休みには中古屋のはしごⅢ

基本音楽鑑賞のつもり。ほかに映画・本・日記的なもの・ペットなど。

映画『EO イーオー』

ロバのロードムーヴィー

20250605(了)

映画『EO イーオー』

  監督;イエジー・スコリモフスキ//サンドラ・ジマルス
  音楽;パベウ・ミキェティン
  2022年製作/88分/G/ポーランド・イタリア合作/原題:EO/DVDレンタル
  <★★★★>

一頭のロバの経験や目を通して、人間のアホさ加減、まあよく言えば「おかし
み」を見せるというのがまとめなんでしょう。観る前はその辺も知らないで、
ジャケ写で、こりゃあきっとヘンな作品だぞと、ちょっと期待して借りました。
 
そんなにヘンな作品じゃなかった。EO、イーオー、はロバの名。
このロバが素敵で、感情移入はしてしまいましたね。(擬人化も) それやっ
てしまったらオシマイヨという感じを、途中までは持っていたんですが、ああ、
もうエエかぁ、になってしまいました。
 
ワタシの感じとしては、ストーリーが始まる前の観ずらいタイトルが意味あり
げ。どうもロバと彼女は性的な関係に近い匂いがしましたね。で、それでいい
かと。「寓意」に拘りたい方、多いとは思いますが、ワタシは特段こだわる必

要は感じなかった。(なんだかバカみたい。映像にこめうるものは、ほとんど

無制限だとはわかっているのですが、、、ワタシは基本エンタテインメントと

して付き合いたい。)

はじめは東欧かな。
サーカスが倒産したかなにかで、別れ別れになってしまっても、一頭と一人は
いつか会えるかもしれない、というような通奏低音を、見る側に感じさせざる
えない、その方向で進むに違いない・・・。
 
はじめは厩舎のようなところに引き取られ、下働きに携わると、花形の馬と会
話して相手(の馬)をどぎまぎさせるみたいなシーン。特殊な能力でもあるの
かと思わせるが、そうでもなかったみたい。
厩舎の馬運搬車が事故を起こしてしまい、今度は農家か子ども関係の施設へ。
ここで「彼女」と会えるが彼女は人間の男を選んでしまい、イーオーは失恋?
 ここを脱走して、本格的に放浪生活に入る。
森の中で狼に遭遇するシーンなんざ、朝焼けらしい赤い画面がまるで『20
01年;宇宙の旅』でポッドが木星圏内だったかに入った時のよう。遊んで
るんだなぁ。きっとほかのシーンでもそんなことやってるに違いない。ワタ

シはこれしかわからなかったけれど。この後の風力発電のプロペラが見える

シーンはなかなかにシュール。

ローカルなサッカーの試合後のいざこざのあと、死ぬ目に遭う。そのあとロ
ボットのロバに変身。なんじゃこりゃあ。無事恢復?・・・
 
88分の映画なのに、これでまだ半分くらいだったか。波乱万丈。
見ている分には面白い経験がこれでもかとイーオーを襲い、素敵な映像もた
っぷり見せてくれました。
徐々に南下していたみたいです。
英語を喋る同行者(音楽はハード・ロック)が、次にはイタリア語を喋る男
に変わって行き、音楽がレオンカバルロのオペラ「道化師」から超有名なア
リアがちらっと流れたりしますし、豪邸の女(これイザベル・ユペールです
よね)が喋るのはフランス語だし。
 
イーオーは初めの彼女に未練たらたらのようだが、こう遠くへきて(豪邸の
広い庭園でブヒーブヒー鳴くのが場違い!)しまったんじゃ、夢は叶いそう
もない。さてさて・・・
でもあまり可哀想な感じもない。美しいが不可解な映像がいろいろありまし
た。まあ、遊び心なんでしょう。「巨匠」と書かれてます。そんな人じゃな
いと作らせてもらえない作品なのかもね。

ワタシは、頑固者だが表情豊かに見えてしまうこのロバが、かわいかった。

それが一番!

飼ってみたいと一瞬思いました。

 

音楽はいいんだか悪いんだかわかりません、アルバムとして聴きたいものじ
ゃなかったですが、頑張っていました。オペラやハードロックのほかに、き
れいな弦楽合奏、無調の冷たいオケ、ペルトのようなゆったりとしているが
やはり冷たい感じのもの(これはおしまいのほう)など。