休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

新ウィーン楽派 弦楽四重奏曲/ラサール弦楽四重奏団 2/3

20230905(了)

WIENER SCHULE String Quartets

 /LaSalle Quartet

シェーンベルク-ヴェーベルン-ベルク

 弦楽四重奏曲

                          <2/3>

CD3 

アントン・ヴェーベルン(1883-1945);

(6)弦楽四重奏のための《5つの断章》 作品5 (1909年)   <★★★☆>
  ⑤2:24 ⑥2:22 ⑦0:41 ⑧1:39 ⑨3:31
(7)弦楽四重奏のための《緩徐楽章》(1905)          <★★★△>
  ⑩Langsamer Satz 12:16
(8)弦楽四重奏のための6つのバガテル 作品9(1911-13)  <★★★★>
  ⑪0:35 ⑫0:23 ⑬0:22 ⑭0:49 ⑮1:17 ⑯0:42
(9)弦楽四重奏曲 作品28(1937-8)            <★★★☆>
  ⑰3:57 ⑱1:48 ⑲2:17

 

  ラサール弦楽四重奏団
  録音:1968-1970、ミュンヘンなど
  CD/4枚組/室内楽/Ⓟ1970 ドイツグラモフォン/ⓒBrilliant Classics/輸入/中古
  

CD3

ヴェーベルン・・・ 例えば・・・

 

 弟子のヴェーベルンが、音楽をパラメータごとに分解してトータル・セリエ

 リズムへの道を開き、形式上の繰り返しを否定し変容を強調したのに対し、
 シェーンベルクは無調ながらも、ソナタや舞曲など従来の形式を踏襲してい
 る。また、初期の無調音楽は部分的には機能和声で説明できるものが多く、
 マーラーやツェムリンスキーなど高度に複雑化した和声により、調性が曖昧
 になっていた後期ロマン派音楽の伝統と歴史の延長線上に位置する・・・

 

こういうのが「説明」。宗祖たるシェーンベルクについてはこんなのでもわか

る気がしますが、ヴェーベルンはこれではわからない(ピンとこない)です。
 

(6)弦楽四重奏のための《5つの断章》 作品5(1909年)

さてシェーンベルクのロマン派作品(5)が終わると、突如冷たく尖った調子

のこれが始まって、その違いに、つい声が出そうになります。B・ハーマンの
超有名な『サイコ』をちょっと思い出させるからで、わかっていても面白い。
これは無調であっても12音(セリー)ではないだろうから、上記説明の通り
じゃないはず。たまたま弦楽合奏用のヴァージョンを聴き知っているのですが、
オリジナルヴァージョンは、ぐっとインパクトがあります。ま、特に出だしで
すがね。5楽章中3つでbewegtとかBewegungという生き生きという意味合い
の言葉が使われている割には、その後は強烈な感じはしなくなってしまい、ど
ちらかというと陰気な調子になる。とはいっても(9)のような完全(らしい)
なセリー、あの繰り返しのない、妙に冷たい感触の音楽にはまだ間があって、
「温度」がある感じ。シェーンベルクに比べて各楽章がいたって短いのも、ワ
タシには印象への独特な残り方に繋がる気がします。(って、繰り返せないん
だから当然だろ?と言われても、この《5つの断章》など、まだセリーじゃな
いらしいんだけど)いたって陰気に終わっちゃう。
 

(7)弦楽四重奏のための《緩徐楽章》(1905)

ゆっくりとした楽章、というだけで、なんの解説もないが、シェーンベルク

おける(5)のようなものでなく、あくまで先へ進むためのものだと感じられ
る。12分強あるので、独立した作品と言うべきなんでしょうね。作品番号は

ない。調性はあるみたいに聞こえるんだけれど、もうヴェーベルンムードたっ

ぷり。

作品1を付けた「パッサカリア」が1908年。それより3年前の番号なしのこれ
ワーグナーに心酔した影響でもあるんだろうか。素人のワタシにはわかりま
せん。(6)より前の作品。それに似た陰気さで感じで始まるものの、明らか
に後期ロマン派の大仰な感情や感傷の残りかすみたいなものがあります。
もし(6)と同じころの作なら、心酔したワーグナーの「ジークフリート牧歌」
みたいな、とつい書きたくなったことでしょう。
さて、ここから先は楽章がうんと短く、密やかにさっと通り過ぎて行く。
 

(8)弦楽四重奏のための6つのバガテル 作品9(1911) 

バガテルなんで、ちょっとした性格的小品、ぐらいの意味で昔からさんざん使

われ、深い意味はないと思ってますが、6つの平均は1分をはるかに切り、上

に書いたようにさっと通り過ぎてしまう。こっちのほうこそよっぽど「断片」

やね。

人それぞれでしょうが、ワタシには、この冷たくもひっそり何かわけの分から
んことを短くつぶやいてそうなところとか、音程をとるのがメチャ難しそうな

ソプラノを使った歌とかが、いかにもヴェーベルンのイメージかなあ。そんな

気がします。(これが一番好きかも)

 

(9)弦楽四重奏曲 作品28(1937-8)

前作から25年ほどもたってからの弦楽四重奏曲。3楽章ありながらたった8

分。これが、スマートに出来上がったセリーなんでしょう・・・ ワタシは好
きですね。人間的とは言えないけれど、もはや馴染んだ。
妄想ですが、、、わりと冷静な状態の猫の精神状態、三態、なんてのはどうで

しょうか。(ワタシはイヌ派です。犬は全く違う気がする、例えば調性がちゃ

んとあるような・・・)

 

今回はここまで。