(紹介文) マドリードで生まれた作曲家トマス・マルコは、法律を学びつつ、 |
音楽(作曲とヴァイオリン)を、彼曰く「少年のように」学んだという人。フラ |
ンスでブーレーズとマデルナ、ドイツでシュトックハウゼンに就き、1967年 |
には彼の助手にもなっています。心理学、社会学も取得、作曲だけでなく |
教師としても活躍しています。この交響曲集は、彼のインスピレーションの |
源を探るかのような曲集であり、第2番以外は世界初録音となっています。 |
第9番「タラッサ」は神話の女神の名前であり、中世の旋律を素材とし、そ |
れらを念入りな色彩の音色で彩るというもの。また交響曲第8番は、各楽 |
章に「幻の大陸」の名前が付けられていて、そのどれもが活発な舞曲のリ |
ズムで描かれています。スペイン風な音楽とは違った味わいですが、畳 |
み掛けてくるような迫力に満ちた音とリズムは、一度聴くと病みつきにな |
ること間違いなしです。<SPANISH CLASSICS> |
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以下、十分長いですが、面白くなかったということを書いてます。 |
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(1)何度も「ジャン!」と古風に鳴る。その「ジャン!」が妙に明るく、全体の |
暗さ(≒黒さ)とミスマッチで、なんともヘン。またその「ジャン!」のあとに |
は、たいていハープのグリッサンドが伴う・・・ |
(a)フラメンコにおける‘眉間の皺’ (b)少々鳴りすぎのホラー映画の音楽 |
(c)日本の戦後20~30年の現代音楽 などなど連想 |
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(2)上記の「ジャン!」はないが、(1)とは似ているし、時々ハープのグリッ |
サンドもある。 |
中世の旋律を素材としているとあるように、いくつかの旋律があり、それが |
さまざまにずれて奏されて、独特の雰囲気を出している。暗いというので |
はない、カタコンベに入り込んで、迷ってしまって散々怖い思いをしている |
みたい。 |
これ見よがしなメロディなんてものはないんだけど、メロディらしきものはい |
ろいろ出てくる。たとえばラヴェルのボレロの出だしのような。 |
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(3)これがもっとも分りやすいというか聴きやすいという感じだった。踊りの |
リズムらしいものが手を変え品を変え刻まれるから。 |
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全体の印象としては、野趣で、野趣といってもそこには半端でない年数を |
遡った古代文明とでもいうような感じの古さがこめられてでもいる感じ。 |
特に(1)(2)は、わけの分からない音響がそこに鈍重にあるだけという感 |
覚でしょうか、ひどい言いぐさですが。 |
一定の評価を得ている方なんでしょうが、正直なところ、何が売りなのか |
わからない。意図的なんだろう、猛烈な凡庸さ、野暮さが支配していて、ワ |
タシには何の面白さも意味もない音楽でした。知らない音楽を聴くんだか |
ら、こっちの限界もおおいにあって、いたしかたないけどね。 |