休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

ルーセル 室内楽全集

20230411(了)

アルベール・ルーセル 室内楽全集

Albert ROUSSEL(1869-1937)

         ;Chamber Music Complete

CD1
(1)ピアノ三重奏曲 Op.2
  ①8:59 ②8:03 ③11:06
(2)ディヴェルティメント Op.6 管楽五重奏とピアノのための
  ④6:28
(3)ソナタ 第1番 Op.11 ピアノとヴァイオリンのための
  ⑤12:19 ⑥10:17 ⑦9:54
   以上 ジャン=ジャック・カントロフ(vn.)他 Tot.67:43
                        <★★★★>
CD2
(4)即興曲 Op.21 ソロ・ハープ(ペダル式)のための
  ①6:48
(5)ロンサールの二つの詩 Op.26 フルートとソプラノのための
  ②4:26 ③3:23
(6)フルートを吹く人たち Op27 フルートとピアノのための
  ④3:04 ⑤1:04 ⑥3:09 ⑦1:51
(7)ソナタ 第2番 Op.28 ピアノとヴァイオリンのための
  ⑧4:45 ⑨5:04  ⑩4:13
(8)セゴヴィア Op.29 ギターのための
  ⑪3:08
(9)セレナード Op.30 フルート、弦楽三重奏、ハープのための
  ⑫4:09 ⑬7:16 ⑭4:19
(10)バスーンコントラバスのための二重奏曲
  ⑮4:07
(11)アリア 第2番 オーボエとピアノのための
  ⑯2:11
   以上 シェーンベルク弦楽四重奏団のメンバー 他 Tot.64:44
                         <★★★△>

CD3

(12)三重奏曲 Op.40 フルート、ヴィオラ、チェロのための
  ①4:38 ②5:12 ③4:05
(13)弦楽四重奏曲 Op.45
  ④3:57 ⑤6:40 ⑥2:50 ⑦6:21
(14)アンダンテとスケルツォ Op.51 フルートとピアノのための
  ⑧4:46
(15)パイプ ピッコロとピアノのための
  ⑨0:57
(16)弦楽三重奏曲 Op.58
  ⑩3:34 ⑪7:24 ⑫2:43
(17)Music from Elpénor、Poèm radiophonique Op.59 フルートと弦楽四重奏のための
  ⑬3:44 ⑭1:26 ⑮2:32 ⑯0:18
(18)終わりなき管楽三重奏曲から「アンダンテ」 オーボエ、クラリネット、バスーンのための
  ⑰3:13
   以上シェーンベルク弦楽四重奏団 他 Tot.66:31
                         <★★★☆>
 
   録音:1994年4月・6月・12月/オランダ/デルフト/The Old Catholic Church
   CD/3枚組/室内楽/BRILLIANT CLASSICS/中古

3枚組の大作。ま、曲数が多いってだけで、しんどくはない。
これで Complete なんだ。もう少し編成の大きな木管アンサンブル曲なんて
あるのかと思った。Wikiでは大きな木管アンサンブルは乗っていなかったけ
れど、この3枚組にはない室内楽がいくつか載っていたので、どうでもいいけ
ど、Complete というわけでもなさそうです。ほぼ作品番号順に並んでいます。
 
一方なんでルーセル室内楽かっていうと、オーケストラもので感じられる重
たさや渋みのようなものが、室内楽では感じられないことを覚えてまして、楽
しめる曲がたくさんあるかも、と思ったから。
 
<CD1>

(1)ピアノ三重奏曲はとてもロマンティック(と、この言葉を使ってしまうと
後々困るだろうけれど)。始めは印象派だったのかな。古典的な形式を尊びつ
つ、決して堅苦しくはない。ロマンチックと書いたのは間違いじゃないと思う。
(2)軍隊経験と数学好きなんかが関係しているのか、調性は迷いなく安定して
いるが、似たような編成曲があるプーランクやミヨーのようでなくても、ワタ
シは好きですね。
(3)ヴァイオリン・ソナタに関するワタシの敷居はそこそこ高いのですが、こ
れだけ形式的で長大であるにも関わらず、よかったです。カントロフのヴァイ
オリンも堂々として聴くほどに馴染んできた。⑥⑦の手あかのついていない(っ
て、ワタシの感性の、ね)感じの、ルーセルとしてはそこそこ甘ったるい調子の
楽想は捉えやすくはないけれど、魅力的。息子よ、弾いてくれんかのぉ。
(メモ20230330)

