
20170106(了) |
ペンデレツキ/ポーランド・レクイエム |
Krzysztof PENDERECKI(1933- );Polnisches Requiem(1980/84) |
4人の独唱、2群の混声合唱とオーケストラのための |
<CD1>49:44 |
レクイエム・エテルナム(入祭文) |
①主よ永遠の安息をかれらに与え(合唱) 4:02 |
キリエ |
②主よ、あわれみ給え(ソプラノ・アルト・テノール・バス・合唱) 4:52 |
ディエス・イレ |
③怒りの日、その日こそ(合唱) 1:41 |
④この世の墓の上に(バス・合唱) 2:06 |
⑤人間が審判者に答えるために(アルト・合唱) 6:22 |
⑥そのときあわれな私は、何をいおうか(合唱) 5:10 |
⑦仰ぐもかしこみいつの大王よ(バス・合唱) 1:57 |
⑧慈悲深きイエズス/大いなる主よ/(ソプラノ・アルト・テノール・バス・合唱)11:00 |
⑨私は自分のあやまちを嘆き(ソプラノ・アルト・テノール・バス・合唱) 12:21 |
<CD2>38:02 |
ディエス・イレ(続き) |
①罪ある人が審かれるために(ソプラノ・合唱) 4:44 |
アニュス・デイ(神羊誦) |
②世の罪を除き給う神の子羊(合唱) 8:27 |
ルックス・エテルナ(聖体拝領誦) |
③主よ、永遠の光明をかれらの上に照らし給え(合唱) 4:42 |
リベラ・メ |
④主よ、かの恐ろしい日に私を永遠の死から解放し給え(ソプラノ・バス・合唱) |
8:59
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(フィナーレ) |
⑤慈悲深きイエズス/大いなる主よ/・・・死せる者のすべての霊魂を |
(ソプラノ・アルト・テノール・バス・合唱) 11:00
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イングリッド・ハウボルト(s)、グラツィナ・ヴィノグラースカ(ms)、 |
ツァコス・テルツァキス(t)、マルコム・スミス(b)、 |
北ドイツ放送合唱団、バイエルン放送合唱団、 |
北ドイツ放送交響楽団、 |
指揮: クシシュトフ・ペンデレツキ |
1989年8月、ルツェルン国際音楽週間ライヴ・レコーディング |
1990年/CD2枚組/現代・宗教/独グラモフォン/ポリドール/邦/中古屋 |
<★★△△> |
邦盤なので日本語の解説は読むことができた。 |
曲の解説は、どういう音楽なのかが書いてあればいいのだが、曲の成 |
立過程みたいなものばかり。成り立ちがラッキーなことにすべてわかっ |
ていると、嬉しそうに書いている。(翻訳のよう。) こうしたことがきっち |
りわかるのは珍しいケースなんだろうね。 |
で、中心になっているもの、つまり先に別々の作曲動機で書かれた3つ |
の曲、これらを主にディエス・イレに据えて、レクイエムを作れそうだと発 |
想、計画し、他の部分を書き足した、というようなことが書かれていた。 |
8つのトラックを抱える「ディエス・イレ」のハイテンションは猛烈だ。 |
常識的に考えて、これがレクイエムかいな。 |
聴いたことのあるものの中で似たようなものといったら、合唱部分でリゲ |
ッティのようなのを聞きつけた気がしたかな。 |
苛烈な祈りの世界! |
そういえば・・・「広島の犠牲者に捧げる哀歌」(弦楽合奏)(1959-60年) |
という有名曲があるけれど、これももともとは広島とは関係のない抽象的 |
な曲のつもりだったところ、やたらおどろおどろしく出来上がり、「広島」と |
結びつけることになったという話だった。とんがり具合はホラーっぽく、激 |
しい曲だった。長いこと聴いてない。このCDの帯の一行は「音楽による |
20世紀最悪の地獄絵図」。笑ってしまう。 |
以下想像です。ポーランド、あるいはポーランド人に向けたものなんだろ |
うけれど、それってどういうことなんだろう。 |
普通に考えるとポーランドという国は、第二次世界大戦で、ヒトラーの片 |
棒を担いでしまったという「業」を背負っていて、それに対する終わりのな |
い懺悔、というような意味合いなんだろうか。 |
それともそうした対象のはっきりしたものではなく、もっと一般論的に広 |
げたものなんだろうか。・・・曲名からして、それはないな。 |
他に知っている宗教的な楽曲というと 、比較的初期作品である「ルカ |
受難曲」(1965)と「クレド」(1998)のCDが手元にある。 |
前者は結構とんがった曲なのに、かなりの美しさ(曲の美しさというより、 |
残響が猛烈に長いにもかかわらず、音の混濁感なく美しい録音である |
というのと、音楽の案外の‘平易さ’がある)を感じるのが気に入って、時 |
時聴くようなこともありました。 |
一方の「クレド」。「ポーランド・レクイエム」より15年ほどもたっていて、調 |
性が戻ったみたいで、とんがった感じはなくなっている。先祖返りして美 |
しい、などとか書かれている。角が取れてしまって、訴えかける力につい |
ては微妙、かな。 |
さて、脱線しました、って、こういうのが本来です。 |
今回のこの大曲は、たびたび聴きたくなるようなものじゃありませんでし |
た。まだ「クレド」のほうがいいかも。 |
ふつうはない「フィナーレ」が付いている。書かれた意味はあるんだろう、 |
ここでようやく‘落ち着く’。いやこれでバランスが取れたのだろうが・・・ |
長すぎです。疲れました。残念賞。 |
年末年始は、これと「オーヴェルニュの歌(全曲)」の二つの2枚組を車に |
入れていました。 |