休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ジョン・アダムズ/劇的交響曲『シェエラザード2』


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20170119(了)
ジョン・アダムズ
    ヴァイオリンと管弦楽のための劇的交響曲シェエラザード2』
                                      (2014-15)
 ① Tale of the Wise Young Woman-Pursuit by the True Believers
 ② A Long Desire(love scene)
 ③ Scheherazade and the Men with Beards
 ④ Escape,Flight,Sanctuary
   リーラ・ジョゼフォヴィッツ(vn)/チェスター・エングランダー(ツィンバロム)
   セントルイス交響楽団/デイヴィッド・ロバートソン(指揮)
   録音;2016年2月、セントルイス、パウエル・シンフォニー・ホール
   CD/2016/現代音楽・管弦楽/Nonesuch/輸入
   <★★★☆>
ジョン・アダムズの新作『シェエラザード2』は女性ヴァイオリニスト、リーラ・
ジョセフォヴィッツのために書かれた50分の長さを持つ「劇的交響曲」です。
このリムスキー=コルサコフベルリオーズの作品を思わせる副題を持つ
作品は、ジョン・アダムズがパリのアラブ・インターナショナル・インスティチュ
ートを訪れた際、そこで展示されていた「アラビアン・ナイト」の世界、とりわ
シェエラザードの物語に心打たれ、作品を書く事を決意したそうです。ア
ラビアン・ナイトの時代だけでなく、現在でも一部の国では女性が虐げられ
ていたり、虐待されていたり、冒涜され続けており、これは深く憂慮すべき
であると考えるアダムズは、自身のこの作品の中で「抑圧された世界に生
きた賢い女性シェエラザード」を独奏ヴァイオリンで描くことで、女性の本来
の自由な精神を飛翔させることに成功していると言えるでしょう。作品には
明確なストーリーはありませんが、曲全体は挑発的なイメージを持ち、ある
時は彼女は追跡され、濃厚なラブシーンが繰り広げられ、宗教裁判にかけ
られる場面を経て、最終的には脱出、聖域へと飛翔していきます。シベリウ
ス、プロコフィエフバルトーク、ベルクらの影響も感じられる壮大なスケー
ルを持つ後期ロマン派風な味わいも持っています。ヴァイオリン・ソロを担
当するリーラ・ジョゼフォヴィッツは、ニューヨーク在住のユダヤ系カナダ人ヴ
ァイオリニスト。数多くのオーケストラと共演し、現代作曲家たちの新作の初
演も行っています。彼女が初演したエサ・ペッカ=サロネンのヴァイオリン協
奏曲は2014年のグラミー賞にノミネートされました。(輸入元情報)
ここまで書いてあるから説明はいらないけれど、自分の感じ方や意見を書く
のもなかなか難しい。思いつかないまま、結構長い間車で鳴らしていた。
なんたってシェエラザード「2」が付いてる。である以上は、まずは「1」
あるリムスキー=コルサコフ版との比較。この曲を主に若い間にだけれど、
一体どれほど聴いたことか。嵌らずにはおれなかった。こんなオジンになっ
ても染みついている。
これが「1」。
 Scheherazade, Op. 35 by Nikolai Rimsky-Korsakov(1888)
  Ⅰ The Sea and Sinbad's Ship
  Ⅱ The Story of Kalender Prince
  Ⅲ The Young Prince and the Young Princess
  Ⅳ Festival at Baghdad - The Sea
第4楽章の解説では、ラジオだと「バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士
のある岩で難破。終曲」なーんて必ず言ってくれる。‘難破’は印象深い。
これの125年ほども後の作品だ。
で、似ても似つかん。ヴァイオリン・ソロと大きなオケというだけ。なんで曲
名を同じにしたのかわからないが、第2楽章で「1」のヴァイオリン・ソロと同
じメロディや音型がちょっと出てくる。ご愛敬。
「2」の内容は解説によればイマドキで、イマドキ・シェエラザードはこうだ!
というわけだ。ソロ・ヴァイオリンは女性が虐げられている世界での賢い女
性を表す。美しいとは思うが、硬質でロマンティシズムや冒険譚とは結びつ
きにくいみたい。
全体も、くそリアリズムというのともどうやら違う。これ、想定イスラム世界?
いや、そうでもないんだろうなぁ。
とはいえ、オケの音はなかなかに深くドラマティックで魅力的。もっともツィ
ンバロムによる音色のアクセント的面白さやエキゾティシズム狙い(?)、だ
としても少しだけであって、あんまり利いていないんじゃないか。今のところ
はそう思う。もちろんミニマルじゃない。
そのうえで楽しめたかどうか。
始めはちょっと違和感があったけれど、音色、馴染んできました。
好みかどうかというと、まだわからない。もう少し聴いてみよう。もう少し馴染
むような予感もある。アダムズ作品全般についてもそんな感じかもしれない。
ついでに、もっと前のヴァイオリン協奏曲を久々聴いてみた。
浮遊感漂う、小気味よく美しく、かつ思索的な感じ。こちらのほうが今のとこ
ろ好きです。
別の作曲家にも「シェエラザード」、ありましたねぇ。何か書けたら後日・・・

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