休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

グラズノフ:管弦楽曲全集 第6集

20200515(了)
グラズノフ(1865-1936):管弦楽曲全集 第6集

 ①序曲「謝肉祭」 ヘ長調 Op. 45     10:29
 ②春 Op. 34               13:44
 ③演奏会用ワルツ第1番 Op. 47       9:05
 ④演奏会用ワルツ第2番 Op. 51       8:38
 サロメ Op. 90(オスカー・ワイルドの劇のための音楽)
  ⑤序奏                  9:02
  ⑥踊り                  8:41

   イゴール・ゴロフスチン指揮/モスクワ交響楽団
   録音:1996年2月/モスクワ/モスフィルム・スタジオ Tot.60:01
   CD/1998年/管弦楽曲/Ⓟ&ⓒ Naxos/輸入/中古
   <★★★☆>

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〈帯紹介文〉  チャイコフスキーの第4交響曲の出来の悪い弟のような序曲
「謝肉祭」に一笑いした後、すこぶる美しい「春」が始まります。油断して
いるとディーリアスの作品と見まごうばかりのこの曲は、グラズノフが「音
の風景画家」として並々ならぬ力量を持っていた証しです。続く2曲の演奏会
用ワルツは優雅そのもの。旋律の美しさもとびきりでグラズノフの人気作と
なっています。最後はR.シュトラウスでおなじみの「サロメ」。作曲はグラ
ズノフの方が後になりますが、あのストリップ音楽をどう書いたか、両者の
聴き比べは一興です。

 

帯の紹介文にしては笑える。

①「謝肉祭」; グラズノフは「チャイコフスキー命」って感じだからね、チャ
イコフスキーくさいのはともかく、4番の出来損ないとは思わないなぁ。にぎに
ぎしく祝祭的。とはいえ魅力たっぷりというわけでもなかった。

②「春」;他の演奏者による交響曲全集のフィルアップで聴きました。なるほ
どね、ディーリアスかぁ。『春を告げるカッコウ』。上記のチャイコフスキー
の4番よりはよほど近いかもしれないけれど・・・でも、いかにも田園風景の感
じではあるし、イギリスっぽさ、あるもんね。たとえばホルストの『惑星』の
中の音色にとても似たようなところがあったりもしたし。とにかくたいそう美
しい。それだけは確か。
一つ言わせていただくなら、ワーグナー(も)匂わない?(と書くと、やはり
サロメ」がどう聴こえるか、ってことになるなぁ)

③「ワルツ第1番」;曲としては『四季』というのがもっとも有名なんじゃな
いかと思いますが、メロディとしてはグラズノフの中でも『四季』と双璧かも
しれないですね。ほんわりロマンティックで、名曲だと思う。
いつの頃かは忘れましたが、NHK-FMのクラシックの音楽番組のテーマ音楽が

あるはずです。ただいま現在じゃあない・・・

④「ワルツ第2番」;こっちはウィンナ・ワルツを連想しました。それも、バ
レエ付きで観るウィーンのニュー・イヤー・コンサートやね。③ほど覚えやす
くはないものの、これはこれでいい雰囲気。
バレエ付きで観るなんて書いたけれど、まあどう聴いても、もろバレエ。

⑤⑥のサロメ
かのリヒャルト・シュトラウスサロメと比べてみろ、一興だ、などとそその
かす帯の惹句は良いと思います。
二人はなんと生年が同じ(!)ながら、グラズノフはチャイコクスキーのロマ
ン派からは出ず、歌劇には向かわずに実に様々な編成の曲を、まるでロマン派
の総まとめみたいに書き残した。(新音楽、例えばドビュッシーやストラヴィ
ンスキーなどを、何度も何度も聴き、スコアを見、理解しようとしたという点

は立派だと思う。)

一方のR・シュトラウスのほうは、ワーグナーから出て後期ロマン派という位
置づけの歌劇や交響詩マーラーやツェムリンスキ―とはまた違った世界観の
ユダヤ系が匂わないドイツ音楽を究め、現代のさまざまな潮流の一つのベース
になった。オペラもスゴイが、なんたってオーケストレーションの見事さは、
これが「クラシック」の最後って感じ。そして、映画音楽にもろに繋がりまし
た。ま、その違いです。けっこうたいへんな違い・・・
作曲技法の問題か感性の問題か、なんて言っても始まらない。
非常にたくさんの曲想がてんこ盛りの⑤はドラマチックな交響詩、それをエ
スニック風味が強いバレエにしたのが⑥でしょうか。ともにとても聴き映え
がします。目いっぱいがんばってます、ホントです。一瞬ハッとする音色だっ
ていろいろあります。が、やっぱり現代人には、ストリップのエロっぽさや
生首の凄惨さは連想しにくい。
もっとも、演奏会にはちょくちょく上るべき作品だとは思いました。絶対受
けると思う。むしろ「シェヘラザード」と並べたほうが面白いんじゃないか。

 

このCD、嬉しや、①以外は当たりです。

ただし・・・

②で書いた‘他の演奏者’(スヴェトラーノフ/ロシア国立SO.)の録音が、アンサンブルは
ともかくとして、長い残響でワンワンうるさいぐらいに鳴るのに対して、こ
の一連のNAXOS盤はこれまで聴いた大半が、演奏レベルはそんなに変わらな
いんだけれど、音がバーンと前に出てこず、引っ込んだ感じで、いかにも地
味、小音量だとまるで冴えない。車中などでヴォリュームを上げてやると、
だいぶんマシになる(≒鳴る)。演奏はけっしてスヴェトラーノフ盤より劣っ
ているというほどでもないんだけどな・・・
でも、やっぱり録音については気になりました。 

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(これはリヒャルト・シュトラウスのオペラ版初演のポスター、だそうです。

 特にアップした意味はありません。髭文字、読めないし)