休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ストラヴィンスキー/カプリッチョ、組曲1番&2番、詩篇交響曲、「結婚」「マヴラ」他

アンセルメストラヴィンスキー全集 2

                     3-3

 ERNEST ANSERMET EDITION - STRAVINSKY(1882-1971) 

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●CD 7
 (14)ピアノと管楽のための協奏曲(1924) ①-③ 17:38
    <★★★>

 (15)カプリッチョ(ピアノと管弦楽のための)(1929) ④-⑥ 

     16:49    (14)(15)ニキータ・マガロフ(ピアノ)
    <★★★>
 (16)組曲 第1番(1917-25) ⑦-⑩ 4:10
 (17)組曲 第2番(1921) ⑪-⑭ 6:23
    <★★★☆>
 (18)管弦楽のための4つの練習曲(1914-18) ⑮-⑱ 9:36
    <★★★☆>
 (19)ロシア風スケルツォ(1943-44) ⑲ 4:14
    <★★★☆>
●CD 8
 (20)詩篇交響曲(1930) ①-③ 21:05
     ローザンヌ放送合唱団、ローザンヌ青年合唱団
    <★★★☆>
 (21)バレエ・カンタータ「結婚」(1914-17) ④-⑦ 25:00
     ジュネーヴ・モテット合唱団、ソプラノ、アルト、テノール、バス、ピアノ4、種々打楽器
           <★★★△>
 (22)歌劇「マヴラ」(1921-22)〈英語版〉 ⑧-㉑ 30:48
     ジョーン・カーライル(s)、モニカ・シンクレア(ms)、ヘレン・ワッツ(a)、ケネス・マクドナルド(te)
     ほぼ三管編成プラスvln2、vla1,vc3,b3、ティンパニ
    <★★★☆>
 
  エルネスト・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団
    録音;ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホール
   (14)(15)1955年11月、(16)(17)(18)1962年4月、(19)1964年
   (20)(21)1961年、(22)1964年
   1994年/CD4枚組/管弦楽/ポリドール/邦盤/(Decca/London)中古

 

●CD 7

(14)&(15):

このピアノ付きの二つを一緒に扱うのは心苦しいものがあるが、そんなに好き
じゃない。どちらかというと、ストラヴィンスキーのなかでは苦手なほう。
物々しさと素っ頓狂さが併存する、まあストラヴィンスキー以外には絶対にな
い音。
それに、その音自体が良くない。1955年録音。「火の鳥」とは同じころの録
音だが、かなりデッドな乾いたサウンドで、魅力(≒色気)のないこと甚だし
い。潤いを求める音楽じゃないとはいえ、このセットものを通じて、最も魅力
のない音質。「カプリッチョ」のほうがややまし。(トスカニーニNBC響を
連想してしまいました。こりゃ極端だけどね。) 音の広がりが乏しく、初め、
モノーラルかと思った。しかも演奏の精度もいまいち。この野暮ったさが味な
んだといわれたら、黙るしかない。(いや実際そうなのかも・・・)
 
参考に聴いた他の演奏は、サロネン/ロンドン・シンフォニエッタサロネン
だし、デジタル録音だし、、、と思ったけれど、音質とピアニストではかなわ
ないなぁというだけでした。音楽自体がそれほどワタシには魅力的でないとい
うこともあるせいか、さほど大きな違いはなかったですね。
 

(16)&(17):組曲 第1番&第2番

この二つは一緒に扱っていいでしょう。その代わり、こっちは悪くない。

管楽器とドンドコドンと弦楽。第1番は子どもの連弾用の曲をオーケストレー
ション。第2番はミュージックホール用の曲をオーケストレーション
由来はそうでも、そのもとになっているのは、ロシア民謡なんじゃないか。
ペトルーシュカ」で聴かれたようなメロディが、こまめに様々聴かれ、気付
けば終わっているというふう。いかにも断片の寄せ集めなので、ひとつづつは
追いかけられない(計8つに分かれている)けれど、十分楽しい。それに弦が
ぶ厚いからだろうか、聴きごたえもあるサウンド
前の2曲が少ししんどかったので、こっちが素敵な曲に聞こえちゃったんじゃ
なきゃいいけどねぇ・・・
 

(18):管弦楽のための4つのエチュード

この曲は、昔、ブーレーズ/フランス放送局管の「春の祭典」(コンサートホール・ソサ

エティのLP)の余白に入っていたので、ガキの頃から知っています。スペイン土
産のような曲だって。知りませんでした。そう言われてみると・・・。
で、これ、こんなに素敵な曲でしたっけ・・・。ハハハ。ワタシが変わった!
 
