夏坂健セレクションの最終巻。 |
いきなり戦争の臭いのする記述から始められています。 |
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セントアンドリュースで行われた1939年度全英オープンの最終18 |
番ホール、「ディック」と呼ばれたリチャード・バートンが、およそ1メ |
ートルのパットを沈めて、追いすがるアメリカのジョニー・ブラに2打 |
差、カップからウイニングボールを拾い上げた瞬間が歴史の切れ |
目。それから6年間というもの、第二次世界大戦の戦禍に翻弄され |
て全英オープンは中止を余儀なくされた。1946年、再開のためセン |
トアンドリュースに動員されたドイツ軍補捕虜、延べ2000人。機材 |
乏しく、作業はスコップとシャベルによって行われた。復旧には多く |
の市民も自主的に参加している。 |
全米オープンの場合、「ミスター万年2位」と呼ばれたクレイグ・ウ |
ッドが、積年の屈辱を晴らすべくテキサス州コロニアル・カントリー |
クラブで大暴れ、ようやく手にした優勝トロフィーにキスの雨を降ら |
せた1941年が戦前の最終ゲーム。1946年、オハイオ州カンタベリ |
ーGCでつつましやかに戦後第1戦が開催されるまでまる4年間ナ |
ショナル大会は空白だった。 ・・・ |
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捕虜もちゃっかり使ったんや。 |
たかがゴルフなんですが、かくもいそいそと復活に働いてしまうほどの |
ものは、もはや文化と言って恥じることはないと思いませんか? (とは |
少々強引単純でしょうが・・・) もちろん1940年ごろから見て紐解くこと |
のできる資料からして480年ほどもたっているんですけどね。 |
日本ならこうした表現をしてフムフムと思えるような競技やイベントって |
なんだろなあなどと思っていると、話は、米国の超が付くような地味な |
選手の話になって、彼がゴルフ競技にとって、いかにすごい働きをした |
かというような逸話に移っていきます。 |
ともあれ、、、 |
すこし記憶のある文章もありましたが、ゆっくりゆっくり、楽しみました。 |
(遅読はもともとですけどね。) |
ゴルフの「伝道書」として優れているんでしょうか。 |
案外難しいところです。 |
やっぱり・・・ゴルフを少しぐらいは齧ったことがある方でないと、わかり |
にくいというのがホントのところでしょう。ゴルフを齧ったこともないまま、 |
自然破壊に関することや農薬のことなどで、一方的に悪者扱いしてい |
る人も多いしね。 |
イギリス人やアイルランド人などがどう考えてどんなふうに対処してい |
るかとか、少しは独特の問題もある日本でも、意外に頑張っていること |
などに出くわして見直せるという機会もろくになく、まあ、いまだ“悪者” |
だと思い込んだままで。 |
繰り返しだけれど、誰が何と言おうと、ゴルフをやってみたことがない人 |
にはどうにも説明のしようがない。 |
ま、説明は本編に任せましょう。そういう問題にも言及している。本巻に |
には、歴史以外に、伝道書的な面、倫理的な面も強く出ているかなと |
思います。 |
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そして最後の最後には、修行僧のごとく毅然とした感じで筆を置くという |
お別れがある。 |
この時点で体の変調に気付かれていたかどうかはよくわからないけれ |
ど、研究調査は続けらていたものの、3年ちょっとたってから倒れられ |
ている。 |
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思い起こせば、最初に読んだのは単行本で、タイトルは『地球ゴルフ |
倶楽部』(新潮)、1994年。 |
読むゴルフ(エッセイ)として最高でした。 ARM CHAIR GOLFERS |
という言い方も、即いただいたんだった。それ以来の付き合い。 |
読んだ本は単行本の時も文庫本の時もあって、だいたいはオリジナル |
版。時々本屋や古本屋で見つけては読むというぐらいでした。 |
しばらくは読まない時期もあったが、ゴルフダイジェスト社から6巻の |
選集が出てからは気にしどおしで、こっちは中古屋じゃなく本屋で見つ |
けては一冊づつ買っておくというようなことをぽつりぽつり。 |
この最終巻は手に入れてから大分たちます。どうもね、読むのが惜し |
くて・・・ |