休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

エルガー/交響曲 第1番&第2番

20180119(了)
エルガー交響曲 第1番&第2番
(A)
Edward ELGAR <1857-1934>:
CD1 71:39
 1-4 Symphony №1,Op.55(54:27)
   5 Cockaigne(In London Town),Op.40(17:00) 序曲「コケイン」
CD2 67:40
 1-4 Symphony №2,Op.63(62:29)
   5 Sospiri,Op.70(5:00) 「ため息」
  Jeffrey Tate/London Symphony Orchestra
  Recorded/1990(CD2),1991(CD1),St Augustine's Church,
   Kilburn,London
  Ⓟ1991&1992 ⓒ2003 EMI Records Ltd.(CD2枚組/輸入盤)
   /名古屋の中古屋にて
  <★★★★>
(B)
E・エルガー
   1 序曲「南国にて」(アラッシオ)Op.50(20:10)
 2-5 交響曲第1番 変イ長調、Op.55(50:11)
   サー・ジョン・プリチャード指揮/BBC交響楽団
   録音;1/1974年、ロイヤル・アルバート・ホール(ライヴ)
       2-5/1983年、ベドフォード、ザ・コーン・エクスチェインジ(ライヴ)
   1995年/BBC/日本クラウン/邦盤(見本盤!)
  <★★★★>

一ヵ月以上前だったように思う、ラジオで交響曲第2番の一部を聴きまし
てね、ああこりゃあいいと思ったのです。イギリス音楽が好きだと標榜し
ているくせに、恥ずかしいことなんですがね。
ワタシにゃあ、エルガーの第2交響曲はさっと思い浮かべることができな
い曲だってことです。
ラジオの演奏はプレヴィン/ロイヤル・フィル(PH)。
ネットで手に入れやすそうなのを探したら、それとショルティ/ロンドン・
フィル(DECCA)が、割と安くて評価も悪くないよう。
もう古い話だろうが、フィリップスとロンドン、今やどっちも同じ会社かぁ。
でもひょっとしてと探してみたら、なんとなんと2番が1種、1番が2種、寂
しい棚から見つかった。我ながら赤面もの! 記憶になかった、、、やれ
やれ。感想を書いた記憶がない。(書いていたかもしれない。)
講釈を垂れる知識もないけれど、エルガーは、ドイツのごくごく正統的な
音楽、シューベルトメンデルスゾーンシューマンブラームスなどのい
いとこ取りふうに影響を受け、R・シュトラウスに至ってはイタダキまでや
ったほど。フランスものからも例えばマスネなんかを好んだよう。マスネ
といっても、どんな風な影響なのか、とんとわからないですけどね。
でももちろん、そうした影響はあっても、そして本人がイギリスからは疎
外感すら持っていたらしいとは言っても、やっぱり基本はイギリスだなぁ
と思わざるを得ない感性がたっぷり。
第1番は、プリチャード盤がしっかり盛り上がるも、流れがよく、イギリス
っぽさも、さまざまな影響もみんな渾然一体なっていて、しかもニュアン
スが豊か。ポルタメントなんかちょっと甘めかも。
プリチャード盤もとてもいい録音だけど、ライブよりはさすがに細部まで
聞こえて音がいいテイト盤は、けっこう力みがある気がした。いや、力
みは正しくないか。いわば分析的でちょっと硬いという感じだろうか。音
楽が硬直しているとかではないんだけどなぁ。精度はもちろんテイト盤
ながら、比較するとそういう感じで、プリチャード盤に分があるみたい。
第2番は、そもそも思い浮かばない音楽で、実質的に知らない音楽とし
て聴いたようなもの。結構長いけど、苦痛ってことは全然なかったです
ね。でも確かに1番よりは掴みにくいですか。
長大な第一楽章は、明るく快活で冗長だと思わない。
暗めで悠揚せまらぬ第二楽章は、絶望なんかでなく、ブルックナー
緩徐楽章に似た感覚ですかね。
Presto表記の第3楽章は短め。盛り上がりはあるけれどどちらかという
と抑え気味な調子で、騒がない。
これはフーガってんですかねえ、あまりティンパニなんぞの打ち込みは
強くはない、古風で堂々とした終楽章。静かなエンディング。
上に影響を受けた作曲家をぞろぞろ書いたけれど、そこに、ブルックナー
マーラーなんかを付け加えてもいいんじゃないか、なんて思いました。
長いだけのことはあって、息も長い。
このテイト盤には比較対象がないので、よくわからなかったけれど、ま
あ、第1番で書いたのと似たようなことだったんじゃないでしょうか。
この二曲にはエルガーの世界やエッセンスがすべて盛り込まれている
ような気がします。
未完の3番は、今のところ、いいです、聴かなくても。
それに、プレヴィン盤やショルティ盤も、いいや。

序曲「コケイン」は、“威風堂々”の感じがあるのね。オルガンも入って堂
堂たる管弦楽曲で、なかなかにぎにぎしい。
「Sospiri」(ため息)は冨田勲さんの‘田舎’の雰囲気にも似て、いいも
のですね。(そらぁ違うやろ!という向きもおられましょうが)
「南国にて」は「コケイン」と同様、コンサートのとっかかりにぴったり。
明るく、湿り気がなくていいです。(でかい咳が一発きこえました・・・)
イメージ 1

そうそう、ジェフリー・テイトさん、去年突然亡くなったんでした。心臓麻痺
だったようですが、もともと二分脊椎症で、ハンサムながら、ゆがんで矮
小な体躯はどうしても忘れられない。歩かれている姿は覚えてます。指
揮は座ってされていた。大活躍で、ハードワークがたたったんでしょうか。

イメージ 2

プリチャード盤は、演歌のクラウンが確かほとんど初めて出したクラシッ
クのシリーズで、BBCのライブ中心の音源。見本盤でした。確かに何枚
かもらいましたが、、、もっともらっておけばよかった。 (忘れていたくせ
に、よく言う!)
ワタシがいいなあと思っているハウエルズもそうなんですが、エルガー
聴いたことのある英国の音楽では、けっこう肉厚な音楽ですよね。
厚みというならV=ウィリアムズもそうだけど、そのなんとなくドローンとし
た感じとも違って、意外なほどキレもある。
ワタシ、若いうちはその厚みがドイツ系から来ているからなのか、どこか
鬱陶しさを覚えていまいち好みのイギリス音楽にならなかったのですが、
それが知らぬ間に変わったんでしょうねぇ、心地いいですもん。(ドイツ
音楽が鬱陶しいという意味ではございませんよ)
ひょっとすると、今、ワタシ、記憶力なんか大分落ちぶれているのに、音
楽に関する感性は決して狭まってはいないのかもしれない。なーんて。

(もちろんそう思いたいだけです)