20191230(了)
映画『アルファ 帰還りし者たち』 ALPHA
アルバート・ヒューズ監督//コディ・スミット=マクフィー
2018年製作/96分/アメリカ/原題:Alpha/DVDレンタル
<★★★>
きっと、アーとかウーとかばかりで、セリフはないんだろうと思ってまし
た。
2万年前だそうな。場所は氷河期のヨーロッパ。言葉を喋っている。その
言葉はどこかインディアンのものに似て聞こえる。
アメリカ映画だからインディアンの言葉を使った、なんてことはまるであ
てずっぽうですが、振り返ってみると、雄大な景色はアメリカやカナダの
感じではありましたね。
少年は青年になりかけ。性格は優しい。
芯は決して弱くないが、生きるためとはいっても動物を狩ることに抵抗が
ある。自分たちの命をつなぐ生き物である野牛を集落の男たちと遠く狩り
に出かける。
この狩りができなきゃ大人になれないようなんだが、果たして彼は、とい
う導入。
しかし彼は狩りの最中運悪く崖から落ちてしまう。見える段で止まるも、
上からも下からも行く手立てがなく、上から見た限り動かないため死んだ
と思われ、置き去りにされる。
意識を回復してから、九死に一生レベルの運で崖から落ちて助かり、右足
首を脱臼しながらも、故郷を目指す大冒険を始める。極寒がやってくる。
帰り始めてすぐ、襲ってきた狼たちの一頭を深く傷つけ、この映画の主題、
同じように見捨てられたようなそのオオカミとのやむを得ない助け合いの
ぎくしゃくした付き合い、になる。超縮小版「狼⇒犬」の歴史・・・
副題に「たち」と入れちゃっているので、ああ両方生きて帰れそうだな、
と分かるんですが、なかなか楽しく見ましたよ。ワタシは映画愛を感じた
なぁ。ただ犬を飼ったことがない人は、この映画評価しないかも・・・
オオカミ役は上手く撮られていました。CGも駆使してはいるとはいえ、
演技もなかなか上手。もちろんきっと大変な撮影だったでしょう。
文句をつけるというんじゃないですが、このオオカミ、ワタシの目からは、
所作も目つきもすでに「犬」でしたけどね。
なんてシレーッと書きましたが、特典映像でわかってしまったんです、こ
れが犬だって。
「チェコスロバキアン・ウルフドッグ」という。オオカミと犬(犬種言っ
てくれたかなあ・・・)のハイブリッド種。半分はオオカミなんだからオ
オカミらしく見えたのも当然だったのですね。
普段は実に人なつっこい頭のいい犬。何頭もテストをして選んだそうな。
何頭もというなら何種もでしょう、シベリアン・ハスキーなんかもテスト
を受けただろうが、ハスキーの眼の色だったら逆に嘘っぽさなりが出ちゃ
ったかもしれません。とにかく、かっこいい犬でした。
こういう犬種、一度は飼ってみたかった。
(シベリアン・ハスキー、映画とは関係ない写真です)
音楽、プリミティヴな感じや素朴さを強調するばかり。わかるけれど、あま
りに常識的で面白くなかったです、残念。もっとジャンジャン鳴らすか、う
んと前衛的なものにするという発想もありだったんじゃないか。
(賛成票は少なそう・・・)
そうそう、このオオカミの雌雄がはっきりしていなかったことに、おしまい
になってやっと気づかされます。