休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

新ウィーン楽派 弦楽四重奏曲/ラサール弦楽四重奏団 1/3

20230829(メモ了)

WIENER SCHULE String Quartets

 /LaSalle Quartet

シェーンベルク-ヴェーベルン-ベルク

 弦楽四重奏曲

                   1/3

CD1 72:41

アルノルト・シェーンベルク(1874-1951);

(1)弦楽四重奏曲 第1番 ニ短調 作品7(1905)         <★★★>

  ①12:01 ②11:51 ③11:52 ④7:32
(2)弦楽四重奏曲 第2番 嬰へ短調 作品10(1907-8)       <★★★>
  ⑤5:57 ⑥6:45 ⑦5:43 ⑧10:55
  ソプラノ:マーガレット・プライス(⑦⑧)

CD2 62:41

シェーンベルク

(3)弦楽四重奏曲 第3番 作品30(1927)             <★★★△>
  ①9:01 ②8:19 ③6:54 ④6:17
(4)弦楽四重奏曲 第4番 作品37(1936)             <★★★△>
  ⑤9:10 ⑥7:14 ⑦7:37 ⑧8:03

CD3 

シェーンベルク

(5)弦楽四重奏曲 第5番 <断片>ニ長調(1897)          <★★☆>
  ①6:23 ②3:45 ③6:52 ④4:44

 

  ラサール弦楽四重奏団
  録音:1968-1970、ミュンヘンなど
  CD/4枚組/室内楽/Ⓟ1970 ドイツグラモフォン/ⓒBrilliant Classics/
  輸入/中古

新ウィーン楽派という訳語、ドイツ語では SCHULE、英語では SCHOOL。

訳語も元の語も昔っからですが、学校という以外にいまだにあんまりピン

ときません。

 

さぁ、弦楽四重奏をたっぷり。

なんでこういう重たいセット物(入れ物じゃなくて中身のことです)を選
んでしまったりするのか、我ながらよくわからないのですが、のんびり取
りついてみましょう。
 

CD1&2+α

シェーンベルク・・・

(1)第1番は暗く燃える後期ロマン派のムード横溢の作品で、なかなか激

しい。模索していたシェーンベルクの激しく焦るような精神状態や錯綜す

る理屈の世界などが反映されている感じ。そんな中にほんの少しだけロマ
ンチックなところもあって驚かされた。
 
それが(2)第2番になると、第1番の世界から出ようとあがき始める。調
性は書いてある通りなんだろうけれど、これは調性なんて言えるものだろ
うかという調子ばかりになってくる。冷たいがそれなりに激しさもある。
そこへ歌。ビッグネームのゲオルゲの詩ったって、文学史で知っているだ
けの詩人なんで、何を歌ってんだか。(Wikiの理屈(楽理的説明)もよく

わからない) フッと終わる最後のところで「和音」が現れ、薄くない抒情

味を感じました。

 

(3)第3番。もう調性は書かれていない。前作から10年ほどもたってい

る。ゴチャゴチャした感じがうすれ、だいぶんすっきりとした。激しさや

熱がなくなり、鋭く尖った尾根道を行くような、研ぎ澄まされた理の世界

に入り込んだよう。

ただし、ことここに至ると、このラサールの演奏は後期ロマン派に引き戻
そうとでもしているかのような、なんとなく古臭さも持ったままなところ
があるかも、という気もちょっぴり。
 

(4)第4番。3番からさらに9年後。これが・・・

  12の音を1つずつ使って並べた音列を、半音ずつ変えていって12個の基

  本音列を得る。次にその反行形(音程関係を上下逆にしたもの)を作
  り同様に12個の音列を得る。更にそれぞれを逆から読んだ逆行を作り、
  基本音列の逆行形から12個の音列を、そして反行形の逆行形から12個
  の音列を得ることで計48個の音列を作り、それを基にメロディーや伴
  奏を作るのが十二音音楽である。一つの音楽に使われる基本となる音
  列は一つであり、別の音列が混ざることは原則としてない。したがっ
  て、この12音音楽は基本となる音列が、調性に代わるものであり、ま

  たテーマとなる。そして音列で作っている限り、音楽としての統一性

  を自然と得られる仕組みとなっている・・・

 
ようやくここにたどり着いたということでしょうか。12音については、

弟子のヴェーベルンに橋渡しされるにいたるもっと突き詰めた説明が必要

かもしれませんが、、、

ともあれ、ここには3番よりさらに、ゴチャゴチャ感や暑苦しさから解放
された感じがあります。そしてワタシにはもうパターンを気にしつつ聴く
というようなことからも解放されてしまった世界に身を置いて、ようやく
落ち着ける心地。・・・って、どうなんだろう、ちょっとオーバーかな。

案外主題らしきメロディがあちこちで聞こえるよう。でもね、そんな気も

するんですよ。

こんな境地になるのに、結構時間(元手も)かかってるんです。(馴染ま
んでどないするっちゅうねん!てな感じ。ハハハ)
 
ここまでがCD1とCD2ですが、CD3の始めに(5)第5番<断片>ニ長調

いうのが入ってます。なんでここ? なんで「第5番」なの? これ、19

世紀ものやね。

これが笑えた。次の曲とのギャップが大きすぎるし、馬鹿にするという
ことではないんだが、、、まるでドヴォルザーク弦楽四重奏曲のアレ
ンジ。あるいは、あたかもドヴォルザークそのものという感じなんだね。
第3楽章を除き、どの楽章もベースが民族舞曲風でロマンティック。ひ
ょっとするとシェーンベルクには「そんな過去」もあったりなんかして。
(ワタシ、大分前にほかのクァルテットと一緒にこの曲も聴いたことが

あるかもしれない。フーンと思っているうちに、そんな気がしてきまし

た。ともあれ知らずに聴いたら、100%シェーンベルクとは思わない。)

 

(3/3)で、印象を自分なりにいくらかまとめてみようとは思っていま

 す。ごくごく大雑把にですけどね、当たり前ですが。