休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ドアティ/ヘミングウェイの物語

刺激的かどうかはともかく、とても楽しい管弦楽曲

20201209(了)

マイケル・ドアティ

       ヘミングウェイの物語

(1)ヘミングウェイの物語 (2015)28:28
   ①Big Two-Hearted River
     二つの心臓の大きな川(短編;「ニック・アダムズ物語」の一つ) 5:35
   ②For Whom the Bell Tolls誰がために鐘は鳴る 6:12
   ③The Old Man and the Sea老人と海 6:43
   ④The Sun Also Rises(陽はまた昇る) 9:58
     ズイル・ベイリー(チェロ)
(2)アメリカン・ゴシック (2013) 12:49
   ⑤On a Roll 5:29
   ⑥Winter Dreams 9:08
   ⑦Pitchfork 7:12
(3)ワンス・アポン・ア・キャッスル(2015年改訂版) 27:26
   ⑧The Winding Road to San Simon  6:37
   ⑨Neptune Pool  6:52
   ⑩Rosebud 4:44
   ⑪Xanadu 9:13
     ポール・ジェウコブズ(オルガン)
 
    ナッシュビル交響楽団/ジャンカルロ・ゲレーロ(指揮)
    録音;2015年4月&11月/シャーマーホーン・シンフォニー・センター Tot.77:43
    CD/現代音楽/管弦楽/Ⓟ&ⓒ 2016 Naxos/Made in Germany
   <★★★★>


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〈メーカー惹句〉 グラミー賞を受賞した現代アメリカの作曲家ドアティ(1954
-)の最新作は、どれも20世紀を象徴するアメリカ文化からインスパイアされ
たもの。文豪ヘミングウェイの名前をタイトルに掲げた4部作は「チェロ協奏
曲」の形式を持ち、チェロと管弦楽との対話によって、そのストーリーを象徴
的に描いています。いずれも原作は1950年周辺に書かれたおなじみの作品で
すが、不屈の精神と不変の愛は、永遠に語り継がれるべき内容であり、ドアテ
ィもこれを音楽で巧みに表現しています。 アイオワ管弦楽団から委嘱された
アメリカン・ゴシック」は、ドアティの父ウィリス(1929-2011)と、彼自
身の子供時代の思い出が反映された作品で、故郷であるシーダー・ラピッズの
風景が目に浮かぶような鮮やかな音楽です。「いつか城で」はドアティが愛す
るカリフォルニアのハースト・キャッスルと、そこに続く太平洋沿岸のハイウ
ェイの風景などが描かれた、まるで映画音楽のような壮大な響きを持つ作品。
初演は2003年ですが、ここで録音された改訂版は世界初録音となります。
 
 
ドアティのアルバムは2枚目です。今回は・・・恥ずかしながら、ジャケット
買いに近いのです。若いヘミングウェイとタイプライターの写真。
 
(1)音楽によるヘミングウェイです。聴きどころ満載!俗っぽいかもね。
①のお話は知りませんが、②③④はまあ何とかわかる。でも音楽とはねぇ。
チェロ協奏曲スタイルといっても、さすがにそれぞれが違っている。
①は、悲劇的な匂いがするが、さわやかに美しい。中国映画『グリーン・デス
ティニー』を少し思い起こさせるとことがあります。かのヨー・ヨー・マが
チェロを弾いて、立派なチェロとオケの協奏作品でした。これもそれに負け
ない、実に表情豊かなチェロとキラキラ感のあるオケででもって、想像力の
膨らむ曲。
②はややハードに突っ込んでくるチェロとオケ。サスペンス色が濃いが、チン
チンと鳴る打楽器がたいてい聞こえていて、どういう意味なんだろう・・・
一応現代音楽っぽい尖り方が面白い。
③ ここでは①の『グリーン・デスティニー』のイメージは残しつつも、カラフ
ルで、ややスペイン風味も感じられる。でも、スペイン風味というなら、②の
誰がために鐘は鳴る」のスペイン戦線のほうじゃないのかねぇ・・・いやぁ、
老人と海」も(サンチャゴなんて名からして)スペインが舞台だったっけ? 
お話とはそぐわない感じなんだが、濃い幻想味が残す余韻がいい。
④チェロの素敵なソロから始まる。カスタネットが聞こえ、風味的にはやっぱ
りスペインやメキシコでしょうか。オケの能力高し。
スラーやポルタメントが聞こえると、つい『グリーン・デスティニー』を思い
出すこっちがいけないのでしょうが、まぁしょうがない。
オケのサウンドもチェロ・ソロもよく、さわやかな感じ。録音もいい。
暗くなく、とっても楽しい。俗っぽいと言えばその通りなんですけど、だから
どうした!ってなもんです。
 
(2) タイトルでホラーめいたドラマを連想したんですが、テレビドラマのホ
ラーとは関係なく、子どものころの思い出らしい。
⑤は珍しや、チューバが大活躍して不自然でない。サスペンスフル。
⑥音程の低いフルートが尺八のように活躍。始め、音楽自体が尖っているが、
だんだんノスタルジーをかきたて、おしまいはまた少し尖った音に戻ってゆ
く。
⑦アップテンポのダンス。カントリー・ヴァイオリンのような感じのヴァイオ
リンに引率されつつ、オケも軽い。コープランドの「ロデオ」、もしくはウェ
スタン系の映画の音楽めく。
 
でもねぇ、ヘミングウェイの音楽から、するするっと入り込んで、まるで続い
ているみたいな感覚で聴いちゃいましたよ。
 
(3)「いつか城で」;
⑧ちょっとね、ラヴェル「ダフニスとクロエ」の第2部の始まりのような音楽
から(いや多分、そのまま拝借しちゃってるサウンドがありますね)、オルガ
ンの活躍するバーバリスム的な、あるいはサスペンスフルな音楽へ。映画音楽
のようなと紹介されていますが、映画では普通こんなに雄弁には鳴らさない。
これは濃い風景描写。ハイウェイかぁ、なるほど・・・
⑨宗教的なムードが濃く漂う。これは決してクリスチャニティだけではなく、
イスラムもまざっている気がする。ヘミングウェイを引きずっているのは、ワ
タシの側?
⑩ヴァイオリンとパイプオルガンの掛け合い。可愛いバラのつぼみも、それを
連想する少女も感じない。濃い幻想味。
⑪「第四楽章」というにふさわしい煮詰まり方やテンポ。この苛烈さからは景
色は思い起こせない。でもわくわく感があります。大スペクタクルとその結末。
それとかすかにイスラムの匂いが、、、しますよねぇ。

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だらだらメモになりました
頭の中で、ちゃんとまとまっていないということではあるんですが、楽しみました。
とても雄弁≒わかりやすい感じなのです。面白かった。