休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

困るほどの美しさ・・・

20200401(了)
天は美し ~ 讃歌とアンセム
FAIRE IS THE HEAVEN;Hyms and Anthems

①スレーター(1896-1979);
   イエスよ、あなたにのことを考えただけでも(編曲:P・ハーレイ)4:45
②ウィラン(1880-1968);
   時代を通して、主に栄光あれ 7:46
③キャンベル(1909-1974);
   主に向かいて歓ばしく歌え 2:19
ウィラン;
  ④私は彼女を見た 2:15
  ⑤顔は美しく 2:19
  ⑥立て、美しい人よ 2:01
⑦ハウエルズ(1892-1983);
   テ・デウム 8:22
⑧S.S.ウェズリー(1810-1876);
   天より来たりし汝 2:36
⑨ラミンシュ(b.1943-);
   アヴェ・ヴェルム・コルプス 5:23
⑩アイアランド(1879-1962);
   我が歌は知られざる愛 3:15 *
モーツァルト(1756-1791);
   アヴェ・ヴェルム・コルプス 3:13
⑫ケリー(b.1934-);
   マニフィカト 3:32
⑬W.H.モンク(1823-1904);
   日暮れて四方は暗く 3:09 (スティーヴン・クリスプ/独唱)
メンデルスゾーン(1809-1847);
   われらに平安をあたえたまえ 4:43
⑮W.H.ハリス(1883-1973);
   天は美し 5:16
⑯スクルフィールド(1839-1904);
   主よ、汝が与えし日は 2:28 *

   エローラ・セント・ジョンズ聖歌隊/指揮;ノエル・エジソン
   ポール・ハーレイ(オルガン&独唱〈*.〉)
   録音:2002年2月、カナダ、オンタリオ、エローラ、セント・ジョンズ教会 Tot.63:21
   CD/宗教音楽/ⓒ2003&Ⓟ2004 Naxos/輸入/中古
   <★★★★>

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〈帯紹介〉 余り知られていないことですが、カナダという国の合唱の素晴
らしさは正にウルトラ級。名合唱指揮者ノエル・エジソンが率いる、この
教会の聖歌隊の澄み切った歌声の、何と美しいこと! モーツァルトやメン
デルスゾーンの名曲も聴けますが、この人は誰?という作曲家の音楽を見逃
さないでください。冒頭のスレーター作品の、動的なオルガンが活躍する
アンセムは、聴き手を不思議なワクワク感で包みます。結婚式アンセム
して使われることもある「立て、美しい人よ」 の作曲家ウィランの名前も、
カナダと言えば挙げなければなりません。日本でも注目が集まりつつある
「アヴェ・ヴェルム・コルプス」も実に美しい小品。アルバムのタイトル
曲も含め、英国の素晴らしい合唱曲も堪能できます。


①編曲され複雑な和声になっているふうであるとはいえ、なんとも美しい。
フォーレのレクイエムの終曲の美しさに通じる。短い帯の紹介文に載せる
だけのことはある。これ以上素敵な曲が入っているとはちょっと想像しに
くい。もとは一応讃美歌系でしょうね。盛り上がる「アーメン」もいい。
唯一惜しいのはオルガンが最後に美しくなくぶるぶる震えること。

② 大曲で讃美歌じゃない。フーガやカノンが歴史を感じさせる。①の突き
抜けた美しさに比べると地味でがっちりして、いかにも宗教曲。

③ 短く晴れやかに神を讃えるのにいい。でもいわゆる讃美歌じゃない。

④⑤⑥ ひとつ前の②に比べるとぐっと美しく、①に負けない。弱音がすば
らしい。オルガンはなし。

⑦ ごひいきハウエルズ。がっちりしてテンションが高い。美しい①や④-⑥
とは質が違う。オルガンも含め主張の強さが感じられ、ストイック。これ
も美しいというしかない。盛り上がりはさすが。

⑧ 親しみやすく、いい盛り上がりになる。これはほぼ讃美歌風。

⑨ 現代に近く、和声的には若干それを感じさせる。甘味が利いている。

⑩ 真面目なアイアランドらしい。ちょっと古めかしい気がする。

⑪ 天下の有名曲。入っていることはわかっていましたが、やっぱり少し
浮いている気はします。でも、美しいですねぇ。

⑫ リズムも和声も少しは新しい。⑪を浮かせる結果になっている。

⑬ やはり19世紀ですね。どうしても讃美歌。

メンデルスゾーン!逆にといっては何だけれど、なんだかモーツァ

ルトのすごさが際立ちます。

⑮ タイトルに使われるだけのことはある。美しさの質が戻った感じ。と
いうか、調性が揺れる感じ、かな。

⑯ これが最後なわけですが、⑬なんかに似て美しくわかりやすい讃美
歌調。やはり19世紀。おしまいのアーメンもフツー。

 

前のほうに新しくて非常に美しいものを配置し(①、④⑤⑥、⑦など)、
あとのほうでは「少々古臭くても美しいもの」を、そしてその中に若干
新しい感覚のものを加えるというような構成。だから、ワタシには前の
ほうが印象としては強いのですが、・・・要するに、宗教嫌いがなんで?
ということですよね。
「美化された死」が近いとでもいうような、困った美しさだワ。