休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

対訳 ペレアスとメリザンド/ メーテルランク作

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20170330(了)
対訳 ペレアスとメリザンド メーテルランク作 杉本秀太郎
Maurice Maeterlincke  PELLÉAS ET MÉLISANDE  1892
        アルケル        アルモンド国王
        ジュヌヴィエーヴ    ペレアスとゴローの母
        ペレアス        アルケルの孫(弟)
        ゴロー          アルケルの孫(兄)
        メリザンド
        イニョルド少年     ゴローの(先妻の)遺児
        医者
        門番
        女中たち、乞食、その他
        ・一の幕
        ・二の幕
        ・三の幕
        ・四の幕
        ・五の幕
       1988年/戯曲対訳/岩波文庫/中古
       <★>

125年前の戯曲。
翻訳者の解説はワタシにはずいぶん古臭い表現。
フーケの「ウンディーネ」という戯曲との類似や、自身の好きな絵画
と関連付けて、長々と書いていらっしゃるが、なにやらよくわからん。
   狩で森に迷い込んだ王子ゴローは、泉の傍らで泣いているメリ
   ザンドを見つけ、妻とした。ゴローの弟のペレアスもまたメリザ
   ンドに惹かれる。彼らは互いの心に、二人だけの夢が宿ってい
   るのに気づくのだった。いらだつゴロー・・・。
   メーテルランク(1862-1949)のこの戯曲に、ドビュッシーは美し
   い音を与えてオペラ化した。・・・(カバー惹句)
そもそもメリザンドは誰で、どこから来たんだろうということからし
ついにわからないまま、お話はうすぼんやりした悲劇へ進んでゆく。
彼女は「水の精」(ウンディーネ)かもと言われても、こちとら教養な
く「だから何?」のレベル。
ネットから出したオペラの対訳があまりのひどさで、話がまるで分か
らんようではオペラ(ドビュッシーの音楽)に申し訳ないと、戯曲のほ
うを読んでみようと思いたった。(オペラ鑑賞記参照)
ところがところが、この戯曲の翻訳も骨董品!
杉本秀太郎さんは結構有名なフランス文学者だったそうだけれど、
もとの1978年の訳はすでに古色蒼然。なにかこんなふうに訳すと
いうような伝統ないし決め事があったのだろうかと、疑ってみたくな
る。この方、1931年生まれだから、1978年よりだいぶん前に翻訳を
済ませていたかもしれないな。
でもまあ、状況はオペラ対訳よりははるかによくわかった。
メリザンドの出自は皆目わからんかったけどね。彼女曰く・・・
  この森がどこかワカラン
  「みんなで、誰もかれもから」いじめられた
  「ずっとずっと遠いところ」から来た
これくらいしかない。
それをだよ、しくしく泣く彼女を美しいというだけで連れ帰って嫁にす
る?
始めに「あの方」という存在のことも彼女は口にするが、その後は一
度たりとも出てこない。
オペラの感想文には“インモラル”なんて言葉を使ってしまった。まち
がいじゃないけれども大仰。何のことはない、ストレートに言えば「嫉
妬」。やれやれ。いやそれぐらいネットのとんでもない「オペラ対訳」で
もわかってはいたのですが・・・
ドビュッシーさんこそ偉い!
フォーレシベリウスシェーンベルクなどの作品もあるわけで、正直
なんでこんな戯曲に惹かれたのか、ようワカランよ)


風邪をひいてしまって二日間ほどヘタッていました。
完治はしていないものの、軽く済んだようでラッキーです。