(映画.com解説から) タランティーノ監督の長編第8作で、大雪のため閉 |
ざされたロッジで繰り広げられる密室ミステリーを描いた西部劇。・・・ 全 |
員が嘘をついているワケありの男女8人が雪嵐のため山小屋に閉じ込め |
られ、そこで起こる殺人事件をきっかけに、意外な真相が明らかになって |
いく。・・・ 70ミリのフィルムで撮影され、画面は2.76:1というワイドスクリ |
ーンで描かれる。 |
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画面は豪華で、戸外のシーンはなかなか美しいけれど、大半は雪に閉ざ |
された家の中。舞台劇ふう。 |
ミステリーではあるけれど、ミステリーそのものはわりと早めにわかって、 |
謎解きに当たる部分もたっぷりとっているので、そんなに凝ったものとは |
感じられない。 |
やはり面白いのはこの閉ざされた環境での丁々発止の会話劇。 |
二人のバウンティ・ハンター、始めはK・ラッセルが、途中からはS・L・ジ |
ャクソンが語り部的に「話」を強引に組み立ててゆく。序盤のおしまいに |
は、なんと‘非常にいい雰囲気’になってしまう。 |
と、ほとんどそうなったとたんやったね、怒涛の凄惨シーンの幕が切って |
落とされる。 |
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人生の機微に触れるようなものとは正反対の、いかにも作り物めいたお |
下劣、大仰なストーリーを楽んでしまう。ま、タランティーノ節炸裂ですな。 |
リンカーン大統領の手紙という小道具があって、エンディングはこれが思 |
いのほかニュアンスたっぷりに使われる。 |
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エンドタイトルの表示スタイルが昔の映画を真似たもの。 |
またその時の音楽では、「夕陽のガンマンⅡ」ふうに遊んで笑わせる。 |
ただ、モリコーネがこの映画音楽でオスカーを獲ったのには、大いに疑 |
問を呈したい。なんぼなんでも、これで獲らせるのはおかしいと思うんや |
けどねぇ。この作品に関し、なにかの項目でオスカーを獲らせなきゃなら |
ないなんていう事情でもあったのやろうか。あるいは、ほかにはろくなも |
のがなかったんやろうか。 |
ま、たかだかオスカーじゃないかという気はしても、ここまで聴きどころの |
乏しい音楽では賞のレベルを勘繰りたくもなる。うんとお遊びができるネ
タだと思ったんだけどなぁ。ほとんど“もったいない”。
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いいのがなきゃ、受賞ゼロでもええやないか・・・ |