休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

近藤史恵/小説「サクリファイス」

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20140625(了)
近藤史恵/小説「サクリファイス
   2009年/小説/新潮文庫(単行本2007年)/中古
      <★★★★>
 
もと陸上選手白石がサイクルロードレース(の自分が勝つんじゃなくアシスト
というシステム)に惹かれて自転車競技に転向する。そこでベテランのチー
ム・エースに絡んだ事故とも殺人ともつかない事件があったことを知る。次
期エースを虎視眈々狙う新人同僚やチームの他のメンバーらとの競技の中
で、再び事故が起きる。
というような、一足飛びのあらすじだけれど、なんたって自転車のロードレー
スをミステリーにしちゃった点。それと何が何でもチームのエースを勝たせる
ためにアシスト(つまりサクリファイス/犠牲)に徹することに喜びを感じるとい
う、ちょっと変わった(もっとも、ワタシは意外にもよくわかる)主人公である点。
そう長くもなかったためか、やたらすいすい読めてしまった。
「ただマイヨジョーヌのためでなく」とかいうドキュメントのタイトルだったかの
意味がようやくいくぶんかわかったような次第。
‘フォア・ザ・チーム’では小説のムードとしてはちょっと暗いかと思いきや、
そんなこともなかった。
自転車レースの世界を描いて珍しかったんだね、かなりいろいろと話題にな
った作品。ミステリーとしても「このミス 2008年度版」では国内の堂々7位。
当時は作品紹介を読んでわかったような気になったか、“読みたいリスト”に
は入れてなかったのですが、なぜか感じるものがあって購入。
分厚い本の後、取りかかって、大成功。(いつもの気まぐれですけどね。)
ミステリーよりも、むしろ断然‘その世界’のこと。競技場をぐるぐる回る競輪
じゃなくて、ツール・ドなんとかってやつ。作者は日本ではまだまだ人気もな
じみもあるとは言えないこの自転車レースについて、かなり好きというか詳し
い作家なんだそうな。すでに続編的なものも書いておられるようです。
‘酔いどれフィッシャーマン’さん、もし読んでおられないなら、おススメです
よ。スポーツ系ミステリーの傑作。
ちなみにワタシはママチャリにバッテリーがくっついたやつをちょいちょい使っ
ってます。ま、別に恥ずかしいとは思ってません。むしろバッテリーの容量が
少々小さく、もう一つ上のやつにするんだったと、ちょっと後悔している。