ペトルーシュカ」や「うぐいすの歌」とのつながりがあるそうな。確かにそ
うですね。かなり大きめの編成で、聴きごたえがある。
ポール・ホワイトマン楽団用のヴァージョンもあるそうな。そっちは入ってな
いし、聴かなくてもいいな。
 
 
●CD 8
(20)「詩篇交響曲」:もともと好きな曲です。
3大バレエとプルチネルラ以外では、最も多く聴いている曲かもしれません
ね。それもいろんな演奏で。
ストラヴィンスキーでは、この時期ともなると、ここまでぶ厚い複雑な和声
はそんなにないでしょう・・・ 最終楽章なんざ珍しく美しいしね。
アンセルメ盤は、ま、普通の感じでした。
 

(21)バレエ・カンタータ「結婚」:  

  第1部 ・第1場;おさげ髪  ・第2場;花嫁の家  ・第3場;花嫁の出発 

  第2部 ・第4場;結婚の祝宴
集めたロシア民族詩集からストラヴィンスキー自身が選んで結婚の情景へ、
台本を作り上げたものだそうな。フランス語?
弦も管もない、メロディが弾けるのはピアノのみ。
出だしなんぞ結婚噺の始まりにしては、信じがたい「オーメン」もどきで、
少なからずおどろおどろしいが、なに、そこはうんと乾いてちゃんとストラ
ヴィンスキー、直ぐに慣れる。
 
(22)歌劇「マヴラ」:これが8枚組の最後の曲です。
民話的と言えばいいのか、ヘンな話で、あらすじは・・・
  フランスのシャルル10世の時代、バラシャとヴァジルは恋仲である。
  バラシャの母が老コックの死を嘆いている。娘のバラシャは恋人である
  軽騎兵のヴァジルを女装させて、マヴラという名前でコックとして住み
  こませる。ある日、母と娘が突然帰宅すると、マヴラが髭を剃っている。
  仰天した母は失神する。マヴラことヴァジルは慌てふためいて窓から遁

  走する。「ヴァジル! ヴァジル!」と後を追うバラシャの絶叫で幕が下

  りる。

なんとも不可解なほど唐突なエンディングに、それはないやろ!
ほぼ三管編成で、始めのほうの管のアンサンブルは独特で素敵です。
弦はヴァイオリン2、ヴィオラ1,チェロ3,コントラバス3、そしてティ
ンパニ。このチェロ3とコントラバス3が低音を支えて効いてます。
オペラ・ブッファったって、このぱさぱさした雰囲気、このサウンドだもん
ね、不思議な感じ。突き放して見る滑稽噺。
あえて言うなら、これは英語であって、なんか余計に薄っぺらい。こんな話
だから、薄っぺらさは向いているかもしれない。でもねえ、オペラ・ブッフ
ァったってオペラなんです、音楽です。言葉に音楽的な味は欲しい。英語は
ストラヴィンスキーにはどうも合わない気がするなぁ。例えば、本来の(?)
ロシア語なんかのほうが、ずっと面白い響きになるんじゃないでしょうかね。
そんな気がしました。つまらん感想ですけどね。

「兵士の物語」のような(ねじくれた童話的な)突き刺さり方はしない、と

だけ。

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さて、アンセルメストラヴィンスキーの8枚組、一応鑑賞、終り。
少しは別の演奏と比較しながら、長時間かけて楽しみました。
楽しみましたが、8枚組ともなると、鑑賞記はけっこうタイヘンというか、メ
ンドクサイですね、ずっと抱えておくという感じが。
半世紀以上前の録音だったわけで、やや古さは感じたものの・・・
それは、単純に技術(録音技術)の差によるものだと考えてよさそう。
新しいものに、えらく負けていたものも、ほとんど遜色のないものもあった。
もちろん、そこがけっこう肝心なところなんだが、、、つまり演奏スタイルの
上でのことで、興が乗っているものとそうでないもの、古さを感じさせる曲と
そうでない曲があったのが、印象深い。だからどうというようなものじゃあり
ません、50-60年なんて古さは中途半端。時間の無情さもいろいろ。ま、
そんなもんです。

 

(付録)
4/4(日)
朝、ベッドの中で、「うぐいすの歌」の後半をラジオで聞いた。
フリッツ・ライナー/シカゴ響だって。録音は恐らくライナーのほうが古い
と思うが、すごかったなぁ。
よろめいた。じゃない、目が覚めました。ホント。