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(帯裏) 今世紀前半のイギリスの作曲家の中でも、モーランは日陰の存在でした。 |
これほど美しい音楽を書いた人物がなぜ?と、心の底から思うほどモーランは素 |
敵な曲を残しています。若い頃に書かれ、死後に遺稿の中から見つかった変ホ長 |
調四重奏曲から、アイルランド民謡の雰囲気を極上の和声で包んだモーランの世 |
界が始まります。遠い故郷の自然を懐かしむような淡い感触・・・。やはり初期の |
作品であるイ短調四重奏曲や、傑作として名高い三重奏曲でも基本は変わりあ |
りません。モーランに出会えた歓びをしみじみと味わって下さい。 |
(帯表惹句) アイルランド民謡の魂を何とも優しいハーモニーでくるんだ美しき世界 |
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売れ残りのCDのようで、セロファンの包装には、このCDが何かの賞を受けたら |
しいシールと、なんと「MADE IN HONG KONG」のシールが貼ってあった。そうそ |
う、結構前はそうだった。香港のオケの録音なんかもあったし。 |
ジャケット(というか、ライナーの写真など)、少々安っぽい。別にかまわんが。 |
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前のバックスのCDでも書いたが、バックスが豪でモーランが柔だというレヴュー |
があった。これを聴いて、バックスの室内楽をすぐに連想したからね、両者はやっ |
ぱり間違いなくかなり似ている。豪と柔の比べ方は違うと思う。 |
ともあれ・・・ |
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①-② ドビュッシーやラヴェルの名曲の影響を受けているよ憂な気がする箇所 |
があちこち。第二楽章はもろに民謡調が濃い。二楽章しかないがちゃんと完結し |
ている。なんでお蔵入りさせたのかわからない。 |
あくまで軽やかで優しくロマンチック。晦渋なところ全くなし。それでいて、軽んじ |
たくなる気をまったく起こさせないというのが、ワタシにはむしろスゴイ! |
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③-⑤ これも上記と同じような感じで、この二曲は傑作だと思う。 |
長男夫婦に(知らないなら)教えてあげたい。 |
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⑥-⑨ この三重奏曲は、柔らかく始まる曲ながら、翳った部分が混じったり、表 |
現の上でも前の2曲より強く主張したようなところがある。全体にはやはりロマン |
チックな曲ながら、‘翳り’や主張はどういう由来があるものやらわからない。 |
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さてさて、室内楽がやや苦手なワタシにもこの一連の優しい音楽はすばらしい。 |
こんな天国的な音楽、聴いていていいのかなと、かえって心配になる。(ケツの |
穴が小さい、の意) 死と直結していそうな音楽かも。 |
天国的と書いて、連想・・・ |
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・高校の2-3年生ごろだったと思う、よく読んでいた雑誌のレコード評の中に、 |
自分が死んだら、この曲をかけてほしいというようなことを、ぬけぬけという |
か、おおらかにというか、書いている評論家がいましてね。 |
その曲というのが フォーレの「レクイエム」だった。 |
ま、多感な?頃でしたから、すぐに聴きたくなった。すると友人も同じように |
影響を受けていたんだね、奮発して輸入LPを買い込んできおった。一日ぐ |
らい「借りて」聴いたんじゃなかったか。確かシャルランという録音が素晴ら |
しいというフランスの小レーベルのものだったと思う。 |
ところがこれがあまりピンとこなかったのね。かなり素朴な演奏だったので |
はなかったか。一方、ワタシがこの曲が好きになったのは、上記評論家氏 |
が、レコード評とは別の記事として特集して載せていたクリュイタンス指揮/ |
パリ音楽院管弦楽団(EMI)の演奏。友人のLPの演奏に比べると、今なら、 |
それでも結構油っこいものだったとわかるが、そのころはそういうことは分 |
からなかった。中の「ピエ・イェズ」の部分を何かで聴いてだと記憶している。 |
メロディーの美しさだけでなく、ヴィクトリア・デ・ロ スアンヘレスの声に完全 |
にやられた。 |
・・・そんだけです。自分の葬式に使う音楽、ってんで思い出した。モノの譬 |
えとしてわかるが、死ぬ時も死んでからも、そんなもん、どうでもええ事です |
ワ。いわば劇場型の人には大事なことだったりするかもしれませんが。 |