〈CD帯紹介文〉 ポーランドの女性作曲家において、最初に国際的に認知された |
のがこのバツェヴィチです。父からヴァイオリンとピアノを学び、1928年にワルシ |
ャワ音楽院に入学、1932年に卒業してすぐにヴァイオリニスト、作曲家として活 |
動を始め、奨学金を得ながらパリに留学、エコール・ノルマル音楽院でナディア・ |
ブーランジェの薫陶を受けます。ヴァイオリニストとしてはカール・フレッシュに師 |
事、演奏家としても作曲家としてもその才能に磨きをかけました。そんな彼女の |
作品にはヴァイオリンをメインにしたものが多いのですが、この戦後に書かれた |
「弦楽のための協奏曲」はバロック時代の様式を模したスタイルで書かれた闊 |
達な音と大胆な動きを持つ作品で、なぜか聴き手の闘争本能を掻き立てるよう |
な不思議な魅力を放っています。 その2年前に書かれた「弦楽のための交響 |
曲」も活力と欲求が漲るギラギラとした光に溢れたもの。一度聴いたら底なし沼 |
に沈むかのように抜け出せない音楽です。スモリー自身が室内管弦楽用に編 |
曲した「ピアノ五重奏曲 第1番」は彼女の作品の中でも、最も人気の高いもの |
の一つですが、原曲の持つ力強さと荒々しさが一層強調されたこの編曲ヴァー |
ジョンは、一層の歯ごたえを感じさせるものです。ポーランドの名手クピークのピ |
アノも聴き所です。 |
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(1)の協奏曲は『なぜか聴き手の闘争本能を掻き立てるような不思議な魅力』、 |
(2)の交響曲は『活力と欲求が漲るギラギラとした光に溢れたもの』。 |
合わせて、『一度聴いたら底なし沼に沈むかのように抜け出せない音楽』だって。 |
なかなか強力なレコメンドです。 |
しかも、実は(3)が最も人気が高いものの一つときたもんだ。 |
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通販の宣伝にひょっこり出てくるようになって、気にして見ると、NAXOSでもほか |
に弦楽四重奏曲が載ってましたし、メジャーのレーベルでもいくつも出ているよ |
うでした。 |
気軽に聴くならカルテットだろうとは思いましたが、このところヴィラ=ロボスのカ |
ルテット17曲をとっかえひっかえ聴いていましたから、別の編成にしてみたわけ |
です。 |
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(1)と(2)はなかなかステキで、評もわかる気がする。もっとも、ベターっと流れ |
て行き、気分的に息継ぎがしにくい感じ。 |
むしろ、『一度聴いたら底なし沼に沈むかのように抜け出せない…』のは(3)で |
しょう。これは編曲(ここで指揮をしている方)がものすごくうまいんじゃないでし |
ょうか。激しいところもいいが、沈潜してゆく⑩と⑪は魅力たっぷり。 |
戦争や国情などが反映しているような気はしますが、決して尖った音楽ではあり |
ません。 |
カルテットよりヴァイオリン協奏曲を聴いてみたくなりました。 |