休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ジャン・マルティノン /ドイツ・グラモフォン・レガシー 2-1

評価しそこなっていたのかもしれません・・・

それとも、ワタシが変わったのか・・・

 

ジャン・マルティノン

ドイツ・グラモフォン・レガシー 2-1

    JEAN MARTINON

  The Complete Deutsche Grammophon Recordings

  1960-1971

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〈CD1〉 79:44

ビゼー交響曲 第1番ハ長調 ①-④ 26:50
    歌劇『美しきパースの娘』より「ボヘミア女達のシーン」 ⑤-⑧  12:20
      管弦楽組曲『子供の遊び』⑨-⑬ 10:41
ラロ  :  バレエ音楽『ナムーナ』より第1ラプソディ ⑭‐⑱ 29:29
        フランス国立放送管弦楽団(1971)

〈CD2〉   64:50

ラロ : バレエ音楽『ナムーナ』より第2ラプソディ ①-⑤ 15:05
   :『ノルウェイ狂詩曲』 ⑥-⑦ 11:48
        フランス国立放送管弦楽団(1970)
   : チェロ協奏曲 ニ短調 ⑥-⑩ 26:58
ブルッフ : チェロと管弦楽のための狂詩曲『コル・ニドライ』 ⑪ 10:37

             ラムルー管弦楽団(1960)

        指揮:ジャン・マルティノン(1910-1976)
        2014年/CD/4枚組/クラシック/ドイツグラモフォン/輸入/中古

 

20211115-22
ガキの頃からラヴェル好きだったワタクシメ、さんざん聴いたのがアンドレ
クリュイタンスのレコード。アンセルメもマルティノンもずっと目に入らず、
ああちゃんと素敵なんだと気が付いたのはずいぶん経ってからでした。
アンセルメはその後いろいろ聴いたものですが、マルティノンはウィーン・
フィルとの「悲愴」以外にあまり聴くことがなく(ゼロではないけどね)、い
つか、と思っているうちにこっちもジジイになっちゃった。

ポール・パレーはオッサンになってから気が付いた。そう言えば、ルイ・フレ

モーもそういう指揮者やね。クリュイタンスも聴き直したいところ、、、覚え

ておこう・・・(フランスものの話です)

ま、何か探している時、ちょっと珍しいものが入ったこのステレオ録音のセッ
トを見つけ、「ほしいものリスト」に入れておいたものを、財布と相談してよ
うやく手に入れてみたというわけです。ラロ、タイユフェール、そして自作。
この辺が珍しい! 結局安かったからなんですけどね・・・
 
〈CD1〉
ビゼー交響曲なんて実に久しぶりに聴いた。このハイドンシューベルト
のような古典的なスタイルのものは、今やほとんど聴くことはないんだが、
こんなに生き生きとした音楽として聞こえてくるとは思わなかった。
軽快さは当然として、なんというか、きりッとして小粋!
オケはどれだけ気持ちが入っているかよくわからなく、無色ながら、さすが
放送オケで無難なアンサンブル。端々で(特に第4楽章で)指揮者のテンポ
の変化などの要求に――おっとっとッとぉ――とばかりにつっかかってしま
うようなところがあるにもかかわらず、キズにはなっていなかった。
(連想したのがシューリヒト・・・解説は省略) 実はどちらかというと苦
手な曲だったのに、、、まだ何回でも聴けそうでっせ。
『美しきパースの娘』『子供の遊び』が更にすばらしく、共に何度も聴い
たという曲じゃないけれど、優れたメロディ・メーカーとしてのビゼーの面
目躍如。速めのテンポで交響曲よりもっとずっと粋。これらがこんなに素敵
敵な曲だっけと、今さらながらの感想。
                          以上<★★★★>
さて、上記はビゼーでまとまるので、ラロのバレエ音楽は次のにくっつけ
ちまったほうがいい・・・

〈CD1〉

ラロ;バレエ音楽『ナムーナ』より第1ラプソディ

〈CD2〉

ラロ;バレエ音楽『ナムーナ』より第2ラプソディ

それぞれ第1組曲、第2組曲という訳し方がされているよう。
ラロにこんなバレエ音楽があることすら知らなかった。本来は第3組曲
であるらしいが、ここでは第2まで。
天才肌のビゼーと並べると「生真面目」だけれど、聴いているうちにだん
だん冴えが感じられる気がし始め、何度も聴きました。ひょっとするとこ
の曲が、このセットものの目玉になっているかもしれないね。とすると、
〈CD1〉と〈CD2〉に分かれちゃったのは結果的に失敗かも。
ロマン派好きやバレエ音楽好きにはたまらないのではないか。
スペイン交響曲のような曲調も若干はあるものの、どのチューンもヴァラ
エティに富み、いかにもロマン派らしいもの。それにマルティノンによっ
てとても自由なテンポ設定や変化などが施されているようで、実に楽しい。
ワタシのイメージでは、南欧のあちこちの(モロッコも含んで独特)音楽
を上手く入れ込んで異国情緒たっぷりというふうに感じる。
なお第1組曲の5曲目は本来は「異国の祭り」なんだが、代わりに『煙草
のワルツ』というラロの知られている(らしい)ワルツの曲が意図的に入
れられている。
ともあれ取りあげたマルティノンの慧眼。        <★★★★>
ノルウェイ狂詩曲』;もとは「ノルウェイ幻想曲」というヴァイオリン
協奏曲として書かれ、サラサーテが初演したものの、2曲の管弦楽曲に改
作してしまったという。涼やかさと民族色とバイキングの勇壮さが同居す
る感じ。                       <★★★☆>

『チェロ協奏曲』;これもロマン派の雰囲気横溢の素敵な協奏曲。次のブ

ルッフともども、このセットものの中では録音が古いものの、音は非常に

よく、ラムルー管(失礼!)もフルニエも充実して、ものすごく聴き映え
がする。知らなかったからかもしれない。「スペイン交響曲」のチェロ版
みたいな期待をされて、でも、そこまでおもしろくないなどと言われてき
たのかもしれませんが、なに、そんなことはない!
第1楽章がとりわけ素晴らしいけれど、第2第3楽章のスペインのかおり
もよかった。(チェロ協奏曲って飽きがちだけど・・・飽きませんように)
                           <★★★★>
ラロはワタシには皆初物。ま、音楽も結局出逢いのものでね、こんないい
曲を知らなかったんやと嘆いても仕方がない。でもワタシがせっせといろ
んな曲を聴きあさっていたころって、そんなに人気なかったんやろうなぁ。
フランスの作曲家とはいえ、もともとはスペインの血を引いている。その

辺がスペイン色以外の(日本での)人気が出るのを遅らせたのかもしれな

い。妄想の類です。
 
このCDおしまいの ブルッフ (1835-1920):『コル・ニドライ』。ガチ
ガチの(というといささか言語矛盾風だけど)ロマン派に拘った作曲家で、

ラロより少し若く、サン=サーンスと同世代。ビゼーとは同じ生年。出身

国はドイツ。

あだ名のせいでだろう、とても有名なんだけれど、昔も今も、強い印象は
持てませんでした。よく言えば、借用しているらしいメロディ(二つ)も
雰囲気もとても優しく、(讃美歌の歌詞みたいだけれど)慈しみ深い感じ、
かな。「いーつくしみふかーきー ともなるいぇすわー・・・」のような歌
の少々間が抜けた感じじゃないですよ、もちろん。
二つ目のメロディーとオーケストレーションはなんというか、神々しい。
                           <★★★☆>

― INTERMISSION ―