休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

高野秀行 『幻獣ムベンベを追え』

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20150816(了)
高野秀行 『幻獣ムベンベを追え』
        プロローグ
  第一章 コンゴ到着
  第二章 テレ湖へ
  第三章 ムベンベを追え
  第四章 食糧危機
  第五章 ラスト・チャレンジ
  第六章 帰還
        エピローグ
        あとがき
        早稲田大学探検部
           コンゴ・ドラゴン・プロジェクト・メンバー一覧
        文庫版あとがき
        Special Thanks
        解説 宮部みゆき
      2003年/エッセイ(探検記)/集英社文庫/ネット/中古
      (1989年、PHP研究所より刊行)
      <★★★★>
 
(カバー裏) 太古の昔からコンゴ奥地の湖に棲息するという謎の怪獣・モケーレ・
ムベンベ発見を賭け、赤道直下の密林に挑んだ早稲田大学探検部11人の勇猛
果敢、荒唐無稽、前途多難なジャングル・サバイバル78日。「買ってね、読んで
ね。・・・今の世の中には、絶対に、こういう本が必要なんです」(解説) 子供の
心を忘れないあなたに贈る、痛快ノンフィクション。
27年ほども前になるが、これぞまさに探検記。なんか相当オカシイけどね。
そのオカシさも絶対的に、魅力。
Special Thanksを見ると、多くの人に混じって多くの企業が協賛したのがわかる。
中に、部の先輩にあたるのだろう、西木正明や船戸与一などという著名小説家
の名も混じっている。
結果的にはバブルと言われる時期にはいって1-2年というところに当たっていた
ころだから、こんな学生の超物好きな探検に、協賛もそこそこあったのだろうな。
土地の人たちとのやり取りはリアルそのもの。
それから、蚊やツェツェバエマラリア、そして湿気なども。
(ワタシ、蚊やツェツェバエなんてところに、かなり反応してしまう。苦手なので
す。刺されるってヤツ。蛭なんかもそう。いまさらだけど、読んで楽しむのみ。)
明るいところの例なら・・・
   全くワニには“いとおしさ”を感じてしまう。実際、狩で殺され運び込まれる
  のを見て、解体を見物し、その肉を堪能した動物にはひじょうに親近感を覚
  える。「食べることは愛の表現の一種だ」と前に本で読んだときには図式っ
  ぽくて信じがたかったが、真実のような気がしてきた。
   ましてや「自分の手で殺してその肉を食べる」ともなると、最高にそれを好
  いているということかもしれない。究極の愛情とはこんなに一方的でわがま
  まなものであろうか。
   最後の骨をしつこくしゃぶりながらの一考察であった。
暗めの例なら・・・
   夜、また雨が降る。雷が轟き、風が吹き荒れる。状況はますますみじめに
  なる。暗くてまったく何も見えない。虚しい。あまりに虚しい。それでも見張り 
  は続ける。稲妻の光で一瞬湖面が輝くとき、ムベンベが出そうな場所を確認
  する。一瞬である。
   はっきり言って、なぜ自分がこんなことをしているのかわからない。わから
  ないながらも、あまりに無意味な活動をしているので、なぜか快感すら覚え
  る。「普通の人は、ちょっと真似ができないな」と思う。当たり前だ。
   雨が上がる。みんな見張り台の周りに、虫のようにごそごそと集まってくる。
  ごそごそと食い物の話をし、またごそごそと自分の巣に戻っていく。あとは夜
  勤に任せ、私も虫に混じってごそごそとテントに潜り込んだ。
   夜十時、本日の見張り終了。
両記述はたった一日の差だが、こんな風に落差がある。
まだまだテレ湖に陣取ってそんなにたっていない。
さあ、いろいろしんどそうでどうなっていくんだろう・・・というところ。
(落差はもっともっと大きくなるんだが)
考えてみれば、高野さん自身まだこの探検時、3回生か4回生なんだよ。
語学が得意なのか、たちまち地元の言葉を操れるようになるのも、前々からス
ゴイなあと思っていたが、こうして書いている第1作の文章だって、ほとんど文
章なんて書いたことがなかったと言いつつ書いていて、才能開花!
宮部みゆきさんの解説(先に読んでも良い!)が読む気を激しく鼓舞してくれて
いる。
 
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