休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ジャン・マルティノン/ドイツ・グラモフォン・レガシー 2-2

ジャン・マルティノン

ドイツ・グラモフォン・レガシー 2-2

JEAN MARTINON

The Complete Deutsche Grammophon Recordings

1960-1971

<CD3> 73:24

サン=サーンス : チェロ協奏曲第1番イ短調 ①-③ 19:17

        ピエール・フルニエ(チェロ)
        コンセール・ラムルー管弦楽団(1960)

サン=サーンス:ハープと管弦楽のための小品 ④-⑦ 13:50

G・タイユフェール: ハープのための小協奏曲 ⑧-⑩ 16:55

ヒナステラ : ハープ協奏曲 Op.25 ⑪-⑬  23:02

        ピエール・フルニエ(チェロ)、ニカノール・サバレータ(ハープ)
        フランス国立放送管弦楽団(1969)
<CD4> 31:13

ジャン・マルティノン : ヴァイオリン協奏曲 第2番 ①-③ 31:13

        ヘンリク・シェリング(ヴァイオリン)

        ラファエル・クーベリック(指揮)、バイエルン放送交響楽団(1968)

 

        CD4以外、指揮:ジャン・マルティノン(1910-1976)

        2014年/CD/4枚組/クラシック/ドイツグラモフォン/輸入/中古

f:id:kikuy1113:20211215221139j:plain

         (1953年10月13日 NHK交響楽団を指揮するマルティノン)

20211128-20211208
<CD3>

サン=サーンス(1835-1921) : チェロ協奏曲第1番

小振りできりッとして、すごくよくまとまっている。循環形式というより、ど
の楽章にも同じメロディというか曲調が入っているのが意外にいい。それから
どこにも力んだところがない音楽で、さくさくと流れる。多分技術的にはかな
り高度なものがあって、演奏家のやる気をそそるんじゃないかな。聴くほうも
さわやかなんだけれどね、じき飽きるような気もする・・・

 

サン=サーンス : ハープと管弦楽のための小品

まあ、なんという器用な作曲家。小振りなものからデカイものまで、なんだっ
てこなしてしまう、ロマン派最後の天才的職業作曲家。これなんかチョイチョ
イだったんだろうぜ。それにしても、実に見事な作品!
どこからどこまでもハイソサエティ用の音楽で、ハープのイメージや魅力を最
大限に発揮している。高品質で上品。緩徐な部分ではふっと一刷毛、仄暗いも
のを撫でて、それ以上は影を感じさせない。もろに上流社会のパトロンの依頼
に基いた作品なんやろね。本当に上手い!

 

G・タイユフェール(1892-1983): ハープのための小協奏曲

この女流はピアノ曲1枚、ピアノとヴァイオリンもしくはチェロの室内楽を1
枚知っているだけで、そんなに魅力的だったとは言い難い。オケ物は当然初。
ハープ協奏曲なんて、すごい曲にはどうしたってならないとは思うけれど、サ
ン=サーンスのものと比べたら、俄然感覚が新しい。いきなり、ストラヴィン
スキーからの影響らしいバーバリスムと新古典の両方のオーケストレーション
の音色が流れ、それをフランス近代のセンスが包むというような世界。やっと
ワタシの普段の領分に近づいてくれました。フランス「6人組」の紅一点で、
面白半分に「十二音」で書いてみたりもしただけのことはある。器用でもあっ
たんだな。編成がもう少し大きいものも聴いてみたいもんだ。

 

ヒナステラ (1916-1983): ハープ協奏曲

ハープ3曲目。
「十二音」や無調ではないけれど、例によって、南米の暗さ~つまりダークさ、
ちょっと毒めいたものを感じさせるヒナステラとしか言いようのない独特のサ
ウンドが聴かれる。バレエ音楽の『エスタンシア』とか『パナンビ』とかのプ
リミティヴなイメージを思い起こしましたね。そして短い緩徐な部分では独特
の濃密な叙情。
ハープやからどないしたっちゅうねん!というような感じ。ハープのイメージ
なんぞお構いなしのヒナステラの音楽。でもまぁここまでくるともう現代やね。
 
タイプがまるで違う、3つの素敵なハープ協奏曲。
この選曲はチェロよりはるかにすごかった!
                        以上すべて<★★★★>
<CD4>
最後は作曲家としてのマルティノンで、ヴァイオリン協奏曲第2番。マルティ
ノンはスタートはヴァイオリニストだったんだね。
クーベリックバイエルン放送響という優れものに演奏してもらうと言っても、
3枚目のハープものが猛烈に良かったんで、いささか分が悪いとは思いつつ聴
き始めました。
 
ワタシが近代現代で、すごいと思うヴァイオリン協奏曲は、ふっと思いつくま
ま挙げるなら、バルトークプロコフィエフやベルクのものだけれど、優れて
神経質な3人とも違うタイプ。
特に感じるのが、オーケストラの柔らかさや奥行きで、苛烈な民族色や虚無・
実存なんかを狙いつつも、かっこよくできてしまっていて、そういうシンドイ

ものとはかなり遠いところにいるといった感じやね。激しさもあるけれど、ど

こか優しい。

ここまでの指揮からも感じられるように、きりッとして、かつ気品や高貴さの
ようなものがベースにあるものだから、「そういう」現代なんじゃないか。
って、ヘンな言い方か。マルティノンの世評に引きずられているとこともある
かもしれません。でもまあそんな印象を持ちました。
いろんなものが聴きとれるなかなかの力作だと思います。
クーベリックバイエルン放送響のサウンドも録音もいいですね。ソロ・ヴァ
イオリンのほうは巨匠シェリングではありますが、音色はいまいちだという気
がしました。もっともソロ・ヴァイオリンについてはワタシの感覚は甚だあて
にならない。                       <★★★☆>

 

ここまでの完成度をお持ちであれば、他にも優れた曲を書かれていたんじゃな

いですかねぇ。それに、66歳で亡くなったのはいかにも惜しい。
作曲もよくした演奏家や指揮者は当然たくさんいらっしゃったわけで、これか
から「発掘」される方もきっとおられるでしょう。
 
4枚、長い間聴きました。この辺で締めます。

f:id:kikuy1113:20211215221320j:plainf:id:kikuy1113:20211213002546j:plain