休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ツェムリンスキー; 歌劇『夢見るゲールゲ』

20200715(了)

ツェムリンスキー

                ; 歌劇『夢見るゲールゲ』

Alexander von Zemlinsky(1871-1942); Der Traumgörge
  Opera in two acts and an epilogue ・ Libretto:Leo Feld
  <登場人物>
  ゲールゲ(テノール)       :David Kuebler
  グレーテ(ソプラノ)     :Iride Martinez
  ハンス(バリトン)      :Andreas Schmidt 
  王女(ソプラノ)        :Susan Anthony
  ゲルトラウト(ソプラノ)   :Patricia Racette
  マレイ(ソプラノ)       :Natalie Karl
  粉屋(バス)         ;Zelotes Edmund Toliver
  牧師(バス)         :Julian Rodescu
  農夫(バリトン)       :Julian Rodescu
  ツュングル(バリトン)      :Lothar Odinius
  カスパルバリトン)     :MichaelVolle
  マテス(バス)        :Zelotes Edmund Toliver
  宿屋の主人(バリトン)      :John C.Pierce
  宿屋の主人の妻(ソプラノ)    :Machiko Obata
  夢の声(ソプラノ)      :Machiko Obata
  若者達・小娘達・村人達・夢の声達・農夫達・子供達:合唱
 
  ジェイムズ・コンロン指揮/ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団
  ケルン音楽高校合唱団
  録音:1999年6月、ライヴ/Philharmonie,Cologne
 
  CD/オペラ/2枚組/ⓒ2010 EMI Records/輸入/中古

    <★★★☆>

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あらすじ
第1幕
田舎の小さな村で生まれ育った青年ゲールゲは夢想家であった。婚約者グ
レーテとの結婚式の日、彼は結婚式を抜け出して小川の畔へ行くと、夢想
の中に王女が現れ、彼を村の外の広い世界に誘った。ゲールゲは婚約者を
捨て村を出る。 
第2幕
数年後、革命的サンディカリズムの指導者として迎えられたゲールゲだが、
サンディカリスト達から「魔女」「放火魔」等と批難されスケープゴート
にされていたゲルトラウトと心を通わせていた彼は、急進的革命運動から
身を引き、ゲルトラウトを連れて生まれ故郷の村に帰り、彼女と結婚して
幸せに暮らした。 
 
なんだかヘンテコリンな話なんで、シナリオを読まないといけないんでしょ
うね。特に第2幕はいろいろありそう。だけどこれではほとんどわからない。
作曲から最初の上演までの経緯も結構ヘンテコリン。初演はなんと1980
年・・・
ウィーン宮廷歌劇場、G・マーラー、F・ワインガルトナーが絡んだごたごた
の末にツェムリンスキーも放置して、ほかに興味も移ってしまい、そのまま
になってしまった。ツェムリンスキーの再評価の機運が、やっとこの作品の
発掘に繋がったそうな。初演は作曲(1904-06)されてからなんと74年を
経た。
 
CDは2枚組。対訳は出ていないので、中身はあらすじで想像をたくましくす
るしかない。
これはシンドイなぁと思ったんですが、CDの2枚目は第二幕の3分の2とエピ
ローグを含み、1枚目より俄然音楽が盛り上がる。掴みやすいメロディもあれ
ば、ドラマに緊張感も出ている。サウンドにも1枚目より断然面白味がある。
特に第2幕のおしまいはド迫力。圧倒されつつ聴き惚れてしまいました。そし
てエピローグはおおむね穏やかな語らいふう。静謐で美しい。
もっとも、ツェムリンスキーの音楽というのは、暗くなり過ぎることがない
というか、そもそも暗い音楽ってのがほぼないんじゃないか、って気もする。
 
ゲールゲ役のテノールを聴いていると、ワーグナーのヘルデン・テノール
いう感じの声で、ツェムリンスキーの音楽もマーラーR・シュトラウス
様、ワーグナーの系列だということをどうしても嗅ぎつけた気になってしま
う。ゲルトラウト役のソプラノもよかったな。
 
音色なんかはねえ、前にも書いたことがあるけれど、ツェムリンスキーやR・
シュトラウスのほうが、マーラーなんかより、アメリカ映画の音楽に繋がっ
ている気がする。コルンゴルトはそのものズバリだけれど、M・スタイナー
だとかワックスマンだとかドイッチュだとかA・ニューマン・・・きりがな
いくらい。1930年代から50年代ぐらいまでの、ね。

 

「作曲の経緯」があったのでお借りします・・・
レオ・フェルトの台本により1904年から1906年までかけて作曲された。グ
スタフ・マーラーが芸術監督を務めるウィーン宮廷歌劇場(ウィーン国立歌
劇場の前身)で上演されることを見越して作曲し、1907年に初演が計画され、
ツェムリンスキーはマーラーの助手に選ばれた。だがマーラーの突然の退任
劇により、後任指揮者のフェリックス・ワインガルトナーは、既にリハーサ
ルも行われていた『夢見るゲールゲ』を上演予定から外してしまう。今度は
ツェムリンスキーがこれに抗議し、指揮者助手を辞任するという顛末であっ
た。 
ツェムリンスキーは結局、この作品は改訂が必要であると見なして、その普
及にほとんど力を尽くさず、しかも別の作曲の構想に心変わりしてしまう。
こうしてツェムリンスキーの生前は顧みられることのなかった本作であるが、
ツェムリンスキーの再評価の始まった1970年代に、ウィーン国立歌劇場
書庫で上演用の楽譜が発見され、本作にも新たに関心が集まるようになっ
た。この結果、遅ればせながらも1980年10月11日に、ニュルンベルク
初演を迎えたのである。日本初演は2005年10月18日、ゲルト・アルブレヒ
ト指揮、読売日本交響楽団、トーマス・ピフカ(ゲルゲ)、林正子(ゲルト
ラウト)による(演奏会形式)。               Wikiから