休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『スリー・ビルボード』

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20181005(了)
映画『スリー・ビルボード』 Three Billboards Outside Ebbing, Missouri 
  マーティン・マクドナー監督//フランシス・マクドーマンド/ウディ・
  ハレルソン/サム・ロックウェル/アビー・コーニッシュ/ジョン・ホーク
  音楽:カーター・バーウェル
  2017年/英映/DVDレンタル/116分

  <★★★★☆>
<映画.com 解説から> ・・・米ミズーリ州の片田舎の町で、何者かに娘を殺さ
れた主婦のミルドレッドが、犯人を逮捕できない警察に業を煮やし、解決しない
事件への抗議のために町はずれに巨大な3枚の広告看板を設置する。それを
快く思わない警察や住民とミルドレッドの間には埋まらない溝が生まれ、いさか
いが絶えなくなる。そして事態は思わぬ方向へと転がっていく・・・
オスカー、ゴールデングローブ、ベネチアなどなどで輝かしい受賞を果たしてい
るので、ヨシ!と眉に唾して観たのですが、嬉しいことにこりゃ名作だと思います。
優れた小説を映像化するのも大変だなぁと思うことが多いけれど、これを余す
ところなくノヴェライズするのもなかなか大変なんじゃないか。
(ネットの紹介では原作者は書いてない。オリジナルな脚本なんでしょうね)
ビルボードというと、ポップスのヒットチャートなんかで昔よく聞いた言葉だった
ので、軽音楽上の独特な言葉かと思いこんでいました。 billboard;掲示板。
そうだったんだ、ハズカシ。
マクドーマンドさんの初めのオスカーもちょっと想起しました。その時は妊娠中
でかなりおなかが目立っている女性警察署長。やはりミステリーと言っていい
作品でした。ここでは田舎の警察署長はハレルソンが演じて上手いのですが、
ともあれやはりミステリー系で、田舎の警察ってのは、ここじゃあ良くも悪くもド
ラマティックだなぁ。サム・ロックウェルのことはおそらく色々語られていること
でしょう、知りませんけど。でもひょっとしたら、「瑕」の少ないこの映画で、最も
危うい表現だったかもと感じられたのが、最後にガラッと変わるこのマザコン
キャラクターだったのではないでしょうか。
ストーリーは、上記数行の解説で十分なのですが・・・、ろくに人の通らない道
の3枚並んだ看板に、飄々として見えるマクドーマンド演じる実は我慢の緒が
切れている女が、娘の死の解明に無策に見える警察のケツを叩くような文言
を並べたことから、さまざまな田舎らしいくだらなくもシリアスなごたごたが起き
て行く。緊張の生じ方がなんとも素晴らしく、そのことだけにでも感動してしま
います。(本当は悲しいことなのに!そこが映画・・・) 優れた脚本と演出、そ
れに3人の達者な役者。
驚いたことに、イギリス映画。
だからこそかどうかはわからないものの、普遍性はあるけれど、それでもやっ
ぱりアメリカという国のいくつかの切り口としても意識しないでおれない・・・分
かりやすい題材や表現になっていたように思います。
もっとも、エンディングのブレーキのかけ方なんぞ憎くてね。映画でこういう終
わり方は普通なかなか採れないんじゃないか・・・

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音楽のカーター・バーウェルはあの『ファーゴ』がそうでした。「バートン・フィン
ク」や「ノー・カントリー」もそう。こんなひねくれたものにばかりに音楽をつけて
いたんじゃ、受けなくてたいへんだろうという気もするけれど、でもまあ風変わ
りなものではあっても評価されているようで、なにより。
田舎っぽさ、平凡さを逆手にとって、バッチリ!という感じでした。 ウーン、今
回も!というべきかな。目立たないとはいえ、なかなかの曲者ぶりです。と言
ってももう十分にベテラン作曲家。