休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ブルックナー:交響曲 第7番

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20171218(了)

ブルックナー交響曲 第7番 ホ長調
 ①Ⅰ-Allegro moderato 20:16
 ②Ⅱ-Adagio 18:29
 ③Ⅲ-Scherzo 8:46
 ④Ⅳ-Finale 12:27
  カール・シューリヒト指揮/ハーグ・フィルハーモニー管弦楽団
  録音:1964年9月、デン・ハーグ Tot.59:58
  2014年/CD/クラシック/交響曲/日本コロムビア・タワーレコード/コンサートホール原盤
  <★★★~★★★☆>


中学生時代に「こんなんあるよ」とオフクロが教えてくれた通販“コンサート
ホール・ソサエティ”に入って、時々LPを買うようになりました。
ウチの経済状況ではとてもじゃないが、レコード屋に行って買うような贅沢
は許されなかったので、1ヶ月か2ヶ月に一度、オフクロにお伺いを立てて
オーダーするというような感じでした。カタログをすっかり覚えてしまうほど
眺めました。
高校に入ってからでしたかね、このブルックナーを買ったのは。
すっかりぼやけてしまってますが、記憶では、ブルックナー事始めはフルト
ヴェングラーの‘偽ステ’の8番。その次はメータ/ウィーン・フィルの9番じゃ
なかったか。勿論ともにラジオ。
そのあとあたりがこのシューリヒトの7番だったんじゃないか。
その後はいろいろ聴いたものですが、、、この7番のLPはしばしば聴いたも
のの、良く聞こえたり、ばかばかしくなったりで、自分なりの評価も乱高下。
宇野功芳さんという個性的な評論家のおかげで、さらに混ぜっかえされて、
わけがわからないことになった。そういうワタシ的にはいわく因縁のある演
奏/録音なんです。
レコードをほとんどすべて処分した後は忘れていたんですが、最近、ネットで
手に入れたものを聴く機会が増えたところ、シューリヒト晩年のコンサートホ
ールへの録音もちらほら目について、なんだか気になってしまい、安いのを
いいことに手に入れてみたというわけです。
たまたま持っているウィーンフィルとのセッション録音(EMI)である8番と9番
を事前に複数回聴いておくという念の入れようで(ハハハ!)、ドキドキもの
だったのです。
音はリマスターでものすごくよくなりました。この点はよかった。
でも、もともとの録音がなんかヘンだと思っていたとおりだし、オーケストラ
もお世辞の言いようがない。
最近ライナー/シカゴ響のR・シュトラウスを2枚聴いたばかり。この録音の大
半が1954年だったりしましたが、アンサンブルは締まって、なんとも素晴らし
い音で録れていた(しかもちゃんとステレオ)。
比べるとねぇ、やっぱり悲しくなっちゃう。
第3第4楽章になると、それまでより残響が長くなった感じだが、特に管のソ
ロは間近のチャルメラだったり抜けの悪い筒だったりで変わらず。まあ苦労
したんでしょうが。でもやっぱりつらいのはオケの非力だった。 ところどころ
で確かに‘天才的’ひらめきのテンポ・ルバートだとか表情だとかに満ちてい
て、時に成功してもいてハッと思わせるんだけれど、たしか練習嫌いだった
らしいシューリヒトさんの(いきなりの?)指示に、ここまでよう付いていった
もんやと労をねぎらいたくなる始末。
先に予行演習しておいた天下のウィーン・フィルによる2曲でも、けっこうア
ンサンブルが乱れてしまっているからね、それほどでもないオケじゃあしょ
うがないでしょう。録音は8番が63年、9番が62年。オーボエチャルメラ
ぽいのが共通してましたが、9番のほうがいい音。でも演奏は8番がグッド!
少々粗い感じはあってもスピード感のあるなんとも雄々しい演奏で、これは
実に素晴らしい。
実際は聴きどころ満載の64年録音の7番だったのですが、いやもうオケが
気になって気になって、エエカゲンにしましょう・・・言い足りませんが、高校
時代に戻ったような具合でした。50年以上前の不思議な演奏の鑑賞。自分
としてもなんだか微妙なのです。
コンサートホール録音のシューリヒト、ほかにも何枚か聴いたものです。中
にはちゃんと気に入ったものもありました。批評はいまいちで同じくオケの
アンサンブルがよくなかったブラームスの3番とか、モーツァルトの36番なん
かかな。このブルックナーで困惑させられたにもかかわらず、リマスターされ
たもので聴きなおしてみたい気はしています。多分シューリヒトのライブ録
音は数限りなく発掘されて、ほんの一握りのファンを喜ばせ、聴き始めたば
かりの若者をひたすら困惑させているんじゃないかと想像しています。どう
なんだろう。 
(ほんとは、コンサートホール録音だけでいいから、哀しい録音を全部確認
したいのです)