の5月か。指揮;原田慶太楼、NHK交響楽団、 |
三浦一馬(バンドネオン)。弦が昨日の3倍はいたね。音がぶ厚いというだけで |
なく、音楽から受ける印象も大分違った。例えば、昨日のはちゃんとアルゼ |
ンチン(じゃない、ブエノスアイレスでした)で、さっき聴いたN響のはま |
だ伐採されていないアマゾンのジャングルにいるみたいだった・・・なんて |
ね。これは嫌味なんかじゃありません。真面目な感想。 |