イギリス音楽の名盤というべきか、名曲たちというべきか |
20221025(了) |
モーラン/ヴァイオリン協奏曲&
チェロ協奏曲 他
Ernest John MOERAN(1894-1950)/Violin Concert etc.
(1)ヴァイオリン協奏曲 33:18 Dedicated to Arthur Carreral |
① ⅠAllegro moderato 13:31 |
② ⅡRondo.Vivace - Alla valse burlesca 9:41 |
③ ⅢLento 10:01 |
(2)寂しい水(Lonely Waters) 9:19 ④ Dedicated to Ralph Vaughan Williams |
(3)ホワイソーンの影 6:30 ⑤ Dedicated to Anthony Bernard |
(4)チェロ協奏曲 28:41 ⑥ ⅠModerato 11:12 |
⑦ ⅡAdagio 7:22 |
⑧ ⅢAllegretto deciso、alla marcia 10:02 |
ヴァーノン・ハンドリー指揮/アルスター管弦楽団(1)~(3)、 |
ノーマン・デル・マー指揮/ボーンマス・シンフォニエッタ(4) |
リディア・モルトコヴィチ (ヴァイオリン) |
ラファエル・ウォルフィッシュ (チェロ) |
録音:1987&1989 ベルファスト(1)~(3)、1985 ドーセット(4) Tot.78:03 |
CD/協奏曲&管弦楽曲/Ⓟ&ⓒ 2004 Chandos Records/輸入/中古 |
<★★★★△> |
(1)ヴァイオリン協奏曲; ①夢見るような出だしで、すぐにアレグロ部分に入っていく。チラッと聞こえ |
るオーボエソロが無茶苦茶いい感じ。無理のないカデンツァも素敵だが、すぐ |
に始めの夢見る調子に戻っていき、やや盛り上がる。と、ここまでの曲想をも |
う一度くり返すように進んでから、先のものより長いカデンツァ・・・ |
②第2楽章のヴィヴァーチェは珍しいかもしれない。ああ、確かにワルツが挟 |
まる。ソロはそこそこ難しそう。なんとストラヴィンスキーの「ペトルーシュ |
カ」みたいなところが聞こえてビックリ。最近よく聴いているタンスマンでは、 |
不思議でもなんでもないのですけどね。 |
③ちょっと翳りがあるレント。甘ったるいと言えばそうなんだけれども、女性 |
でなくどうも男性のロマンティシズムかなぁ。 |
こんなに長い感じのホールトーンでも、混濁はあまり感じない。 |
美しさ、柔らかさなどに貢献しこそすれ、ウルササや下品さには繋がらない。 |
ブラスの咆哮だけは、やや人工的な響き、かもしれない。 |
初めて聞く曲じゃないはずながら、初めてみたいな気もしました。 |
<★★★★>
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(2)寂しい水: 「ロンリー・ウォーター」。モーランでは最も知られた曲かもしれない。幾つ |
か別の編成のヴァージョンがあったはずです。胸苦しくなるほどの叙情。 |
レイフ・ヴォーン=ウィリアムズに捧げられているんだ。そうだっけ・・・ |
やっぱり英国の田園風景でしょうかねぇ。弦楽合奏部分も美しいが、途中のコ |
ールアングレ(ここじゃあ、イングリッシュホルンといったほうがいいんでし |
ょう)のソロが非常に美しい。 |
これだけなら<★★★★☆> |
(3)ホワイソーンの影: ほとんど三拍子・・・これ初めてかも。全体としては、バロックを下敷きにし |
たメヌエットという感じがあるんだけれど、だんだんイギリス音楽に、モーラ |
ンの世界になっていく。いいですねえぇ。ディーリアスの『春を告げるカッコ |
ウ』と双璧というか、それを思い出させずにおかない曲じゃないですか。ヴァ |
イオリンソロが多いので、ヴォーン=ウィリアムズの有名曲『揚げひばり』も ね。 |
<★★★★△> |
(4)チェロ協奏曲; ヴァイオリン協奏曲の力の入れ方に通じますが、オケの編成が少し小さい感じ。 |
(3)までとはホールもオケも違うせいか、録音もちょっと違う。残響の長さ |
は似ているものの、音色感が違う。ブラスが吠えた時の響き方も。むしろ自然 かも。 |
しっかりした曲調の第一楽章⑥に引き替え、アダージョの⑦は美しいが、どこ |
か一種「お祈り」ふうで、ヴァイオリン協奏曲の①や③とは違う。 |
最終のアレグレットはよく覚えてまして、このメロディは民謡かなにか知られ |
たメロディを行進曲のように上手くアレンジしています。 <★★★☆> |
一時期、NAXOSレーベルでよく聴いたモーランで、今回かなり久々。 |
でもどうでしょう、このCHANDOSの録音は、全体としてはやはりちょっと甘 |
ったるすぎかもしれない。いいとかダメとか言うんじゃないんだけれど・・・ |
シリアスなところなんぞ、全くない。郷愁というものを音にしたよう。甘美さ |
や穏やかさがぎっしり詰まった音楽。バイキングのような男っぽさもしっかり |
聴き取れた『交響曲』とはすっかり違う。溢れんばかりの叙情でできている。 |
今風で下品な言い方だと、だだもれの叙情、とでも言いますか。 |
特に(1)(2)(3)はそうでした。 |
何かほかの曲を引っ張り出して聴いてみたくなりました。 |
聴く気になるかもとリストアップしているCDの中には、民謡を編曲したのがあ |
ります。モーランがアレンジしているのなら、ってわけです。ま、いつか。 |
「更新する」のボタンを押したあたりで、日本vs.クロアチア戦、日本側
に1点が入りました。