 

<CD2>

(4)勿論西洋音楽とその調性ながら、ハープはお琴に通じて、日本人には親し
みやすい。仄暗さなんか、あまりにピッタリ。
(5)ラヴェルドビュッシーのなにかでも聴いた感じがしてしまう、いかにも

古い時代の地中海の音楽のイメージ、で十分伝わる。フルートは「シランクス」

・・・

(6)フルート、特に速いパッセージの、「シランクス」でない、かっこのいい
技巧の曲がここまでなかった感覚。
  ・・・最近カミサン、フルートを吹きだした。経験ゼロ。近所の公民館あ
  たり。まだそれに何の論評も加えたことはありません。多分体にはいいは
  ず。練習はたいてい夜中。どお?聞こえる?などと始めは訊いてきたが、

  このごろは訊いてこない。夜の音の一つとしてワタシもすぐ馴れてしまっ

  た。

(7)聴きやすいヴァイオリン・ソナタ。(3)の半分以下の分量。(3)の一
番よりはむしろ切れ味が厳しいく重いかなぁ。

(8)何故か3分のギターソロ、一曲。セゴヴィアというでかい名付きでポツン

とこれだけみたい。

(9)この編成はいかにもフランス。かの「フルート・ヴィオラ・ハープ」を
想起させずにおかない。 こんな言い方は絶対正しくないが、ほとんど「伝統
芸」みたい。午睡時のような第2楽章⑬がいい。
(10)バスーンコントラバス! 珍しい需要があったもんだ。滑稽味中心。
(11)第2番とあるが1番は見当たらない。
(メモ20230410)

 

<CD3>

       

 

(12)明らかに(9)の延長線上にある感じながら、もっと普通に地味目になった
感じ。
(13)ロマン派や後期ロマン派のイメージの中にあるようなカルテット。ドイツ系
のぶ厚さやがっちりした形式感すらも帯びていて内省的。ものすごく普通に聞こえ
る。
(14)フルートとのピアノによるロマン派曲。  (15)ピッコロとピアノの掌品。
(16)弦楽三重奏。(13)のクァルテットの感覚と大きく違わず、仄暗くロマン
派回帰している。⑪など、内省的というよりは元々の苦みや渋みの顕れかなぁ。
(17)フルートのせいか、明るさや叙情はうんとフレンチ。短いが⑭⑮の美しさ
はとても歌謡調です。こういうのもあるんだ。
(18)ワタシが元々聴きたかったのはこの手の木管アンサンブル。ルーセルには
これしかなかったんやね。残念・・・
 
オーケストラものでは往々聞かれるルーセル独特のタンニンの成分のような苦味
あるいは渋みが、こうした小編成ではあまり感じられない。
完全に作品順に並んでいました。
CD1ではロマンティックさやまろやかさが魅力に聞こえましたが、2枚目、3枚
目と進むにつれて、フランスっぽさから離れ、ドイツ・ロマン派のムードがどん
どん濃くなって、あまり魅力的ではない、「ありふれた」感じになっちゃった。
後半にこそ特色が出ているというべきなんだろうが、、、1-2-3の順で聴こう
が、3-2-1の順で聴こうが、ワタシにゃあどっちもどっちという感じの印象
としか書けない。気楽に聴けるので、いいアルバムです。
 
関係などないが、こんなに完成度の高いこのCD1のみならずCD2の各曲について
も、Wikiでは作品リストに一つも載せられていなかった。ちょっとそれはないだ
ろう、という感じ。
(メモ20230411)

 

オランダ、デルフトの教会での録音のようです。Brilliant Classicsのオリジナル録
音なのか、他のレーベルのものを買ったのかは不明。
まさか、フェルメールの絵『デルフトの眺望』に見える教会だったんじゃないだ
ろうねぇ、なんて、冗談。他愛ない妄想。
ジャケット写真の絵はゴッホの絵のタッチに似ていますが、こういうのは観たこ
とがない。でもなかなかいい。
このブリリアント・クラシックスは確かオランダの会社なんで、ファン・ゴッホ
の絵を用いたとか。

             (はい、「デルフト眺望」)