| 20220503(了) |
小説『鹿の王』/上橋菜穂子
上 ――生き残った者――
下 ――還って行く者――
| 2014年/角川書店/単行本2冊/中古(職場に寄贈されていたもの) |
| <★★★☆> |

| (ネットの解説から) 強大な帝国・東乎瑠にのまれていく故郷を守るため、 |
| 絶望的な戦いを繰り広げた戦士団“独角”。その頭であったヴァンは奴隷に落と |
| され、岩塩鉱に囚われていた。ある夜、一群れの不思議な犬たちが岩塩鉱の鉱 |
| 山を襲い、謎の病が発生する。その隙に逃げ出したヴァンは幼子を拾い、ユナ |
| と名付け、育てるが―!? 厳しい世界の中で未曾有の危機に立ち向かう、父と子 |
| の物語・・・ |
| 不思議な犬たちと出会ってから、その身に異変が起きていたヴァン。何者かに |
| 攫われたユナを追うヴァンは、謎の病の背後にいた思いがけない存在と向き合 |
| うことになる。同じ頃、移住民だけが罹ると噂される病が広がる王幡領では、 |
| 医術師ホッサルが懸命に、その治療法を探していた。ヴァンとホッサル。ふた |
| りの男たちが、愛する人々を守るため、この地に生きる人々を救うために選ん |
| だ道は・・・ |
|
架空の時代、場所。 |
| 父と子の物語とあるけれど、ヴァンとユナは親子ではない。ヴァンの妻子はす |
| でに亡くなっている。そのことがヴァンの性格や生き方の一部を当然作ってい |
| る。 |
| すごい能力がいろいろと出てくるが、人間や動物に、つまり生物に、備わって |
| いたりする能力が究極にまで高められればあり得るというようなものばかり。 |
| ヴァンやユナにも備わることになる。 |
| もう一方の主役はホッサルという医師。今ではウィルスなどという極小の生命 |
| 体が犬や狼によって媒介されることによって発症する病気(狂犬病のようなも |
| のだけではない)が、大きな問題になっているが、わけはわかっていない。そ |
| れに肉薄している(と読む者はわかる)天才的な男。 |
| そうした能力や謎の病気が冒険譚のほとんど中心、あるいはベースにある。 |
| 行動の規範や判断のもとになっているものに、教条的な感じはあまりなく、む |
| しろ科学的な思考や分析が上手くとりこまれていると思います。それが、ちょ |
| っとうがちすぎるというか、今のワタシタチの知識レベルや感性に合わせすぎ |
| ているんじゃないかという気もするんですが、ま、ノープロブレム。 |
| 架空の時代、場所とはいえ、イメージとしては500年から1000年ぐらい前 |
| の違った歴史をたどった地球、例えば北海道や東北だろうか。想像です。 |
| 民族や国同士の対立、いろんな社会的な問題、医学の発展のような科学的なも |
| のと宗教や因習との対立などがベースにあって、その上で人と人との愛憎の物 |
| 語が進んでゆく。だから冒険譚と言ってしまういのはどんなものかと思うけれ |
| ど、まあ、冒険ちゃあ冒険ですね。 |
| 物語好きな子供が読めば、背伸びしつつもきっとわくわくして記憶するだろう |
| し、大人が読めば「現代」にもとてもリンクしやすそう。 |
| もちろんジジイのワタシが読んでも面白かった。 |
| 人名、生物名、地名、などの多くが漢字にカタカナのルビがふってある。やや |
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こしいのではじめは抵抗があったが、だんだん馴染んでしまいました。カタカ ナだけのものも多いのですがね。 |
| これも想像ですが、アイヌ語のような言葉や音をあてはめているんじゃないで |
| すかねぇ。それともみんな創造? 題名と直結する「飛鹿」は「ピュイカ」・・・ |

| 物語の終わり方からして、続編がありそうで、実際もう出ています。 |
| もう、肝心なものは表現してしまっていると言えそうですけどね。 |
| 帯に短いコメントが惹句として載ってます。 |
| ワタシなら養老先生のに〇。 |
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孫たちにはまだちょっと早いかな・・・。(映画化されると、何かで見たような 気がします) |