休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ルイ・フレモー CBSO全録音 3&4/12

ルイ・フレモー CBSO全録音 

              (12枚組) 3・4/12

  LOUIS FREMAUX The Complete CBSO Recordings

 

CD3 73:13
Jules Massenet 1842-1912
(1)ジュール・マスネ:歌劇《ル・シッド》よりバレエ組曲
  ①~⑦ 19:26
(2)ジュール・マスネ:組曲No.4《絵のような風景》
  ⑧~⑪ 17:26
(3)ジュール・マスネ:オラトリオ《聖処女》より〈聖処女の永眠〉
  ⑫ 4:32
 (以上 1971年4月4,6-7日、バーミンガム大学グレイト・ホールでの録音)
Georges Bizet 1838-1875
(4)ジョルジュ・ビゼー組曲《ローマ》
  ⑬~⑯ 31:31
 (1974年4月22-23日、バーミンガム大学グレイト・ホールでの録音)
 <★★★★> (1)は<★★★★△>

 

CD4 80:18
Eduardo Lalo 1823-1892
(1)エドゥアール・ラロ:スペイン交響曲, op.21
  ①~⑤ 33:59                    <★★★☆>
  ヤン・パスカル・トルトゥリエ(Vn)
(2)エドゥアール・ラロ:チェロ協奏曲ニ短調
  ⑥~⑧ 27:42                    <★★★>
  ポール・トルトゥリエ(Vc)
 (以上 1975年9月23-24日、ベッドワース市民センターでの録音)
Camille Saint‐Saëns 1835-1921
(3)カミーユサン=サーンス:チェロ協奏曲No.1 イ短調 op.33
  ⑨~⑪ 18:22                    <★★★☆>
  ポール・トルトゥリエ(Vc)
 (1974年5月29-30日、レイチェスター、デ・モンフォート・ホールでの録音)

 

   ルイ・フレモー指揮/バーミンガム交響楽団(CBSO)

   CD/12枚組/クラシック/Ⓟ&ⓒ Parlophone/Warner Classic/中古

CD3/12

(1)マスネ:歌劇《ル・シッド》よりバレエ組曲①-⑦

先に書いておきますと、マスネの3曲、大満足です。自分でもかなり意外。
特にこのバレエ音楽。これぞロマン派の音楽という感じ。明るくのびのびとした
音楽は、ややこしい音も表現もない、これで十分。足すことも引くことも要らな
い、極めてバランスの取れたもの。むしろかのチャイコフスキーよりも優れた点
がいくつもある気がします。一時グラズノフを集中的に聴いていた頃を思い出し
ました。
セミクラ」という言い方、このごろは聞きませんが、この言葉の感じに近い軽
さはありますね。軽いと言っては失礼かもしれない、「軽妙さ」かな。
「『タイス』の瞑想曲」以外は幾つかのオペラぐらいで、現在ではあまり演奏さ
れないというのは勿体ない。といっても、ワタシにはオペラは簡単じゃないけど
ね。ワーグナーのライトモチーフの方法なんかも上手く使ったそうですが、ここ

じゃわからない。まあしょうがない。(YouTubeで探しますか・・・ちょっとキ

ツイな)

褒めるのは、フレモーとバーミンガムの演奏が実にいいからだと思うのです。ロ
マンティックだけれど、あまり弄らずにキレのいいアンサンブルを聴かせてくれ
る。これいいだろう!と思わせたい意図まんまん!①-⑦、みなすばらしい。
 
(2)マスネ:組曲No.4《絵のような風景》⑧-⑪
これは初めて聴く曲じゃないのですが、完全に忘れているので、初めてのような
もの。若いころにはどうも響かなかったんだね。
比較的少ない管弦楽オンリーの組曲7つのうちの一つ。イタリアの風景?
最後の⑪「ジプシーの祭り」が(1)のバレエ曲に通じて、盛りだくさんで小気
味良く楽しい。
 
(3)マスネ:オラトリオ《聖処女》より〈聖処女の永眠〉⑫
全く知らない。オラトリオやカンタータは7-8曲書いているんだ。
4分ちょっとの弦楽中心のとても優しい曲。
 
(4)ビゼー組曲《ローマ》⑬-⑯
これは1868年頃の作品だけれど、生前には演奏されなかったという。タイト
ルも「序奏とアレグロ」、「アンダンテ」、「スケルツォ」、「カーニヴァル
(謝肉祭)」などというのが用意されていたが、結局付けられなかった。
聴いていると、前のマスネと生年だけでなく、なんだか音色、曲調にも似たとこ
ろがあるんじゃない? 知られた若書きの「交響曲 ハ長調」や『美しきパースの
娘』組曲 のようなものとも勿論似た感じのところはあるけど。
交響曲とも組曲とも書かれるが、組曲のほうがいいかな、区別しやすいし。
若干冗長な気がしないでもないけれど、これはイタリアに題材を得て、明るくの
びのびしている。いろいろあがきまくって若死にしてしまったビゼーながら、音
楽の若々しさは魅力たっぷり。素敵な組曲です。
世評がよくなかったのが不思議。ただあのマーラーが評価して度々取り上げたん
だそうな。
これも、はつらつとした演奏が効いている。
絶対音楽狙い」でない気楽さがいい。
                              以上20230102
 

CD4/12

今度は、ラロとサン=サーンスの協奏曲的作品3つ。

(1)ラロ:スペイン交響曲

クラシック好きだとまず知らない人はいない有名曲ながら、なんとワタシ、この

曲のCD、初めてでした。LPだと持っていた記憶はあります。フランチェスカッテ

ィ盤。

 
ヴァイオリンは、(2)(3)のチェリスト、トルトゥリエの息子さんかな。指揮
者に転向されたんじゃなかったでしたっけ。
ここでもヴァイオリンはとてもスマートな感じで、特にスペイン色を出そうとか、
派手な表情を出そうなどとはしていないが、ところどころ粋な表情を見せるのが
いい。
オケはそこそこ力強いけれど、これも特にスペイン色なんてものにはこだわら
ず、ストレートなきっちりとしたつけ方。それでもとでも曲のムードがよく出て
いると思いました。やっぱり、フレモーさんのリードなんでしょうね。
 

(2)ラロ:チェロ協奏曲ニ短調

おととしの年末に、マルティノンのDGへの録音集に入っているのを聴いて、た

いそう気にいったんでしたが、本盤のはもうひとつ。
上記スペイン交響曲と同じところでの録音なのに、日が違ったせいか、音もい
まいちに感じました。
マルティノン盤のフルニエのチェロが絶好調で(マルティノン/ラムルー管も)
夢見るように軽快なのに対して、本盤ではトルトゥリエのチェロが妙に気張っ

てテンポが遅く、音楽が重くなっちゃったからじゃないでしょうか。特に第1

第2楽章。

まあこれも解釈なんでしょうけど。(実は聴き比べちゃったのです) フレモ
ーさんのせいではないと思います。(じゃないね、正しくは「思いたい」!)
 

(3)サン=サーンス:チェロ協奏曲No.1 

これは(1)(2)より録音は少し前だが、ロケーションがよかったのか、繊細

で響きが豊か。音楽まで豊かになるから不思議。チェロのほうは若干危なっか
しいものの、オケは引きずられず、毅然とつけている。テンポはラロより遥か
に上がって軽やかで、この曲にピッタリ。華美なだけの曲ではあるけれど、た
まにはこういうのも悪くない。
                             以上20230108