休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』 My Salinger Year

20230825(了)

映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』

  監督&脚本;フィリップ・ファラルドー//マーガレット・クアリー(ジョアンナ・ラコフ)
                             /シガーニー・ウィーヴァー
  原作;ジョアンナ・ラコフ
  音楽;マーティン・レオン
  2020年製作/101分/アイルランド・カナダ合作/原題:My Salinger Year
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  <★★★☆>  

 

原題どおりやったんやね。邦題も決して悪いことはないんだけど。

 
サリンジャーみたいに、というわけじゃないけれど、作家/詩人になりたく
て、ウェストコーストからニューヨークへ出てきた女の子。大学生ぐらい
か。始めは短期間のつもりが、ある種本当の「文学少女」に目覚め、長居
することになる。彼女は関連ということで文学系のエイジェンシーに職を
得る。扱いをサリンジャーを中心に置いた古臭いエイジェンシーで、もう
90年代に入っているあたりなのに最新機器、つまりパソコンもない。
どうやらこのお話は、詩人志望の文学少女を振り当てられている女性の自
叙伝をもとにしたらしい。
とはいえ、妄想が実写されたり、そもそも隠遁中のサリンジャーが電話の
中で相手をしてくれたり、若いサリンジャー(だと思う)が現れてくれた
りで、いろいろと本当のことも混じっているんだろうけれど、表現はたい
てい深掘りせず、ファンタジック。暗くならない。それがむしろよかった。
 
このエイジェンシーの中での仕事がらみが中心。それ以外には、音楽家
しい元カレ、ニューヨークで同棲することになった男とその仲間たちとの
エピソードが描かれはするが、これらはそんなに多くないし扱いも軽い感
じ。そもそも出てくるキャラたちの全員が、良くも悪くもものわかりがい
い。ま、それもファンタジー・・・
そして中でも示唆的になって行くのはサリンジャーとの「対話」で、彼女

が本当にやりたいことを確認し、一歩踏み出す勇気を得るという主題に繋

がる。

何がいやかって、「何も書かない私がイヤ!」
突破口は、サリンジャーあてに届く様々の熱い手紙・・・
わりと色々知っている彼女なのだけれど、それまでサリンジャーを読んだ
ことがなかったんですね。
彼女がニューヨークでもって、大きな一歩を踏み出す一年を描く。
 
これは多分書きすぎです。スミマセン。
 
彼女が最後に見せる「いたずら」(というか「茶目っ気」というか)は素
敵な幕切れでした。
室内楽系のサントラも(ワタシの好みとは言えないが)、品がよく、映画
のムードによく合ってました。