40年間にばらばらと書かれ続けた弦楽四重奏曲の全集。 |
あんまり気の入ったレヴューはなかったんだけれど、かしこまってヴィラ= |
ロボスの個性が出ていないかもという交響曲の評と並べて、この四重奏 |
曲も似たような感じで書かれていた。ならば聴いてみよう、うんと安いし、 |
と手に入れてみました。
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6枚ですからね、聴いた尻から忘れる・・・というところかもしれませんが、 |
実は、17曲もあるからというだけでなく、どの曲も形式にのっとった穏や |
かなものがほとんどで、「これだ!」という特徴が乏しい。 |
細かく言えば言えなくもないけれど、すべてすーっと流れ、聴いた後は |
みなゴッチャになっちまう。 |
冷たかったり、涼しかったり、甘味が利いてみたり、民族色的に聞こえて |
みたり、、、どれだったか(というしかない感じ)、「ラ・クムパルシータ」が |
聞こえてみたり。(第12番) でもとてもブラジル固有の、なんてことはな |
い。いや第6番なんかは「ブラジル」というあだ名があって中では知られ |
た曲らしいのだけれど、ワタシには抒情や悲哀が印象の曲だった。 |
ワタシに印象が残ったのは・・・あまり意味ないけど・・・ |
第2番:楚々とした感じ、涼し気なところ |
第3番:優しさや軽やかさがよく、英国ものを思わせた |
第7番:甘さやメロドラマっぽさ、はたまた陰鬱感、スラーの多用など。陳 |
腐にならずに、長大さも音楽を緩ませることがなかった。 |
第15番:俗っぽいものと尖ったものが替わりばんこに現れたり、ひどく繊 |
細だったりするが、尖った感じが中では珍しかったかな。第9番 |
も言葉の上では似た感じ。 |
第16番:若干大仰なセンチメンタル、悲劇的、沈潜などがとてもいいんだ |
が、後半の踊りや遊び心とのバランスがとれている。 |
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こんなところでしょうかね。結局なんだか国籍不明だったなあ。 |
ちょっと思い出したのはね、ミヨーの交響曲。くだらない類似点です。 |
ほぼ全部聴いたんだけれど、なんだか知らない間に全部混ざり合っちゃ |
って、どれがどうだったかわからなくなったのに、少し似ているかも・・・。 |
いわば「金太郎飴」、その度合いはミヨーの比じゃない。上に5曲挙げた |
のもあまり意味はない。 |
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多くの人に演奏され続け聴かれ続ければ名曲になる、それが“クラシッ |
ク”らしい曲ということになりますが、そのだんで言えば、残念ながらこの |
17曲はどれも名曲の仲間入りをしそうには思えない。埋もれた曲たちの |
仲間入りならする。でもどれもこれも穏やかで独特の感性に貫かれた室 |
内楽の世界だと思いました。時代錯誤なほど古風な形をとりながら、決し |
て凡庸というわけではない。 |
(ハイドンやミャスコフスキーの交響曲を全部聴いたら、ひょっとするとこ |
んなふうになってみたりするかも・・・なんて、空想します。ミャスコフスキ |
ーは聴こうと思ったが、果たしていません。CDの枚数が半端でない。 |
ヴィラ=ロボスの交響曲だってまだCD2枚分ぐらい、残っています。こっち |
が先だし、それも言うなら、「ショーロス」や「ブラジル風バッハ」がさらに |
手前にあるべきなんだろうな。ワタシはこんな時、少し偏屈になってしま |
うようです、「時間」もないくせに・・・) |
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これほどBGMにピッタリの 室内楽のセット物もなかなかないんじゃないか
な。
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CD6枚、17曲をこれだけで済ませるのはどうかと思うんだけれど、まあ |
こういうの聴いてみましたという紹介だね。 |
幅の広い作曲家の、真面目でお固い分野の作品ばかり聴いてきてい |
ます。 |
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四重奏団はメキシコの団体。悪くないと思います。
<ジャケット写真>
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