休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

グラズノフ 交響曲全集

グラズノフ 交響曲全集
ALEXANDRE KONSTANTINONICH GLAZOUNOV(1865-1936)
 エウゲニ・スヴェトラーノフ指揮/ロシア国立交響楽団
 録音:1989-1990年、露、モスクワ、チャイコフスキー音楽院大ホール
 CD/6枚組/Ⓟ1989,1990 Svetlanova ⓒ2010 Svetlanova

  Made in E.U./Warner Classics & Jazz/輸入/ネット

 
 
この地味な作曲家の交響曲の聴き直しです。
NAXOS社の管弦楽全集で聴きすすめてきたグラズノフ。まだ途中ながら、
交響曲では、どうも音の抜けの悪さが気になってました。素っ気ない演奏
でもあるとはいえ、それはもともとなんで、そんなに気にならなかったので
す。要するに録音の問題が大きかった。
もうちょっとましな音で聴かないと!
そもそも、グラズノフという作曲家の交響曲は、交響曲ではあっても、ドイ
ツの古典派ロマン派のものとは系統が一見似ているが、いわゆる‘絶対
音楽’という言われ方の音楽では全くないということですね。
喩えるとするならば、バレエ音楽の乗りで交響曲のスタイルにまとめ上げ
管弦楽曲。ノーテンキといってもいい明るさやロマンティシズムが身上。
語弊があるかもしれないけれども、歌謡調で‘ダンサブル’・・・
翳りはあってもメランコリーレベルで、決して陰鬱にはならない。
チャイコフスキーリムスキー=コルサコフなどからいっぱいいただいてロ
マン派の最後をちょっと遅れて飾り、弟子格のショスタコーヴィチやプロコ
フィエフのような進んだ手法や西欧・アメリカのセンス、社会的な主張なん
かには手を染めなかった。その代り、名声や地位はしっかり得た。新しい
ものにどんなふうに拘ったのか、どんなふうに拘らなかったのかはWIKI
どに詳しくのっていた。
ともあれ波乱の時期、欧米を回り、ワグナーやリヒャルト・シュトラウス
ストラヴィンスキなどいろいろ聴き研究だけはしていたようで、自分の時代
遅れは十分に承知していたんじゃないか。
戻るけれど、本当は交響曲でなくてもよかったけれど、この形のものを作
らなければならないから書いたというだけなんじゃないか、と思った次第。
そのほか、音楽と直接関係ないけれど印象に残った事柄としては、‘ア
ル中’っぽかったこととか、記憶力が非常によかったこととか、1928年に
ソ連を「脱出」してからは二度と帰国しなかったとか、パリで亡くなった時
には驚かれたが、その驚きというのが、あのロマン派の時代遅れの大
物がまだ生きていたとは、というものだったこととか・・・                                                       
スヴェトラーノフさんの録音、2種類あるみたいで、新しい方を選択。
オケも録音も、NAXOSよりはすこし良かった。少し!
いい意味で常識的。流れがあり、まずまず安定感もある。時々強奏され
るトランペットのテヌート(ロシア独特)や安っぽく感じてしまう音色が鼻に
つくときはあるが、まあこれはこの方の‘特色’というべきなんやろう。
この“他人のフンドシを実にうまく使った”作曲者同様‘職人さん’だと思
う。
とりあえずざっと聴いて、頭にします。
個々のCDはできるだけ短い記述にしたい。(そうなりますように・・・とい
う希望。掴まえられなきゃ無理) ★☆は単に好み。
 キーワード:
 祝祭的/ノーテンキなカラフルさ/陰影が乏しい/標題音楽に冴えが
 出る/ネタの自分流の料理がうまい/それでもオリジナリティ不足/
 メリハリ不足/しょっちゅうバレエ音楽に聞こえてしまう