休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ストラヴィンスキー/オペラ「うぐいすの歌」

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20161030(了)
ストラヴィンスキー/オペラ「うぐいすの歌」
Igor Stravinsky(1882-1971)/Le Rossignol(The Nightingale)
  Act1 ①~⑤
  Act2 ⑥~⑨
  Act3 ⑩~⑫
 ピエール・ブーレーズ指揮/BBC交響楽団BBCシンガーズ
  Le Rossignol:Phyllis Bryn-Julson(s)
  La Cuisinière:Felicity Palmer(s)
  La Mort:Elizabeth Laurence(ms)
  Le Bonze:Michael George(b)
  Le Pêcheur:Ian Caley(t)
  L'Empereur:Neil Howlett(br)
  La Chambellan:John Tomlinson(b)
  Envoyés japonais:Ian Kennedy(t)、Gareth Roberts(t)、
             Brindley Sherratt(b)
  録音:1990年11月/ロンドン/BBC Maida Vale Studio 1
  CD/ⓅErato Disques ⓒWarner Classics/歌劇/中古屋
  <★★★★△>
交響詩の解説から) ・・・ストラヴィンスキーの最初のオペラ「うぐいすの
歌」は、当時創設されたばかりのモスクワ自由劇場の委嘱作品として、
作曲が開始され、第1幕は1908年から1909年の夏にかけてウスティル
ークで作曲され、第2幕と第3幕は1913年から1914年にかけてクラランス
で作曲された。1908年に作製された第1幕のスケッチは、リムスキー=コ
ルサコフも見ており、このストラヴィンスキーの作曲の師は大いに称賛し
たという。1913年の夏にモスクワ自由劇場は、1万ルーブルの作曲料を
呈示して、このオペラ作品の完成を依頼し、ストラヴィンスキーは、4年前
の作曲スタイルとは異なる書法で第2幕と第3幕を書き続けた。モスクワ
自由劇場での上演は結局不可能となり、この3幕のオペラ作品は、1914
年5月26日、パリのオペラ座で、P・モントゥー指揮のロシア・バレエ団に
よって初演された・・・
原作はアンデルセンの「小夜鳴き鳥と中国の皇帝」(「ナイチンゲール」)。
火の鳥」のあと第1幕が書かれ、「春の祭典」を書くためにストップした
が、その後再開して書き終った。
だから第1幕と、第2幕第3幕の音楽には違いが出来てしまった。ライナー
にもちゃんと書いてある。
それを、知ったかぶったネットのレヴュアーが、その違いがバランスが悪
くて具合が悪い、などと書いている。
具合は全く悪くないがねェ。学者系が言い募るならわからぬでもないが、
その違い、ワタシにはかえって魅力だった。
第1幕は「火の鳥」に近く、乾いた叙情や民謡調に嬉しくなってしまうし、
第2幕第3幕は「春の祭典」を彷彿してバーバリズムが楽しい。それに、
ペトルーシュカ」やもっと先のものの萌芽すら聞こえる気がする。
ストラヴィンスキーの3大バレエは、ワタシ、どれも大好きで、順位なんぞ
つけられない。上記レヴュアーの言い草がなんとなく「火の鳥」を下に見
ている気がしたので、ちょっとムッとしたほど。
今回初めてオリジナルのオペラ・ヴァージョンを聴いてみて、交響詩版よ
りむしろオペラ版のほうが魅力的なのではないかと感じた次第。
それってひょっとすると、交響詩が第2幕第3幕だけでこしらえ 、第1幕
が入っていないからではないか・・・
それとも、ご本人は上記レヴュアーと似たようなことを考えたのだろうか。
ま、分りませんけどね。(今更こんなことを言い出す人間がどこにいる?)
歌ものはむしろ敬遠しがちな方なんで、ほとんど「音」としてしか聴いてい
ない。勝手なこと言ってますな。一応アンデルセンのお話を若干思い浮
かべながら聴いてはいるんですが・・・
期待をはるかに超えて嬉しい鑑賞になった。
どうでもいいことながら、聴き比べに使った交響詩版は、このオペラと同
ブーレーズの指揮で、オケはフランス国立管(エラート盤)。
更にどうでもいいことですが、「火の鳥」の全曲盤は始めはアンセルメ/
スイス・ロマンド管のLPで、そのあとは(けっこうたってからですが)ブーレ
ーズ/ニューヨーク・フィルのLPでした。この2枚はお気に入りでしたねェ。