休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ズート・シムズ リーダー&サイドメン

20240710(了)

ZOOT SIMS Four Classic Albums

CD1 79:58
(1)STRETCHING OUT ①-⑥
    ズート・シムズ(ts)、ボブ・ブルックマイヤー(tb)、アル・コーン(ts、bs)
    ハリー・エディソン(tp)、チャーリー・パーシップ(ds)、ハンク・ジョーンズ(p)
    エディ・ジョーンズ(b)、フレディ・グリーン(g)     1958年12月、NY.
(2)STARRING ZOOT SIMS ⑦-⑬
    ズート・シムズ(ts)with アンリ・ルノーと彼のオーケストラ 
    ジョン・アードレー(tp)他              1956年3月、パリ
(3)DOWN HOME ⑭⑮
    ズート・シムズ(ts)、デイヴ・マッケンナ(p)、ジョージ・タッカー(ds)  
    ダニー・リッチモンド(ds)                1960年6月、NY.
CD2 79:51
(3)DOWN HOME ①-⑥
 
(4)THE JAZZ SOUL OF PORGY AND BESS ⑦-⑲
    Conducted,orchestrated and arranged by Bill Potts 
    アート・ファーマー,ハリー・エディソン,バーニー・グロウ,マーキー・マーコウィッツ、チャーリー・
    シェイヴァーズ(tp)
    ボブ・ブルックマイヤー,フランク・レハク,ジミー・クリーヴランド,アール・スウォウプ(tb)、
    ロッド・レヴィット(b-tb)、ソル・シュリンジャー(bs)、ズート・シムズ,アル・コーン(ts)、
    フィル・ウッズ,ジーン・クィル(as)、ビル・エヴァンス(p)、ハービー・パウエル(g)、
    ジョージ・デュヴィヴィエ(b)、チャーリー・パーシップ(ds)
                                                                       1959年1月 NY
  CD/モダンジャズ/2枚組/Ⓟ&Ⓒ 2012 AVID/輸入/中古

バップ時代の(という言い方が正しいかどうかわかりませんが)アルバム4枚
を2枚のCDに入れたもの。録音時期は56年から60年までで、意外に広く、そ
れにかかわるコメントを書くことになるかと思ったのですが、結果的にはなか
ったですね。

(1)ストレッチング・アウト

これはすばらしい。乗りよくハッピーなバップの名作じゃないでしょうか。

ズート・シムズがやはりジャズ・ジャイアンツであることの認識を新たにしたと
いう感じです。こんなこと言ったら、ジャズファンに怒られそうですけどね。
どのトラックもバランスよく整っていて、ほんとに瑕がない。どれもがダンサブ
ルでもある。地味なフレディー・グリーンのギターがしっかり聞こえるという雰
囲気もよろしい。奏者一人を上げるなら、ブルックマイヤーのトロンボーン、こ
んなに上手い方だったんだなぁということ。          <★★★★>
 

(2)スターリング・ズート・シムズ

詳しくないので、ウィズ・アンリ・ルノーと彼のオーケストラ というサブタイト

ルの「オーケストラ」というのがはじめは気になったのですが、なんのことはな
い、単にリズムセクション、あるいはコンボというぐらいの意味だったみたい。
ズート自身も含めて、ものすごく普通の出来。特色はNYの場末とパリの場末の
湿度の違いというぐらい。そういえば好意的言い草だけれど、(1)の乗りの良
さに比べると、正直なところ差(≒狙いの違い)はかなりあるし、トランペット
の不調も響いたなぁ。                    <★★★△>
 

(3)ダウン・ホーム

前の2アルバムよりぐっと音がよく感じるのは、一応ステレオ録音になっている

からでもあると思う。そして何よりアメリカ・・・ 言葉で言うには難しいんだ
けれど、(2)とはムードが明らかに違う、乾いていて、悪い意味じゃなく大雑
把。大らか、でもいいかな。
取り立ててすごいとと思わせるところはない、全体にくつろいで地味なワンホー
ン・アルバムながら、上手い奴らが集まって、普段からやってるちょっといいジ
ャズを聴かせてやっから、アンタら酒でも飲んでろよ、てな感じなのですな。あ
まり主張するピアノじゃないんだけれど、このピアノ、デイヴ・マッケンナ、む
かしから名前だけは知っていて(いやLP1枚だけ買ったことがあるはず)、ここ
で、なんというか、扇の要として上手ーく手綱を引いているかのよう。テクニッ
クのことはよくわかりませんが、4人とも優れて素敵で、シムズの真面目な(?)
テナーがのびのびして感じる。                <★★★☆>  
 

(4)ザ・ジャズ・ソウル・オブ・ポギーとベス

ピアノがビル・エヴァンスだし、ワタシでも知っているプレーヤーがほとんどな

んだけれど、どうなんでしょう、今でこそ有名な方たちの集まりとはいえ、ジャ
ズ・プレーヤーなんて多くは、スタジオ・ミュージシャンをやっていたんじゃな
いかと想像します。なんてね、このアルバムの出来方、出来具合などよくわかり
ませんが、アレンジもアンサンブルも派手さはないものの、いいですね。各プレ
ーヤーもうまいんじゃないでしょうか。(⑮でぽろっと聴けるピアノの音にぞく
っとしましたね。おぉ、エヴァンス!)
なんたって名メロディの多い「ポギーとベス」なんだから、アレンジを間違えな
きゃ、聴き映えがするのは当たり前。「ポギーとベス」だけのアルバムがこれま
でに一体何枚製作されたことか!
ズートを聴くんじゃなく(って、当たり前、ズートを意識しながら聴くなんてで
きっこない)、歌なしのビッグ・バンド・ジャズを楽しめばよろしい。尖った音
楽じゃないですけどね、ステレオ初期とはいえ、この時代らしいビッグバンドが
見事に捕えられているいい録音だと思います。         <★★★☆>
 
表紙にもLeader & sidemen」と書いてあるから、まぁ正直ではあるのですが、
(4)はズートを聴くアルバムじゃないと諦めなきゃならない。
それでも、いい買い物をしました。