20220506(了) |
Sacred Choral & Organ Works Vol.1/
モーリス・デュリュフレ Maurice DURUFLÉ (1902-1986) |
(1)レクイエム Op.9(1947/1961) |
①入祭文 3:19 ②キリエ 3:23 ③主イエス・キリストよ 8:11 |
④サンクトゥス 3:10 ⑤ピエ・イェズ 3:55 ⑥アニュス・デイ 3:59 |
⑦永遠の光を 3:36 ⑧我を解き放ちたまえ 5:45 ⑨天国へ 3:14 |
(2)グレゴリオ聖歌の主題による4つのモテット Op.10 |
⑩2:06 ⑪1:53 ⑫0:55 ⑬2:51 |
(3)スケルツォ Op.2 |
⑭6:46 |
(4)天にまします我らが父よ Op.14 |
⑮1:35 |
(5)アランの名によるプレリュードとフーガ Op.7 |
⑯プレリュード 6:51 ⑰フーガ 5:21 |
ミシェル・ピクマル指揮 |
シテ島管弦楽団、ミシェル・ピクマル・ヴォーカル・アンサンブル |
ベアトリス・ユリア=モンゾン(Ms)、デイlディエール・アンリ(Br) |
エーリク・ルブリュン(Org.) |
録音;1994年6月&10月、パリ Tot.66:50 |
CD/宗教的音楽/Ⓟ&ⓒ NAXOS/輸入/中古 |
(1)(3)<★★★★☆>、(2)(4)(5)<★★★★> |
絶品揃いでした! |
NAXOSの紹介文から: |
◆20世紀フランスで宗教的な美の世界をひたすら求めたデュリュフレ! |
◆グレゴリオ聖歌を使って史上稀な美の極地へ至ったレクイエム |
◆聖歌をさらに美しく色付けたモテト、最後の出版作品・われらが父 |
◆華やかさの中に光る気高さ、さすがオルガン名手の曲Op.2 & 7 |
(1)レクイエム; |
もう20年も前になると思います、教会のオルガニストで寡作のデュリュ |
フレが残したもうひとつの傑作『クム・ユビロ』を聴いてとても気に入っ |
た演奏がありました。 |
その時と同じ演奏者のNAXOSの録音。それが「・・・コーラスとオルガン |
作品集 Vol.2」だったはずで、その第一集が実はこの名曲ぞろいの第一集。 |
この曲、えらく好きで、いろいろ聴いたものですが、この演奏、最右翼に |
なりました。ひとことで言うなら、あっさりストレートで、表現は控えめ、 |
押しつけがましさ皆無。敬虔さがこれほど素敵なのはまずない。 |
オーケストラは小さめだと思うが、そうでもないかもしれない。オルガン |
をたてたような音無しさ。作曲者自身の録音を覚えていて、オケを存分に |
鳴らしていたのを覚えているもんだから、作曲者の表現はこうだったかも |
しれないのですが、この控えめなオケは最高です。 |
またそもそも合唱の指揮者である指揮者の、合唱の統率がすばらしい。 |
独唱者はわりと表現しているものの、臭くはない。 |
伴奏がオルガンのみという版もあって、合唱が完全に主役になってしまう。 |
決して悪くはないのですが、このちょっと「甘味」の利いた異常なほど美 |
しいレクイエムがオケ付きで教会堂で奏されたら、この世でこの世ならぬ |
ものを味わえる。あの世じゃ味わえるかどうかは確認のしようもないのだ |
から(・・・)、死にきれないね。 |
フォーレの「レクイエム」に影響を受けて書かれたはず。といっても年代 |
の開きからすると開きすぎていて、とても「現代音楽」とは言えないけれ |
ど、そんなことはこの際どうでもいいというしかない傑作。 |
フォーレのものを自分の葬式で流してほしいという音楽評論家がいました。 |
50年以上も前に読んだのに覚えています。ワタシなら気恥ずかしい…。 |
その点、このデュリュフレのものなら、オフクロの葬式に曲を選んで流し |
てもいいかな、なんて思います。⑤⑥⑦⑨あたり。 |
しかし・・・車内のスピーカー、また傷んできた。この曲の中で合唱が |
最大音になる①で、明らかにひずむ。半年前にちょっと締め直してもら |
ったところ、改善したので、しばらくは大丈夫かと思ったのだが・・・ |
いよいよ取り替えかな。 |
(2)4つのモテット:無伴奏の合唱。 |
「レクイエム」のような鎮魂の感じではなく、あくまで「お祈り」。でも |
「レクイエム」がなかったら、べた褒めしてしまいそう。特に最初の⑩。 |
これがこの世のものではヘンだろう・・・ |
(3)は細かいパッセージの抑えた調子の神秘的なオルガン曲。これがこ |
のCDのなかでは最も尖った感じの音楽かもしれない。でも、Op.2なんだ |
よね。きっと、これは宗教から離れて「勉強中」だったんだ。ぞくぞくす |
るほどすばらしい! |
(4)短く、宗教的タイトルが付いている。柔らかい不協和音がいい。 |
(5)タイトルの意味は全く分からない。宗教色はなさそうで、自由な発 |
想に基づいたもののよう。⑯は明るさ、あるいは楽しさ。⑰はフーガとあ |
るけれど、いろんな曲調が混ざり、どこか歌謡調。 |
多くの作曲家がピアノを使ったところを、この方はオルガンだった、てな |
ふうですね。(教会のオルガニストだったんだから、まあ当然なんでしょ う) |
オルガン曲は概して苦手なんですが、(3)や(5)は飽きがこない。 |
始めに書いた『クム・ユビロ』の入ったCDが Sacred Choral & Organ Works Vol.2 |
だったので、ということは、Vol.2を聴けば、寡作家だったデュリュフレの |
ことだから、今回のCDで、オルガン曲についても、Sacred Choral同様、め |
ぼしいものは聴けたことになるんでしょうね。 |