20200515(了)
映画『アド・アストラ』
監督;ジェイムズ・グレイ//ブラッド・ピット/トミー・リー・ジョーンズ/
リブ・タイラー/ルース・ネッガ/ドナルド・サザーランド
音楽;マックス・リヒター他
2019年製作/123分/G/アメリカ/原題:Ad Astra/DVDレンタル
<★★★☆>
「スペース・オペラ」じゃなく、いわば文学系(?)のSFだとすぐわかる。
近未来よりはイメージもうちょい先。
映像は素晴らしいんだけれど、ナニ、当たり前ですよ、とでもいう風。
カミサンが言う。「ブラッド・ピットがぶかぶかの宇宙服着ているの、似合
わへんわ」。ワタシが応じる。「スペース・オペラやったらまあそうかもし
らんけど、これ、文学系みたいやから、いけるんちゃうの?」
まるで理屈になっていないへんな会話・・・
<映画.com解説>から ・・・太陽系の遥か彼方で消息不明となった父親を
捜しに旅立つ宇宙飛行士の姿を描いたSF大作。地球外生命体の探求らに
人生をささげ、宇宙で活躍する父の姿を見て育ったロイは、自身も宇宙
で働く仕事を選ぶ。しかし、その父は地球外生命体の探索に旅立ってか
ら16年後、地球から43億キロ離れた海王星付近で消息を絶ってしまう。
時が流れ、エリート宇宙飛行士として活躍するロイに、軍上層部か「君
の父親は生きている」という驚くべき事実がもたらされる。さらに、父
が進めていた「リマ計画」が、太陽系を滅ぼしかねない危険なものであ
ることがわかり、ロイは軍の依頼を受けて父を捜しに宇宙へと旅立つ・・・
優れた宇宙飛行士になったロイのいたって個人的な事情、つまり消息を絶
った父親の影響下にずっとあったということを、気付いてどうするつもり
なのかというのが中心的な主題。もちろんそれと関係のある事柄(奥さん
との関係や家庭や人生観など)もいろいろ。モノローグが多い。一見実存
ぽい。実はそんなでもない。
サイエンティフィック・フィクションとしての見せ場もたっぷりある。と
いうか、『2001年;宇宙の旅』のような移動中の宇宙の静けさをしっかり
描いていたのとは違って、その辺はパッパッとシーンが変わっちゃうから、
そうは感じにくいけれど実際はテキパキしている。
始めにある強烈な磁気嵐みたいなもの(これが映画の表の主題)による事
故のシーンだとか、それとかかわりがある父探しのミッションを得てから、
月へ、すでに人が住んでいる火星へ、火星の地下や上空での事件を経て、
本来の任務場所である海王星近辺へというふうに。
でも内なる主題が「気持ち」に関わるものだから、気宇壮大なものにはな
りませんでした。言ってみりゃあはじめの予想通り。新聞で紹介記事を見
た記憶がない。もう一つ人気がないのかなと思いつつ借りたのですが、ま
あ賞の候補にはなったかもしれないが、あまり受けなかったでしょうね。
でも思索的な面が多いというのも、その思索の中身はともかくとして、ワ
タシには意外に新鮮でした。ロシア製の『ソラリス』の暗い調子をちょっ
とだけ思い出しました。
映像についちゃあ、『2001年;宇宙の旅』のキューブリックが悔しがりそ
うなところが、えらくたくさんあったように思います。
(先日、TVで50数年前の同作の製作時、どれだけ大変だったか、そのすっ
たもんだをドキュメンタリーにしたものを観ることができました。ロード
ショーのシネラマでの鑑賞からいったい何回観たことか。あああそこ、な
んとかならんかったのかなあ、なんて箇所がいくつもあったのですが、ア
バタもエクボで、いまだに好きな映画の最右翼にいます。観たことがない
人がこれを今いきなり観たら、笑ってしまうかもしれないですね・・・)
音楽のメインの作曲家はマックス・リヒター。
リヒター、こういう音楽書くんですね。気にしていたんですが、はじめて
聴きました。アコースティックはなし。このミニマルっぽいかなり淡々と
したサウンドが続くサントラより、何か人気のあるアルバムを一つ聴いて
みたい気が起きています。
SFが続きました。