休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

オーボエと弦楽四重奏のためのイギリス音楽

20240429(了)

オーボエ弦楽四重奏のための

イギリス音楽

 

(1)アーノルド・バックス(1883-1953):
    オーボエ五重奏曲 ①5:55 ②7:31 ③4:28
(2)グスターヴ・ホルスト(1874-1934):
    幻想的小品 - エアーと変奏 ④3:02
(3)ホルスト
    オーボエ弦楽四重奏のための3つの小品 Op. 2(改訂版)
    ⑤March 3:29 ⑥Minuet 5:10 ⑦Scherzo 3:49
(4)E・J・モーラン(1894-1950):
    幻想的四重奏曲 ⑧12:30
(5)ゴードン・ジェイコブ(1895-1984):
    オーボエ四重奏曲 ⑨7:00 ⑩3:34 ⑪7:08 ⑫4:17
 
    サラ・フランシス(オーボエ)
    イギリス弦楽四重奏団

    録音;1984年5月、

                          Church of St. George the Martyr, Bloomsbury, London, UK

    1985年/CD/室内楽/Chandos Records/輸入盤/中古
    <★★★★>

英国の近現代と言っていい作曲家の、オーボエを使った尖らない室内音楽集
です。
いかにも今の自分らしい(自分らしすぎる、なんて好きじゃない言い方です
が、まあそう言っていい)好みのジャンル。地味です。
 
(1)このごろ聴かなくなってしまったバックスですが、生真面目て抒情溢れ
る五重奏。この5曲の中では、北の方ではなく、最も「イギリス」らしいイ
メージでしょうか。ピチカートで始まる第3楽章アレグロ・ジョコーソの野
はらを楽しく歩く感じなど、実に心地よい。管弦楽の評価や人気が高いけれ
ど、このジャンルを知らなきゃバックスを知ったことにはならないでしょう。
 
(2)&(3)、ホルストはかの『惑星』と少しの作品以外はなかなか認めら
れなかったが、実際はドイツ音楽の影響、ラヴェル好き、インド音楽等々様
様な影響を受け、作品は広範囲だった。弦楽合奏吹奏楽は聴いたことがあ
りますね。上記バックスやヴォーン・ウィリアムズとも親交があったよう。
やや硬いかもしれないけれど、やはり優しく抒情が素敵。特に(3)の⑥や⑦。
ほんとにこの人、組曲『惑星』を書いたんだろうかと、昔っから思っていま
す。そんなかた、多いんじゃないかしらん。
 
(4)おっ!と気付くモーランの音です。特に形式もなく、自由にうつろいゆ
く幻想曲。モーランらしいサウンドはだんだん濃くなる気がしますね。
所謂現代音楽には進まなかったために(?)評価は高くないみたいだけれど、
民謡のアレンジやデフォルメが利いていて独特で、もろ民謡調ではなく、決
して古くさいとも感じない。大編成曲が少ないので、いまいち人気が出にく
いのだろうなぁ。ワタシは好きです。
 
(5)何か聴いたことはあるジェイコブだけれど、印象深い作曲家ではありま
せん。年代的には少し新しく、現代と言っていい方ながら、前4人と較べて
も特にアグレッシヴさは感じられない。ロマン派の続きだよね、という感じ。
管弦楽曲もけっこうたくさん書いているのに、ほとんど知りません。未開拓。
嬉しいじゃないですか。何か聴きたい。
ともあれ、民謡がベースらしい曲調がきちっと行儀よくまとめられている。
とりわけ⑨第一楽章と⑪第3楽章のメロディとサウンドの美しさは特筆もの。
管楽の扱いに秀でた方だったようで、このオーボエも、叙情味だけではない、
とても魅力的なものに聞こえる。
 
(4)と(5)は弦楽三重奏とオーボエ
ずべて、味わい深く、とても気に入りました。イギリス音楽に馴染みのないかた
だと、慣れるのにちょっと時間がかかるかもしれないですけどね。
ワタシは長く車の中に置いておきたい。
 
1984年の録音とあります。デジタル録音が始まって2-3年というところでしょ
うか。音は悪くはありません。Chandosのイメージからすれば地味な音で、さ
ほど鮮やかでも繊細というわけでもないですけどね。(ジャケット写真はむしろ
チープ。そんなことはどうでもいいですが) 演奏自体も全体におとなしいもの
でした。オーボエヴィルトゥオーゾのタイプじゃないし、弦楽四重奏団のほう
もごく普通。特に不満はありませんでした。