20200501(了)
タンスマン/クラリネットのための室内楽集
Alexandre Tansman(1897-1986);Chamber Music with Clarinet
(1)クラリネットと弦楽四重奏のための音楽(1982) 10:07
①カンツォーナ 3:40
②スケルツォ 4:24
③終曲;ノットゥルノ 2:04
(2)クラリネット、弦楽四重奏とピアノのための「6人の音楽」(1977)9:57
④Preludio 3:40
⑤Perpetuum pianissimo(Intermezzo) 1:16
⑥Allegro rIsoluto 4:08
⑦Notturno 3:40
⑧Cappriccio alla polacca 2:57
⑨Postludio romantico 4:08
(3)クラリネット、ハープと弦楽四重奏のための3つの小品(1970) 8:27
⑩Andante sostenuto 2:53
⑪Vivace possibile 2:06
⑫Lento cantabile 3:28
(4)弦楽四重奏のための「三枚折り絵」(1930) 16:06
⑬Allegro rIsoluto 3:57
⑭Andante 4:42
⑮Finale;Presto 7:28
ジャン=マルク・フェッサール(cl.&bcl.)
エリアーヌ・レイ(p.)、フランシス・ピエール(hp.)
エリゼ弦楽四重奏団
録音:2006年4月、パリ、メドン・スタジオ Tot.54:44
CD/室内楽/Ⓟ&ⓒ 2007 Naxos/輸入/中古
<★★★★△>
【帯紹介文から】 ピアノ曲やギター曲が演奏され、日本でも知名度が上がっ
ているタンスマン。出生はポーランドながら、フランスの音楽家という印象
が強い・・・ 日本でもようやく、注目度があがってきています。「フラン
ス6人組」に似た室内楽を得意とした彼が特に好んだ楽器がクラリネットで、
当盤はクラリネットを伴う室内楽曲を集めました。この中では、日本の芥川
也寸志にも影響を与えたという1930年に作曲された弦楽合奏の「三枚折り絵」
に宿る音楽の生命力は強烈で、必聴作といえるでしょう。
これは長寿に恵まれた彼としては、人生の前半に書かれたものですが、他の
作品は晩年の作。しかし枯れた感触などというものはありません。80歳記念
の委嘱作「6人の音楽」ではピアノの使い方も印象的です。最も演奏される
名作であり、1970年代と80年代に作曲された他の3作と共に、この作曲家独
特のパリ的な感性が生きています。
有名曲の編曲かオーケストレーションかですごく気に入って、その名を調
べて選んだCDです。フランスにべったりだけれどポーランド人・・・ でも
どうやらもっとビッグネームになってもよさそうな作曲家だったようです。
「フランス6人組」に入りなはれ(!)れと薦められたが、独自路線に拘って
固辞したとも書いてあった。
聴いてみました。何度もね。で、新しく感じてみたり、存外古臭いと思えて
みたりで、一定じゃなかった。
結論的には・・・この頃好きなケクランとなにやら被ってしまうところがあ
りました・・・。
生年ではケクランより30年も年下なので、感覚的には、古いものを追いか
けていると言えなくもない、つまりズバリ時代遅れ。でもワタシにはまるで
親戚筋に聞こえた。それに、なにも無調でなくったって、セリーでなくった
ってかまやしない。
ただし始めは、食いつきが悪かったのです。よくあるんですが、こういう時
ってえてして「だんだん良くなる法華の太鼓」じゃないけど、好きになるこ
とがままある。嬉しいことにそのタイプでした。
(1) 無調や十二音なんかじゃないけれど、そういうものも匂い、やはり20
世紀前半とは違って、感覚が新しい。それにわりとよく歌う。
(2) 上記よりは前の作品だが、感覚は逆にもっと新しく、不安や実存がの
ぞく感じがある(ちょっとオーバーか)。 特に⑤や⑥。でもどうだろう、特
筆しておきたいのは⑦と⑨の静謐な美しさのほうかな。
(3) ハープが入る。小気味よく、楽しい。でもね、短すぎるかも。それと
⑫のクァルテットの響きがあまり好きとは言えない。(録音がよくないかも)
(4) これは上記より40年も前の肩ひじ張った(?)若書きの弦楽四重奏で、
フランス風味とは無縁な感じ。音楽がまるでバルトークのように激しい、あ
るいは固い。前の3曲とは明らかに感じが違う。⑭のアンダンテにしてもま
だ深い感じがない。芥川也寸志の名が出てきてちょっと驚いたが、芥川が惹
かれたのはどのへんなんでしょう。たぶんリズミックな⑬か⑮やね。
出されているCDを見ても、編成の大きな曲はあまり書いていないようで、基
本的には室内楽や器楽曲の方だったんだね。
もっと他のも聴いてみたい気がしています。
(この気持ちが、「当たり!」のあかし。)