20230518(了) |
映画『カモン カモン』
マイク・ミルズ監督・脚本/ホアキン・フェニックス/ウッディ・ノーマン/ |
ギャビー・ホフマン |
2021年製作/108分/G/米/原題:C'mon C'mon/DVDレンタル |
<★★★☆> |
ラジオ番組を持っていて、今は子供にインタヴューしまわっている男ジョニ |
ー。質問の中心は、未来というものをどう思っているか、考えているか、あ |
るいは感じているか。ここはアメリカ合衆国。 |
子どもたちの答えは、実にしっかりしていて、家庭環境の価値観に完璧に捕 |
えられているものから、社会に関してまでもしっかり捉えている子供まで、 |
千差万別なんだけれど、おおむね民主主義の考え方と孤立に対する対応が際 |
立っている感じかしらん。ロサンゼルス、ニューヨーク、ニューオーリーン |
ズ、オークランドなど。 |
子どもたちは皆10歳前後のよう。彼らの答えは本物なんだろうか。 |
そして、そうした子どもたちに輪をかけてすごいのが、彼の甥っ子。 |
彼の妹の夫が精神的に病んで療養中であるために、彼女が面倒を見なければ |
ならないところ、しばらくの間、代わりに(9歳の甥っ子ジェシーを)みて |
やってくれと言われる。なにかありそうだが・・・引き受ける。 |
ジョニーはジェシーを連れて、あちこちインタヴュー旅行をすることになる。 |
インタヴューに応えていた子供たちに比べると、ジェシーは自閉症か発達障 |
害的な感じがあるが、好奇心旺盛なんていう言い方では表せない、かなり優 |
れた頭脳(≒サヴァン症候群? ギフテッドというほどでもないみたい)の持 |
ち主らしい言葉が、普通の少年の感じとまだらになって顕れる。 |
先のインタヴューを受けていた子供たちもえらく立派で堂々とした喋りをし |
ている子が多かったけれど、ジェシーに至っては、ほとんど哲学的なことま |
でのたまったり、ジョニーの感情を巧みに操作するものだから、単に子ども |
というスタンスをとっているだけの一個の「確立した人間」として描かれて |
いるように見えてしまう。 |
勿論のこと、妹一家の家庭の事情というものがジェシーの成長や考え方や人 |
との付き合い方、感情の機微などに影響がないわけはないんだけど。 |
そうだ、ジョニーが最初にジェシーに会った時にがんがん鳴っていたのは、 |
モーツアルトの「レクイエム」みたいだったな。ジェシーがかけてた。 |
母親である妹はもう十分に「経験者」であるのに対し、ジョニーは物分かり |
はよくてもある種「周回遅れ」っぽく、いろいろ対応に苦慮する。 |
いろんな、これでも失敗かよ、というような失敗(?)を含めて、妹には逐 |
次連絡を取り(ちょっと頻繁過ぎる気もして気になったが・・・)、意見を 求め相談し合う。 |
画面はじきに慣れました。モノクロなんて良く思いついたもんです。 |
文学系ではないのがいいのですが、でも、けっこう「感想文書き」泣かせの |
作品ですねぇ。同時に映画を観た!という感触はなかなか強いものだったけ ど。ワタシにとって「解題」なんてものは特にはないです。 |
ただし、ジェシーがどんなふうに成長してゆくのか、ちょっとだけですが、 |
気になってしまった。 |