休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ジャン・フランセ/花時計・三重奏曲・四重奏曲

20250723(了)
Jean Françaix 1912-1997:
  L’Horloge de Flore ・ Trio ・ Quartet
(1)花時計(1959)①-⑦ 15:50
    ラヨシュ・レンツェル(ob)、ウリ・セーガル指揮・シュトゥットガルト放送SO.
    録音;1983年、南西ドイツ放送
(2)コール・アングレ四重奏曲 ⑧-⑫ 14:20
    ラヨシュ・レンツェル(コール・アングレ)、他Vln、Vla、Vcl(パリジー四重奏団)
    録音;1991年、カールスルーエ、SWR スタジオ

(3)オーボエファゴットとピアノのための三重奏曲

    ⑬-⑯ 17:08

    フランセ・トリオ 
    録音;2000年、カールスルーエ、SWR スタジオ
(4)弦楽四重奏曲 ⑰-⑳ 12:29
    パリジー四重奏団
    録音;1998年、SWR、室内楽スタジオ
 
    CD/室内楽/Ⓟ 2006 cpo/Made in Germany/輸入盤/中古
    <★★★★△>

オーボエ中心の3曲プラス、おしまいは弦楽四重奏。この作曲家、多くが室内
楽のようで、それもたいてい深みよりは楽しさ。まれに感情の「濃い」のもあ
るが、ここではどうかな。
 
(1)花時計; さらっとした感じの、なんとも心地よい抒情。1分台か2分台の
7つの小品がほとんど緩急交互に並んでいて、16分弱を退屈することもない。
管楽五重奏に、調性を外したみたいな尖った音楽を含んでいたのを覚えている
が、こんなに夢見るような軽み(大人のおとぎ話ふう)で通してしまっている
曲があるのは、やや意外。(なに、ワタシが知らないだけですけどね)
しかも小さいとはいえオケが付いていて、そのオケが品よくふんわり柔らかい。
金管は聞こえない。独奏のオーボエ以外では、オケ内のフルートが活躍する。
大好きなケクランと共通点があるけれど、それも違いもうまく説明できない。
例えば、プーランクが時々見せる一種ブラックな感じがない・・・なんてどう?
 
(2)コール・アングレ四重奏曲;つまりイングリッシュホルンとヴァイオリン
ビオラとチェロ。案外にない組み合わせ。(1)とはガラッと変わり、歯切れ
よく古典的、つまり新古典的な感じ、かな。⑨と⑪の緩徐楽章も抒情というよ
りは諧謔味に近い。深みのない都会的なセンスというわけのわからん言い方に

なってしまう。色気が乏しく、わかりやすいメロディもない。とはいえ、とて

も楽しい! 

好みが続きます。
 
(3)オーボエファゴットとピアノのための三重奏曲;これもかなり変わっ
た組み合わせ。フランセ、きっと多作家。フンフン言いながらどんどん書いち
ゃいそう。オーボエはもちろんレンツェル。
⑬⑭⑯はここまでの様々な楽し気な楽章のイメージと変わらない。ただ⑮の
Andanteはいい陰り具合で美しい。もうちょっとでプーランクの毒気に近づく。
 
(4)弦楽四重奏曲弦楽合奏物があって、その延長線上のものだろうと思っ
たら、当たらずとも遠からず。素敵な曲でした。
番号が付いていないことからして、弦楽四重奏曲はこれ一つなんだろうな。
 
(1)が最も気に入ったかな。
深刻にはならない、センスの塊みたいな作曲家なんだけれど、ふるいつきたく
なるような決定打は少ないよう。その代わりどれもこれも軽々と水準を超え、
楽しさという面から言えば、みんな見事に出来がいい。都会的センスに近いと
思うものの、さすがに「現代」のそれではない。
「深み」なんてものをありがたがる日本人は、この作曲家を表面的だとスルー
しがちなんじゃないかと思う。わかりませんけどね。好事家だけのものだとし
たらもったいない。日本人の傾向にありがちで、ワルーイところ。

長男が二つ目の大学に通っていたころ、気まぐれに大学祭に行ったら、講堂の
ようなところでめちゃめちゃ素敵な曲(涙が出そうになった!)をやっている
のにでくわしましてね、それがフランセでした。もう四半世紀も前のことです。
10人ぐらいの木管中心の小品集的なものだが、ざっと見たところそんなCD
が見当たらない。
最近思い立って調べてみたら、ハハァ、これかぁというのがありました。
 9 pieces characteristics pour 10 Instruments à vent
 「10の管楽器のための性格的な9つの小品」 (1973年)
YouTubeでしか見当たらず(って、何種類もありました!)、聴いてみました。
感激しなおすというほどでもなかったものの、フランセにしては、もっと小編
成のもの(このアルバムのような)とは違い、音の厚みがありますからね、ム
ードなどもけっこう違っていて、車に持ち込んで(CDで)繰り返し聴いて(鳴
らして)みたいものです・・・
 
すべて南西ドイツ放送の音源。アルバムにする計画があったのかどうか知るは
ずもありませんが、さすが放送局ですね。フランセだけでこんなのが組めちゃ
う。