休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ジャン・フランセ/室内楽集

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20211127(了)

ジャン・フランセ/室内楽

    JEAN FRANÇAIX 1912-1997
(1)八重奏曲(クラリネット、ホルン、バスーン、2ヴァイオリン、ヴィオラ
    チェロ、コントラバスのための/1972)
    ①Moderato 6:08 ②Scherzo 4:55 ③Andante 5:15
    ④Mouvement de valse 6:05
(2)五重奏曲(クラリネット弦楽四重奏のための/1977)
    ⑤Adagio 7:59 ⑥Scherzando 5:49 ⑦Grave 5:49 ⑧Rondo 5:48
(3)ディヴェルティメント(バスーンと弦楽五重奏のための/1942)
    ⑨Vivace 2:22 ⑩Lento 3:04 ⑪Vivo assai 2:08 ⑫Allegro 2:29
 
    カール・シュターミッツ・アンサンブル
    JEAN-LOUIS SAJOT(クラリネット)、AMAURY WALLEZ(バスーン)
    録音;1992年3月
    1992年/CD/室内楽/近現代/Ⓟ&ⓒ1992 PIERRE VERANY/輸入/中古
    <★★★☆>

 

現代のくせして、新古典の地味な音楽。

ちょっと長くなります、、、もうずいぶん前のことになります。

長男がヴァイオリンの腕を磨いた芸術系の大学の「学祭」なるものに、気ま
ぐれで出かけた時のこと、覗いた大ホールでは室内楽の演奏が行われていま
した。その中でフランセという作曲家の曲が演奏され、あまりの気持ちの良
さに感激し、涙まで流してしまったのでした。
パンフレットなどもなかったはずで、しばらく放置するうちに、素敵だった
という記憶だけが残って、曲の詳細、構成、編成などがぼやけてきた。だい
たいワタシにとっちゃあ音楽なんてそんなもので、繰り返して聴かないと、
頭の中になかなか定着できないのが普通です。
街の大きなレコード屋でも探したものの、フランセなんてほとんど置いてい
ない。その後はたまにネットで探し始めたのですが、WIKIでも作品一覧がな
い。ちょろちょろと申し訳程度にあるだけ。出くわした時にチェックしなか
ったのがいけないわけで、、、まあ、素敵だったと覚えているだけで良しと
するか、なんて感じでした。そして今となっては20数年も前のことになっ

ちゃった。

ところが、あれ?これだったのかもという編成(オクテット)のものが入っ

ているCDを見つけた。確か、木管中心の、八重奏かそれ以上、、、
その候補といえる作品が(1)のオクテット。

 クラリネット、ホルン、バスーン、ヴァイオリン2,ヴィオラ、チェロ、

 コントラバス

いやー、弦は入ってなかった気がする・・・なんてね、そこまで曖昧になっ
てしまった記憶なんてねぇ、話にならない。(1)がWIKIに載っていないの
は今も同じだが、載っていて記憶に近そうなのは「10の管楽器のための性格
的な9つの小品」 (1973年)ぐらい。10人はいなかったと思うんやけどなぁ
・・・ 木管五重奏というのが載っていて、ジャンル的にはワタシも好きそ
うだけれど、絶対5人じゃなかった・・・。

 

木管5重奏は探したところ1番(1948)が入ったものがあって、これはよく
聴いたから違う。ひょうきんな味わいの曲。1番があるのだから2番もある
のだろうな・・・
上記10重奏は短い曲ばかりのよう。一応探して見よう。

 

前置きがうんと長くなりました。その、狙いを付けた(1)
①極めて叙情的で優しい感じで始まったあとは、すぐに楽しくはねる調子へ
移行し、そのまま②へ。ピチカートが多いものの、弾んだ調子が支配的。
③弦がリードする感じで始まるアンダンテはあくまで明るい。木管はそれぞ
れダブらずに歌う。④少しオーバーにぶち上げて始まるも、ゆっくりめの幸
せな調子のワルツ。ラヴェルのような捻ったワルツじゃない。ちょっと俗っ
ぽい、かな。今意図的に聴くことの多いケクランとはあまり近くなく、例え
ば影響を受けたとされるストラヴィンスキーラヴェルプーランクで言う
なら、プーランクの感じにやや近いかなぁ。ただし深刻さはおろか、陰影と

いものがほぼない。これがミソ!!! 周りからは「新古典」と分類(⁉)され

ている。

結論・・・ あの時の曲がこれだったかどうか、わかりませんでした、ハイ。
ただどうだろう、可能性はなくはない。
 
(2)管はクラリネットのみなので、クラリネット五重奏曲というと済む。
上記オクテットでも書いてしまったんだが、陰影がないですね。⑦Graveでも
美しい緩徐楽章というぐらいで、お天気のいい午後ののどかな葡萄畑をただ
眺めているというような感じ。軽快な⑧は、不協和音が2発あるけれど、始
めからの調子が壊れることはなく、「喜遊曲」そのもの。次のバスーン六重
奏曲では、ちゃんとディヴェルティメントとしてあるように、これもディヴ
ェルティメントにしておけばよかった・・・ 
なんて、嫌味を言ってるんじゃない。ほんとうに幸せな音楽。
 
(3)軽快で楽しいし、もちろん美しい。バスーンのペーソスめいた特色も
十分発揮されている。
短い楽章5つで構成されているも、あっという間に通り過ぎてしまうよう。
弦が5人なので上記よりはサウンドはややぶ厚く感じるが、⑩以外は結局
コミカルな味わいが多い。(違うな)
 
この作曲家、バスーンや前のクラリネット等のプラスの面を実に大らかに

開陳してくれる。でもマイナスなこと、もう一度書いちゃうと、音楽に陰

影がやはりほぼない。

そういった傾向が、フランスではかなりの大作曲家らしいのに、日本じゃ
あまり人気が出ない理由かもしれない。