休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

小説『宝 島』

20211021(了)

小説『宝 島』
 第一部 リュウキュウの青     1952-1954
 第二部 悪霊の踊るシマ      1958-1963
 第三部 センカアギヤーの帰還   1965-1972
 
   2018年6月/小説(冒険・ミステリー系)/講談社/単行本/もらいもの
   <★★★☆>

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(新聞の文庫本新刊の推薦文から) 1950年代の沖縄で、米軍基地に
忍び込み、生活に必要いな食料や衣料品を盗んでは、貧しい住民に分け与
える「戦果アギヤー」。リーダーであるオンちゃんが嘉手納基地で消息を
絶ち、ヒーローを失った地元民たちは悲しみに暮れた。しかしオンちゃん
の生存を信じる仲間たちは、それぞれの人生に進みながらも、闘い続ける。
昨今、国民からの信頼が得られない政治家たちに、オンちゃんのような信
念と愛はあるだろうか・・・
 
冒険系のミステリーとして「このミス」でも高評価を受けた力技エンタテ
インメント。タイトルは覚えてました。
沖縄の言葉遣いを多く入れているのはわかるとして、言葉自体が妙に洗練
されないものというか、坐りのよくない述語を多く入れ込んでざらつき、
するっとは読ませない。独特の雰囲気に貢献してはいました。
 
推薦文にもあるように、オンちゃんを探すことがずーっと通奏低音にあっ
て、これがなかなかのミステリーなんだけれど、そこに沖縄の基地の様々
な問題や、それがオンちゃんと親しかった主人公三人の若者の進み方に与
えた影響を絡めて、けっこう重たるく進んでいくのね。いやでも沖縄のあ
るべき姿や政治的な話が、ストーリーとは一定の間隔を置いて描かれるも
のの、読む以上は気にしないではおれない。まあそんな構造です。
 
実はこんな話だとは全然知らないで読み始めてしまいました。
横文字では HERO's ISLAND であって、TREASURE ISLAND じゃないんだ。
学生時代の友人が、いい歳して、ダビングしたCD(主にジャズ)と小説を
送ってくれた、その中の一冊で、どうもね、本をもらうってのはシンドイ
んだよね。まあ今さらしゃあないけど・・・ 
後半、読むスピードが上がりはしたのですが、大人になってゆく彼らに結
局澱のように残ったままであるものが感じられ、読み終えてもすっきりす

ることはなく、ちょっと疲れました。

(それこそがこの場合の読書効果ってもんか・・・)

ワタシにゃあ、どうせ基地のある沖縄(シマと訳される)のことちゃんと
理解をしていないんでしょうが、「そういう感覚のもの」があるんだとい
うことだけは、いくらなんでも学習したみたいですからねぇ。