20210207(了) |
角幡唯介/雪男は向こうからやって来た
プロローグ |
第一章 捜索への招待(2008年3月17日 日本) |
第二章 シプトンの足跡 |
第三章 キャラバン(2008年8月17日 カトマンズ) |
第四章 登山家芳野満彦の見た雪男 |
第五章 密林(2008年8月26日 アルチェ) |
第六章 隊長高橋好輝の信じた雪男 |
第七章 捜索(2008年8月30日 タレジャ谷) |
第八章 冒険家鈴木紀夫だけが知っている雪男 |
第九章 撤収(2008年9月26日 コーナボン谷) |
第十章 雪男単独捜索(2008年10月15日 ポカラ) |
エピローグ |
2011年8月/集英社/単行本/冒険/中古(コミセン書棚) |
<★★★☆> |
『極夜行』で大きな賞を獲っていて、読んでみたいと思っていたのですが、 |
パートの職場のコミュニケーション・スペースという、まあ一種の勉強部屋 |
の隅に本棚がいくつかあって、ご自由にどうぞという、読んでもいい、持ち |
帰ってもいい本がそこそこたくさん、雑多に並んでいる。ワタシも要らなく |
なった本を寄贈しています。 |
絵画展のでかい図録など、ここのやつを何冊か楽しませてもらって印象が強 |
強いですね。特に気に入ったのはいただいちゃいました。 |
そんな本棚の中にあったのを持ち帰り、半年ほども放置していたのをつい読 |
読み始めてしまった。いつもいつもエエカゲンな読書です。 |
これは読んだことのある『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンボー |
峡谷に挑む』の次の作品かもね。それが面白かったから、『極夜行』でなく |
てもいいかぁ、と。 |
なかなか歴史のある雪男の探索。 |
いろんな日本人も挑戦していたんですねえ。登山家もたくさん登場し、あの |
田部井淳子さんも、ヒマラヤ登山ついでにしっかり見ていたらしい。 |
それ対し、若い冒険家が就職した朝日新聞を退社して、超真面目に挑んだ長 |
編ドキュメンタリー。32-33歳の頃のよう。 |
といっても、雪男がいるとか、いたとか、確定しているわけじゃないのは誰 |
だって知っているわけで、であれば、どんだけ「いやいや、これは絶対いる |
なぁ」と思わせてくれるような探索の過程を読んで楽しもうという、ただそ れだけ。 |
そして、ほぼそう思わせてくれたから、正解です。 |
(右のはワタシも見たことがある写真)
それにしても、単調にならないように、中身や文章をこれだけ工夫すること |
は大変やね。いや、冒険自体こそタイヘンで、最後には単独行もやってのけ |
ている。 |
この冒険家が、同じ早稲田の冒険部出の高野秀行とはかなりタイプが違って、 |
間違いなく普通の人より自然に対する無謀の度合いが強いのはわかる。 |
もはや未開拓(未踏)の自然というのはほとんどなくなってしまって、冒険 |
といっても、高野の方向に行くのが自然な気がする。それなのに植村直己の |
世界を何とか探し出して挑戦する。当然常に体を鍛える・・・ |
でもさすがだと感心したのは、過酷で孤独なダウラギリ山系において、発揮 |
するあきれるほどの辛抱強さ。面白さはこれにこそ支えられていると思いま |
した。 |
去年の10月の朝日の朝刊、この1月末ごろの毎日新聞の夕刊に、それぞれ |
角幡氏のほぼ一面を費やした長いインタヴュー記事をみつけてありまして… |
本人にとっちゃあ「有要有急」の探検のつもりで出かけていて帰国したら、 |
そんなのは「不要不急」だ、社会のためにはならない、などと突っ込まれて、 |
ビックリしてしまったとか、「点」を目指さず「面」と出会うことをこころ |
がけるようになって来たとか、「未踏の呪縛」から自由になったとか喋って |
いる。それでも、高野秀行さんの行き方にはきっとならない。 |
これらの記事は本に挟んでおきましょう。 |
(本の引用も新聞の引用も、面倒なのでパス) |
(この写真だけ・・・)